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年が明けて1月。階段部では3年生の九重と刈谷の引退を控え、次期部長を選ぶ部員総当りの階段レースが行われることになった。天ヶ崎と三枝は己の理想を追い求めるために、井筒は最高のシチュエーションで九重に想いを伝えるために、そして幸宏は自分の強さを確かめるために――。皆、それぞれの想いを胸に練習に没頭していく。はたして次期部長の座を勝ち取るのは誰なのか!? 駆け上がれ、さすれば与えられん! 暴走する青春グラフィティ第9弾!!
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Posted by ブクログ
“「どうして勝てない気がするの?」 「……なんていうか、『武器』が見つからないっていうか」 幸宏は美冬を見る。思いのほか真剣な表情で彼女はこちらを見ていた。 幸宏は「武器」について悩んででいることを美冬に話してみる。 「……そうだね、勘は『武器』にならないと思う」 話を聞き終えると、美冬はポツポツと...続きを読む、考えながら言葉を紡いだ。 「多分、それは『盾』だよ」 「『盾』?」 幸宏は思わぬ言葉に聞き返す。 「自分を守るもの。……決め手にはならないけど、ギリギリで支えてくれるもの、かな」 「僕の『直感予測』が?」” 階段部の次期部長になるのは誰なのか。 幸宏はどうなっているのか。どう変わっていってしまうのか。 “井筒目からしても、神庭の走り方は異様だった。自棄になるような要因は何もないはずであり、そもそも自棄になっているとは思えない。冷静さを欠いているとも思えなかった。むしろ、非常に冷静に―― 歪んでやがる。 井筒にはそう見えた。神庭は歪なままに、それを極めようとしている。少なくとも井筒たち三人とは別の感覚で走っている。 それならそれで、面白い勝負ができそうだけどな。 神庭の体が壊れてしまわないか。それだけが心配だった。”
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