藤井誠一郎のレビュー一覧
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著者のフィールドワークを通して、清掃事業の実態と課題を紹介する本。
普段さも当然のようにゴミを回収してもらっていた身だが、非常に勉強になった。
まずひとつ目は、清掃業務は「簡単に出来る仕事ではない」ということ。
傍から見ると、ただゴミ袋を積み込むだけの、誰にでも出来る単純労働に見える。
しかし実態は多くの改善や経験に支えられており、素人がすぐに真似できるようなものではないということだ。
これは他のエッセンシャルワーカーにも共通で言えることだろう。
我々はともすると、自分の知らない分野や、肉体労働・賃金の低い仕事をつい見下す傾向がある。
しかしどの職業にも、その職業なりの研鑽や積み重ねがあ -
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地方自治や行政学の専門家として、現場を体験しながら課題に取り組む姿勢は好感が持てる。
リサイクルや資源削減が叫ばれるなかで、ビニール袋有料化での実態的・啓蒙的な側面に比して、ペットボトル再利用についての我々市民の常識はかなり欠落しているのではないかと感じられ、現場やそれを支える行政の取り組みは、その周知徹底も含めて応援したいと思わされる。
我々の日常を守る人々は、震災などの非常時にはスクランブルに生活の崩壊を救うセーフティネットとしての役割すら担わされている中で、生業としての威厳を確保することもそうであるし、できる限り協力を行えればと思う。 -
Posted by ブクログ
私たちの出すごみがどのように収集され、処理されるかを考え、清掃事業への理解を深めようと書かれた本。
著者は地方自治や行政学などが専門の大学准教授だが、自ら現場に飛び込み清掃車に乗務し、その体験を通して清掃行政の研究を進めている。
自ら作業を体験し現場労働の苦悩を知り抜いていることから、この本の内容は、清掃事業従事者への慈愛とリスペクトに満ちている。
杜撰なごみ出しが現場労働者をどれだけ苦しめ落胆させるかについて認識を促し臭いや不要品を扱うことから従事者を見下げる社会的風潮があることに警鐘を鳴らす。
誠に説得力のある内容であり、ひいては資源循環型社会やエッセンシャルワーカーへの関心を高める役割も -
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<目次>
はじめに
第1章 「あなたの出したごみがどうなるか」知っていますか
第2章 ごみ収集に関わる仕事はいろいろありすぎる
第3章 ごみと地域は表裏一体
第4章 一緒に考えるごみと持続可能性
第5章 これからのごみの話をしよう
<内容>
タイトル通り、ごみの収集の話を中心に、ごみの削減、リサイクル、大規模災害後のごみの話をしている。東洋経済新報のウエブサイトでの連載が基となっている。実例と実体験(著者は大学教授ながら、ごみ収集の現場体験を数多くしている)が主。小泉改革でごみ収集の民間委託が進んだが、第5章にあるとおり、大規模災害時のごみ対応は、民間ではできないことなので(民間は