組織心理学という今まで聞いたことがあるような、ないようなタイトルを読んでみました。
著者いわく、組織心理学とは、組織のトラブルの原因を突き止め、うまくいっている集団に共通する「リーダーシップ」や「人間関係」を明らかにする学問だとしています。冒頭で指摘しているとおり、職場の悩みの9割以上は人間関係によるものだと言われており、いかに人間関係を構築するかは誰にでも関心のある内容であると思います。
組織心理学者である著者が研究をしてきた内容、これまで幅広く行われてきた実験結果を基にしながら、複数のテーマについて取り上げています。
ここでは、組織に蔓延するネガティブな関係をどのようにポジティブで有益なものに変えていくか、「妬み」「温度差」「不満」「権力」「信用(不信感)」の5つのテーマについて、それぞれ解説しています。これらのネガティブな要素が、見えない空気となって、組織を支配している、としており、これらの対処法を身に付けることで、職場の人間関係に関する悩みの大部分に対応できる気がしてきます。
本書で指摘しているとおり、上司ー部下の関係性の質は、パフォーマンス、協力行動、職務や上司に対する満足感、組織への帰属意識、離職などと関連しているというのは、実験結果からも、個人的にも感じるところです。
組織の中でいい仕事をしていこうと思う人であれば、上司の立場、部下の立場に関係なく、参考になる1冊と言えるでしょう。
▼人間は放っておけば、どうしようもなく非合理的な行動をとってしまう
▼非合理的な行動や習慣は、感情によってもたらされる
<目次>
はじめに リーダーのための最強の教養「組織心理学」
第1章 妬みを中和し、モチベーションを引き出せ
第2章 「チームの温度差」を埋めよ
第3章 「隠れた不満」を見つけ、有益化せよ
第4章 権力と賢く付き合え
第5章 「失った信用」を取り戻せ
おわりに 関係性を重視するリーダーシップ