あらすじ
エッセンシャルワーカーとして注目を集める清掃従事者。その実態はどうなっているのか。気鋭の著者がごみ収集の現場を参与観察し労働体験することで、災害時の対応、大量廃棄、多文化共生などの問題をあぶり出し、地方自治のあり方を問う。
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Posted by ブクログ
著者のフィールドワークを通して、清掃事業の実態と課題を紹介する本。
普段さも当然のようにゴミを回収してもらっていた身だが、非常に勉強になった。
まずひとつ目は、清掃業務は「簡単に出来る仕事ではない」ということ。
傍から見ると、ただゴミ袋を積み込むだけの、誰にでも出来る単純労働に見える。
しかし実態は多くの改善や経験に支えられており、素人がすぐに真似できるようなものではないということだ。
これは他のエッセンシャルワーカーにも共通で言えることだろう。
我々はともすると、自分の知らない分野や、肉体労働・賃金の低い仕事をつい見下す傾向がある。
しかしどの職業にも、その職業なりの研鑽や積み重ねがあるはずだ。
そういった他職種への敬意は、絶対に忘れるべきではない。
また「住みよい街を作るには住民の当事者意識も必要」という点も重要だと思った。
住民も清掃事業に関心を持ち、正しく分別やゴミ出しをして、なるべく回収しやすいように協力するべきだということである。
「カネを支払っているのに、なんで客が協力しないといけないんだ」という人もいるだろう。
しかしその理屈では、これからの時代は通じない。
なんせそもそも人が足りないのだ。
金を払えば何でもしてもらえる、という時代は終わりを迎えつつあると言える。
これはスーパーの無人レジなどにも言えることだと思う。
何より、自分たちの暮らしのことだ。
横柄にならずに、少しくらい協力し合って何が悪いんだろうか。
他にも清掃従事者への差別や、女性職員の活躍など、様々なことが書かれている。
特に新宿二丁目の大規模な美化への取り組みは、この仕事がただの単純作業ではなく、夢と価値がある仕事であることを示している。
自分たちの暮らしが何によって支えられているのかよく分かる、とても良い本だった。
多くの人に、特に子どもたちに読んでほしい。
Posted by ブクログ
コロナ巣ごもりで、今まで顧みることなどなかったゴミ収集をも、少し意識するようになり、この本を手に取ってみました。
ゴミ収集事業の奥深さ、清掃職員の心意気、コロナ前後の変化、そして、なにより、新宿二丁目の美化活動の事例が興味深かったです。