“その椅子が、ゆっくりと回転する。スクリーンの中の人物が、こちらを向いた。
「!?」
その人物の顔を見て、幸宏は目を疑う。そこにいたのは――
「皆さん、こんにちは。私は、天栗浜高校『女神委員会』会長・吉田行弘です」
吉田だった。吉田が生徒会長の椅子にふんぞり返って不敵な笑みを見せている。そして、スク
...続きを読むリーンの外からもう一人の男子生徒が現れた。
「同じく、副会長の渡辺雪比呂です」
今度は渡辺である。こちらも不敵な笑みを張りつけていた。幸宏は混乱する。どうして彼らが生徒会室でこんなことをしているのだろう。
まるでその疑問に答えるかのように、吉田が宣言した。
「『三年生を送る会』にお集まりの皆さん。本日はまことに勝手ながら、当初の予定を変更して、一つの作戦を決行に移したいと存じます。名づけて」
吉田の目が幸宏を捉える。
「階段部、殲滅作戦!」
ええええええええええええええええ!?
会場内のどよめきは、同時に幸宏の心の声でもあった。”
最終巻。
走る衝動に駆られるハムスターたちの行く末は。
うー、ちと泣ける。
色々と、続きが気になるけど、これからもこのまま続いていくっていう感じのこの終わり方は好きだ。
問題も多々起きて、それでもその都度解決して、階段部は続いていく。
きっと、そんな感じ。
“小夏が天ヶ崎からデジタルカメラを受け取る。
「さあ、もっと寄るのよー。私を囲んで密着するのよーっ」
九重が腕を伸ばし、五人を引き寄せた。バランスを崩しそうになり、皆が互いにしがみつく。しかし耐え切れず、倒れかけたところで小夏がシャッターを切った。
「きゃあっ」
天ヶ崎の髪が舞い上がる。
「うおっ」
三枝の眼鏡がずれた。
「危ねえっす」
井筒が懸命に踏ん張る。
「ゆうこ、引っ張るな!」
刈谷が襟を摑む手を払おうとした。
「押さないで下さいっ」
前のめりになりながら、幸宏が訴える。そして――
「階段部、大好きー!!」
九重が、満面の笑みで叫んだ。倒れ込みながら、幸宏たちもそれに続く。
「「「「「大好きだーっ!」」」」」
その声は天高く、雲の向こうまで飛んでいった。”