甘福あまねのレビュー一覧

  • 学校の階段1

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    10年近く前の作品で、今読むと、やはりキャラクター設定などところどころに古くささを感じてしまう。イラストもあって「あぁ、一昔前のギャルゲっぽいな」と思ってしまうが、後半の物語の熱量がとにかく素晴らしかった。
    校内を走り回る、ただそれだけの部活である階段部だが、道徳上この行為の善し悪しは抜きにして、彼らを走りに駆り立てるよくわからない強烈な衝動――誰もが10代のころに持っていたそれこそが「青春」であるのだなと、この小説を読んで思った。

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    2015年05月19日
  • 学校の階段1

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    学校の階段をひたすら走る部活動のお話。
    勢いと爽快感があり序盤は好きだったんですが、巻数が進むごとに何だか読んでいくと疲れてしまう印象でした。
    設定とかは意外とない感じで面白く好きなんですが、良い子の皆さんは学校の廊下や階段は走っちゃだめですよw

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    2014年12月20日
  • 学校の外階段2

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    学校の階段のスピンオフ作品の第2弾。
    元の作品の第10巻の「階段部包囲網」の舞台裏を描いた作品。

    もとの学校の階段の熱さとかはない。
    バカさも足りないので、その気持ちで読むとダメ。
    話の盛り上がりもイマイチ。

    正直、切ろうと思っていたけど、3巻構成で次巻で最後のようなので原作のファンなので最後まで読みたいと思います。
    できれば原作の隠されていた部分、特に最高に面白かった10巻の部分がでることを期待したいです。

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    2012年11月18日
  • 学校の階段1

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    学校の階段を走り回るだけ、というそれだけのことに熱くなるお話。こういった種類のものにはベン・トーが最近伸びてきているが、この作品もそれなりに楽しめた。序盤、ちょっと文章の書き方にクセ(なんか濃い)があって軽くげんなりしたものの、中盤からはテンポよく進みさらさらと読み終えてしまった。序盤捨てはちょっともったいない作品。
    絵もかわいいしGOOD。個人的にはやはり天ヶ崎先輩が好き。

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    2011年08月13日
  • 学校の階段1

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    なんというか、部活(?)で青春な作品。
    先月読んだファミ通作家コラボで読んで気になったので読んでみた。
     
    学校の階段や廊下を走るという変なクラブに入った新入生の話なんだけど、アホなことでも一生懸命頑張れるのは青春だよなあと、妙に懐かしかった(笑)
    いや、でも、そんなアホな設定も主人公がだんだん部活に嵌っていく過程が丁寧に描かれていて、すんなり引き込まれた。
    この辺り、『ベン・トー』にも通じるものがある。
     
    最後のラリー対決にいたる盛り上がりと、その後の生徒総会場面の安心感が作品を温かくしている。
    とはいえ、恋愛要素は希薄で、熱血成分もまだ足らないと思う。
    次巻以降、さらに熱い展開になるのかなあ?

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    2010年12月04日
  • 学校の階段の踊り場2

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    “息を吸い込んだ。
    「「「「「「明けましておめでとうございます!!」」」」」」
    年始の挨拶とともに、六人は一斉に飛び出した。
    「うおりゃああああああ!」
    井筒がスタートダッシュを見せる。手に持った懐中電灯をブンブン振って石段に突っ込んでいった。一段飛ばしで駆け上がる。その後を九重と三枝が並んで続いた。幸宏は天ヶ崎とほぼ同時に石段へ飛び込む。ほとんど真っ暗闇の中に身を投じたのだが、まったく怖くなかった。ゴツゴツと均一でない石段の感触も、すぐ足に馴染む。
    よしっ、意外と周りも見えるぞ。
    外から見たときは真っ暗闇に見えたが、実際に足を踏み入れてみると両脇の明かりがしっかり足下を照らしている。懐中電灯の光が加われば、駆け上がるのにも支障はなかった。
    二、四、六、八っ……。
    一段飛ばしで段数を数えながら走る。足場が平坦ではないので、瞬時に着地店を判断してテンポ良く足を下ろさないと、リズムが取りにくかった。左手の指で一〇の位をカウントしつつ、二、四、六……と頭の中で呟く。
    「!」”

    いきなり番外編の二巻目が出てちょっとびっくり。
    あーみんな相変わらずだなって思う。
    先輩四人組は、これからもこのままでいてほしいなと思ったり。
    井筒ちゃん可愛いよ井筒ちゃん。

    “「そっか、そっか。ちづるちゃんはそっちに考えちゃったんだねえ」
    駆け足になりそうな私の横で、遊佐君が勝手に一人で納得している。何を勘違いしているんか知らないけど、とにかく今度こそ駅まで無視を決め込むわ。
    「…………」
    ギュッと口をつぐんで五分ほど。意外なことに遊佐君は私に何も話しかけないで駅まで並んで歩いてくれた。無視すると決めていたけど、何もなかったらなかったで拍子抜けだわ。駅の改札の前に辿り着いたところで、私は一応挨拶をしようと思って遊佐君の方を向いた。
    「ここで問題です」
    狙っていたようなタイミングで、いいえ、きっと狙っていたのね、目が合った瞬間、遊佐君が先に口を開いたのよ。しまったと思ったんだけど、彼の声が耳に入る。
    「この場合の『ライバル』とは誰と誰のことを指しているのでしょう?」
    「え?」
    思わず聞き返してしまう。この場合?もしかして、さっきの話の続きなの?九重と私がライバルなのかどうかっていう……。
    「それじゃあ、ちづるちゃん。また明日」
    私が戸惑っているうちに、遊佐君は自転車に跨って軽く手を振り、さっさと走り去ってしまった。くうううう、またやられた。勝ち逃げされた気分よ。どうしてあいつは一々先手を取るのかしら。いつかやり返してやるんだからっ。”

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    2010年11月19日
  • 学校の階段1

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    原作の方の作画と違って頭身がリアル寄りでスッキリしている印象。キレイ。
    しかしこの連載の割り方では見せ場が弱いと思う。
    スピーディーさの伝えやすさが漫画と一枚挿絵の違いであると思うから、もっとスピードを感じるシーンがほしい。
    うなぎ弁当の時の年上OLはよかった。

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    2010年10月07日
  • 学校の階段10

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    “その椅子が、ゆっくりと回転する。スクリーンの中の人物が、こちらを向いた。
    「!?」
    その人物の顔を見て、幸宏は目を疑う。そこにいたのは――
    「皆さん、こんにちは。私は、天栗浜高校『女神委員会』会長・吉田行弘です」
    吉田だった。吉田が生徒会長の椅子にふんぞり返って不敵な笑みを見せている。そして、スクリーンの外からもう一人の男子生徒が現れた。
    「同じく、副会長の渡辺雪比呂です」
    今度は渡辺である。こちらも不敵な笑みを張りつけていた。幸宏は混乱する。どうして彼らが生徒会室でこんなことをしているのだろう。
    まるでその疑問に答えるかのように、吉田が宣言した。
    「『三年生を送る会』にお集まりの皆さん。本日はまことに勝手ながら、当初の予定を変更して、一つの作戦を決行に移したいと存じます。名づけて」
    吉田の目が幸宏を捉える。
    「階段部、殲滅作戦!」
    ええええええええええええええええ!?
    会場内のどよめきは、同時に幸宏の心の声でもあった。”

    最終巻。
    走る衝動に駆られるハムスターたちの行く末は。

    うー、ちと泣ける。
    色々と、続きが気になるけど、これからもこのまま続いていくっていう感じのこの終わり方は好きだ。
    問題も多々起きて、それでもその都度解決して、階段部は続いていく。
    きっと、そんな感じ。

    “小夏が天ヶ崎からデジタルカメラを受け取る。
    「さあ、もっと寄るのよー。私を囲んで密着するのよーっ」
    九重が腕を伸ばし、五人を引き寄せた。バランスを崩しそうになり、皆が互いにしがみつく。しかし耐え切れず、倒れかけたところで小夏がシャッターを切った。
    「きゃあっ」
    天ヶ崎の髪が舞い上がる。
    「うおっ」
    三枝の眼鏡がずれた。
    「危ねえっす」
    井筒が懸命に踏ん張る。
    「ゆうこ、引っ張るな!」
    刈谷が襟を摑む手を払おうとした。
    「押さないで下さいっ」
    前のめりになりながら、幸宏が訴える。そして――
    「階段部、大好きー!!」
    九重が、満面の笑みで叫んだ。倒れ込みながら、幸宏たちもそれに続く。
    「「「「「大好きだーっ!」」」」」
    その声は天高く、雲の向こうまで飛んでいった。”

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    2010年10月06日
  • 学校の階段の踊り場1

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    “幸宏は日の光をぼんやりと見つめ、深呼吸をした。まだ空気は冷たいけれど、朝の緩やかな日差しを吸い込むことができたような気がする。
    スイッと、横に誰かが並んだ。振り向いた瞬間、相手が囁く。
    「おはよう」
    美冬の横顔が目の前にあった。彼女の頬に日光が射す。ツインテールの髪が揺れ、幸宏の肩を撫でた。
    「……お、おはよう、ございます……」
    幸宏はろれつが回らなくなる。美冬はさっさとその場を離れ、天ヶ崎の腕に手を回した、二人して笑う。
    ……え、えーっと。
    日差しが急に暑くなった。視界の隅で井筒と前田がニヤついている。女子に混じって吉田や渡辺、石井も何か叫んでいた。幸宏は顔を多少乱暴に撫でつけ、一つ、ため息をつく。
    そうして、月曜の朝を迎えた。”

    合間、合間の話とか。
    女神委員会面白い。
    プリンは結構簡単に犯人わかった。理由までは、推測が及ばなかったけれど。

    “「いや、もう海水浴には遅い時期だし。それにお盆に海で泳いじゃいけないって話、聞いたことあるし」
    「気にすんな。散歩するだけだから」
    「千秋姉さん、目が笑ってるよ。あ、そうだ、もうクラゲとか出る頃じゃない?海はあんまりお勧めしないなあ」
    「ダイブ」
    「小夏姉さん!?今、すごく不吉な単語を聞いた気がするんですけどっ。何か、前にもこんなシチュエーションで酷い目に遭わされた覚えがあるよ!」
    「なんだよ幸宏、デジャヴか?」
    「絶対違う!明らかに悪意を感じるっ」
    「まあまあ、気にすんなって」
    「ダイブ」
    「小夏姉さん!?マジですごく怖いんですけどっ」
    「今のは大丈夫を縮めて言っただけだって。ダイジョーブ、略してダイブ。な?」
    「嘘だ!そんな略し方初めて聞いたっ」
    「新しいだろ?」
    「そんな新しさ、いらない!」
    「ダイブ」”

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    2010年10月06日
  • 学校の階段9

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    “「どうして勝てない気がするの?」
    「……なんていうか、『武器』が見つからないっていうか」
    幸宏は美冬を見る。思いのほか真剣な表情で彼女はこちらを見ていた。
    幸宏は「武器」について悩んででいることを美冬に話してみる。
    「……そうだね、勘は『武器』にならないと思う」
    話を聞き終えると、美冬はポツポツと、考えながら言葉を紡いだ。
    「多分、それは『盾』だよ」
    「『盾』?」
    幸宏は思わぬ言葉に聞き返す。
    「自分を守るもの。……決め手にはならないけど、ギリギリで支えてくれるもの、かな」
    「僕の『直感予測』が?」”

    階段部の次期部長になるのは誰なのか。

    幸宏はどうなっているのか。どう変わっていってしまうのか。

    “井筒目からしても、神庭の走り方は異様だった。自棄になるような要因は何もないはずであり、そもそも自棄になっているとは思えない。冷静さを欠いているとも思えなかった。むしろ、非常に冷静に――

    歪んでやがる。

    井筒にはそう見えた。神庭は歪なままに、それを極めようとしている。少なくとも井筒たち三人とは別の感覚で走っている。
    それならそれで、面白い勝負ができそうだけどな。
    神庭の体が壊れてしまわないか。それだけが心配だった。”

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    2010年10月06日
  • 学校の階段8

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    “「……どうして」
    どうしてだろう。どこかに隙があったのか?先日の水戸野との一件以来、気をつけるようにしていたのに。勘の良い水戸野ならともかく、槙島にまで見透かされそうになるなんて。
    「どうして、放っておいてくれないんだ」
    踏み込んできてもらいたくはない。ここからは全て自分ひとりで決める。そんな線引きをしているというのに、自分の周りの人間はやたらと土足でその中に踏み込んでくる。邪魔で邪魔でしょうがない。
    「…………くそっ」”

    波佐間勝一の問題。

    天ヶ崎と水戸野のやり取りが面白い。
    三島は幸宏が好きなの?
    にしても幸宏は鈍すぎる。

    “「あら、文字通りの引っ張りだこね」
    そこへ御神楽までやってくる。幸宏の様子を見てちょっと思案げな顔になり、
    「やっぱりこういうことは、男性から誘うのが礼儀じゃないかしら?」
    とんでもない提案をしてくれた。希春と三島がハッとした顔になり、幸宏を凝視する。背後からも凄まじい気配を感じるので、おそらく美冬もこちらを見つめているのだろう。幸宏は額に嫌な汗を感じた。
    「さあ、誰を選ぶのかしら?」
    近づいてきた御神楽は、楽しそうに微笑んでいる。そっと自然に右手を差し出してきた。まるで、その手を取るのが当たり前だと言わんばかりの仕草である。右からは希春の噛みつきそうな目。左からは三島の訴えかける瞳。背後からは美冬の殺気めいた気配。四方を完全に包囲され、幸宏は窮地に立たされた気分だった。
    ……ええと、一体誰を選べば。
    全身が熱くなる。思考がグチャグチャになってきた。周りでは大まかな組み合わせが出来上がりつつある。時間はあまりない。決めなければ。
    「僕はっ――」”

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    2010年10月02日
  • 学校の階段7

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    “しかし、その予想は覆された。誰もが引くと思っていた場面で、神庭は思い切り前に出たのである。元々、筋肉研究部をネタにして笑うという行為自体があまり褒められたものではなかった。大半の生徒はそれを頭の片隅では理解しているので、御神楽の言葉に笑いながらも罪悪感はどこかにあったはずである。
    そこに来て、神庭の思い切った一言。そこまで面白い発言でなくても、暗い嘲笑よりずっと気持ちよく笑える。あいつはどんな計算は一切していなかっただろうが、あれで神庭は心情的に「良い人」の立場に立った。……チャンスだっ。
    ここで生徒会長としての力量もプラス評価がつけば、流れは神庭に大きく傾く可能性が高い。
    仕掛けるか。
    刈谷はほくそ笑む。ふと、九重が楽しそうに廊下を駆け抜けていくのが見えた。”

    御神楽さんがやっぱり怖い。
    果たして、生徒会長に就任するのは神庭幸宏か、御神楽あやめか。
    前から思ってたけど、どうして筋肉の描写はこうも細かいのか。

    “「(中略)それでも僕はこの世界に生きていて、この世界を好きでいたいんだよ」
    「……いいわね。そう思えるなんて」
    「御神楽さんだって、そう思えるよ」
    「嘘」
    「本当だよ」
    そう言って、幸宏はマイクのスイッチを入れた。
    「だって、みんなそれぞれ違っていて、それで良いんだから」
    そして御神楽のことを待つ。彼女はしばらく俯いていたが、ついにマイクのスイッチを入れた。
    「そうであったら、素晴らしいんでしょうね」
    それから二人同時に頭を下げ、生徒会長候補の最終演説は終わった。”

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    2010年10月02日
  • 学校の階段6

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    “「……………」
    そこにあるのは、やはりただの階段だった。
    あ、れ?
    スタート。
    レースは一方的だった。四階まで上がり切る前に井筒にリードを許し、そのまま彼の背中を追いかけて走る展開になってしまった。今度も階段を飛ばして降りることができない。ゴールするまでに息切れしてしまい、最後は少し歩いてしまった。
    「おーいっ。何だよ、それ。本当にテンション下がってんぞ!せっかく俺が……」
    怒る井筒に平謝りで応じながら、幸宏自身も苛立っていた。おかしい。こんなはずじゃないのに。自分は、どうなってしまったんだろう。”

    神庭幸宏が階段を駆けることに理由はあるのか。

    御神楽が普通に怖い。計算づくだ。
    遊佐の計画も、怖いけど。こっちのほうがいい。それにしても完璧すぎる。

    “「やあ、いらっしゃい。ご用件は?」
    女子生徒と対照的に、椅子に深々と腰掛けて悠然と微笑みかけてくるのは、天栗浜高校現生徒会長、遊佐由宇一その人だ。
    幸宏は息を整えながら歩み寄り、遊佐の前に立った。机の上に置かれた碁盤を見下ろす。碁盤の上には幾つもの碁石が並べられていた。
    「遊佐さん……」
    息はまだ整っていなかったが、幸宏は切り出した。腕を振り上げる。遊佐の目が、一瞬揺らいだ。
    バアンッ。盤上の碁石を乱暴に払いのける。幸宏は思い切り叫んだ。
    「一年三組、神庭幸宏っ。生徒会長に立候補します!」
    女子生徒が目を見張って両手を口元に当てている。遊佐は碁石が飛んだ瞬間、それらを少し目で追ったようだが、椅子から身を起こすことはなかった。その微笑みが、ゆるゆると深くなっていく。
    「いいね」
    そして、幸宏を見上げて満足そうに頷いた。
    「良い一手だ。ありがとう」
    幸宏は姿勢を正し、遊佐に一礼した。”

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    2010年09月27日
  • 学校の階段5

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    “「愛ちゃん」
    凪原が呟いた。隣に立つ三島の唇からも「マキマキ?」という声が零れる。
    「どした?」
    一番後ろを歩いていた井筒が呑気な声を上げた。瞬間、少女の視線が井筒へと移る。そして、たちまち険のある顔つきになった。再び凪原を見やり、
    「何よっ!バカ!」
    そう叫んで踵を返した。走り去る。幸宏が唖然としているうちに、凪原が「待って!」と叫んで飛び出し、少女を追いかける。”

    月光ダンシングステップと月の女神様の問題。

    友達とはどういう関係を指すのか、とか。
    凪原ちゃん可愛いよ。眼鏡がマジ可愛い。
    マブチとか天ヶ崎とか波佐間とか水戸野とかは、持ち越し?

    “『わかってねえなあ』
    誰の台詞だったろう?あまりに何度も聞き過ぎて、もう誰から言われたのかも思い出せない。もしかすると、自分が自分に言い放ったのかもしれない。
    「わかってねえなあ」
    試しに口に出してみた。なるほど、よく馴染む。今回もそうなのだ。自分はわかってなかった。空気を読み損ねた。協調性を持ち合わせていなかったのだ。凪原に筋を通したいと思った。でも、間違えた。山田たちと言い争うつもりはなかった。だけど怒鳴ってしまった。もっと大人しく、下手に出ていれば良かった。だが、そんな冷静な判断力は持ち合わせていなかった。
    「わかってねえなあ」
    座り込み、井筒はもう一度呟いてみた。”

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    2010年09月27日
  • 学校の階段4

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    “「退部届」と書かれてあった。
    「これ。誰がっ?」
    幸宏は驚いて左右を見回す。井筒や天ヶ崎、九重も同じ反応をしていた。五人の中でただ一人、刈谷だけが封筒をじっと睨みつけたまま黙っている。
    「こなっちゃん先生!何ですか、これ!?ていうか、こんなイタズラするなんて、悪趣味だわ!」
    九重が腕を振り上げて叫んだ。あなたが言いますか?と幸宏はツッコみたかったが、今はそれどころではない。小夏を見ると、彼女は黙ったまま刈谷の方を向いた。
    「それは、三枝のものだ。恐らくな。そして、冗談でもイタズラでもないぞ」”

    天才ラインメーカーが階段を駆ける理由とは。

    三枝くんのあの毒舌とそっけなさはテレからでしたか。意外。

    “結果は、ようするに俺の負けだった。理論上、何も間違ってはいなかったはずだ。たまたま運が悪かったんだ。それなのに、偉そうにしやがる。とくに九重とかいう小学生みたいな二年生。これが酷かった。自分は何もしてないくせに、一番偉そうにしていやがった。死ね。
    あと、「雷の女神」を間近で見た。確かに美人といえば美人だ。馬鹿連中がワイワイ騒いでいるのも分からなくはない。でも、趣味じゃあない。「炎の女神」の方が美人だ。
    マップ作りもやるしかないか。面倒だな。

    階段を駆け上がるのは、意外と気持ち良かった。”

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    2010年09月27日
  • 学校の階段3

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    “「天ヶ崎泉争奪階段レースを開催致します」
    生徒会長の言葉に、幸宏は耳を疑った。どよめきが広がる。夕食の席。生徒だけが集まっている食堂で、遊佐は高らかにそう宣言したのだ。側に立っていた中村がガクッと肩をコケさせた。
    「先程、二年の天ヶ崎泉さんが階段部を退部。女子テニス部に移ることになりましたが、女子テニス部は天ヶ崎さん獲得のチャンスを他の全ての部に与えたいと申し出てくださいました。よってここに、『天ヶ崎泉争奪階段レース』の開催を宣言したいと思います!」
    オオオオオオオオ!
    真夏の太陽に脳をやられた連中が、諸手を挙げて喜んだ。
    「さらに生徒会から真夏の特別ボーナス。天ヶ崎さんを獲得したところには使途不問の部費と一〇万円進呈!」
    キャアアアアアアアアアアアア!
    現金な集団が、一際大きな歓声を上げて食いついてきた。”

    黒翼の天使が階段を駆ける理由とは。

    思ってたよりも、結構深い。
    三枝さんが怪しすぎる今日この頃。

    “「助けを呼んだって無駄だぜえ。観念しなあっ」
    血走った目で迫られると、本当に気持ち悪い。全員汗だくで息が上がっているので、より一層不気味だった。
    「あの。僕はカード持っていませんよ。本当に。調べてもらっても構いませんし」
    最後の手段に出る。幸宏は両手を挙げた。自分が追い回すに値しないとわかれば、彼らも解放してくれるだろうと考えたのである。
    「へっ。そんなことは関係ねえ!」
    しあkし、先頭の一人が幸宏の目論見を見事に打ち砕く発言をしてくれた。
    「これは復讐だ!楽しい合宿を台なしにされた、そのことに対するなっ。おのれニックキ神庭千秋!この恨み、お前で晴らす!」
    「そんな無茶な!?そういうのは本人に言ってくださいよ!」
    幸宏は悲鳴を上げた。
    「うるせえっ。面と向かって勝てる相手か!」
    「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い!」
    「喧嘩は勝てる相手とやれ!」
    「みなさん、考え方間違ってません!?」”

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    2010年09月09日
  • 学校の階段2

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    “「神庭先生、お願いがあります!」
    九重が叫ぶ。と、その足が止まった。
    「なあに?」
    くるり、振り向いた小夏の姿に他の五人も立ち止まる。幸宏はまじまじと「それ」を見た。
    「……小夏姉さん、何それ?」
    小夏は人参を咥えている。
    それも丸のまま。皮も剥かずに。
    「ダメでしょ、神庭君」
    ところが、小夏は飄々として言った。
    「学校では、小夏先生」
    「あ、はい。いや、それよりも、何で人参丸齧りなの?」
    「先生には敬語」
    「あ、はい。何で、丸齧りなんですか?」
    「お弁当よ」
    「いや、お弁当で人参丸ごとって……」
    小夏のお弁当を見る。ぎょっとした。
    弁当ギチギチに人参が詰め込まれている。その一本には小さな旗が立ち、『ポニーちゃんへ』というメッセージが入っていた。
    希春姉さーん!
    長女の恐ろしい一面を垣間見たような気がした。
    「愛情の裏返しよ」”

    静かなる弾丸が階段を駆ける理由とは。

    缶バッチの得意分野は天然=直感?
    階段部の設立話、意外と深かった。
    小夏先生可愛い。

    “そして、
    ビリビリビリビリビリビリビリビリ……。
    九重は、申請書を二つに引き裂いた。
    「えっ!?」
    「ええっ!?」
    周りから悲鳴が上がる。九重は、ふいと階段部の面々へ顔を向け、
    「破けちゃった」
    ぺろり。舌を出した。「ふっ」と刈谷が吹き出す。
    「ゆうこ。貸せ」
    真っ二つになった用紙を受け取った。重ね合わせ、
    ビリッ。四つに裂く。幸宏たちを振り返った。”

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    2010年09月09日
  • 学校の階段1

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    “はっきりわかった。
    「あーあ。階段部って嫌だよな。神庭、行こうぜ」
    「…………ごめん」
    幸宏は階段を降りる。ゆっくりと。二人を見つめて。
    「ごめん。やっぱりダメだ。確かに三枝さんの言う通りだよ」
    「……何が?」
    「悪いことだってわかってる。はた迷惑だって小学生でも知ってるよ。でもね」
    幸宏は笑みを浮かべていた。
    「走り出したら止められないんだ!」
    駆け出す。刈谷を追って。吉田たちをすり抜け、階段を駆け下りた。
    「神庭!」
    「ごめん!バスケ部はパスだっ。僕は」
    二階に降りたところで、一度だけ振り返る。
    「階段部に入るよっ」”

    読みやすいし面白い。
    最後の展開には思わずうるっときた。
    彼ら彼女らが階段を走り続ける理由とは。
    これから明らかになるのかね。

    “「ドラマみてえ」と誰かが言った。
    回り道をした幸宏の作戦に賛辞が届き、
    鋭い井筒の動きに「他の運動部でも通用するんじゃない」と囁きが漏れる。
    二人は最後の階段に飛び込んだ。
    幸宏を応援する声がした。
    井筒の逃げ切りを望む声があがった。
    掛け声はそのうち大きな叫びへと変わり、
    講堂中を一つのうねりとなって包み込む。
    そして、
    幸宏が奇跡的な切り返しを見せた瞬間、

    ワアアアアアアア!

    会場を揺るがす大喝采が轟いた。”

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    2010年09月05日
  • 学校の階段1

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    シリーズものの最初はこんなものかな。走る衝動を止められない少年少女たちの爽やかかつ病的な青春模様を読んで少し昔にかえれた気が。青春とは病気だね。

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    2010年09月01日
  • 学校の階段1

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    過不足無く、といった感じ。
    キャラクターや設定は悪くはないと思うんだけど、随所の展開や演出にもうひとひねり欲しいなぁと感じる、特に主人公。
    でも、筋肉部と主人公の従姉妹4姉妹は良かった(笑)
    続編も刊行されているようなので(まだ読んでない)、これから先、面白くなる可能性は十分あると思う。
    故に、もったいない感のある作品だった。

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    2010年06月26日