樋口大良のレビュー一覧
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ネタバレ小学生・中学生のこどもたちがヤマビルを研究する。大人はコーディネートするだけで、研究を引っ張ったり指示したりはしない。道具を用立てたりと環境を整えてやるだけ。
表題にもある通り、ヤマビルが人間が来るのを察知して、その人間を狙い澄まして木の上から落ちてくるという例はほぼない。それを己の体を使った実験で実証する。
そもそも木の上に登るヒルを見ることがないらしく、また木の上に登ったとしても、常時風があたり乾燥しやすい木の上でヒルが待機するメリットもなさそうだ。
これらを発表したとき、しつこく彼らヤマビル研究会を否定する高年齢男性の記述も1つのクライマックス。いわゆる俗説・通説から抜け出せない典型例として悲しく描かれている。この男性も、この発表が子どもたちの手によるモノではなくどこかの大学教授とかだったらまた全然違う態度になるのだろう。あわれみを感じるとともに、他山の石とすべき、と痛感する。
ヒルの広がりについての要因、いわゆる俗説では鹿である。鹿にとりついたヒルが遠隔地で落ちてその場で広がる。
このことについても研究会は考えている。彼らの研究・考察では、水の流れによるものが大きいのではないかということ。ヒルが繁殖しやすい場所(ヒルスポット)にいるヒルが、獣道・山道などを流れる雨の水流で移動すること大きいと。
しかし、一方でヒルの血液から鹿のDNAも見つかっている(カエルも吸血対象らしい)。そこで宅配便で例えると、拠点から拠点への物流は鹿などの長距離移動可能な生物に便乗して、拠点から各住宅などのラストワンマイルは水流が要因などでは、ととりあえず落としどころを見つける。
彼らはヒルを解剖してその体内の構造にもアプローチしている。吸われた血液の流れや心臓の有無などとどまることを知らない。
自発的な探究心から仮説を立て、それを自ら検証する、という行為を繰り返している彼ら。コーディネートする大人達も主役は子どもたちだとして、インタビューや発表を子どもたちに全て任せている。これは子どもたちの自発や自立につながる。自分たちで思考して決断する。このような機会が得られることは尊い。子どもたちの一人はインタビューでいう。
「学校の実験は、結果が決まっていることをただなぞるだけだが、ヤマビル研究会は違う」 -
Posted by ブクログ
主体的な学びという、学校ではよくテーマになる学習を地でいっている感じ。しかし自分や自分の子供たちの経験を通してみれば、実際の小学校で、主体的な学びというものは、あまりないように思える。学校の先生の筋書きがあって、そちらに誘導されているような風に思えてならなかった。しかしヒル研は一人一人の子供が主体的に学んでいて、その姿が頼もしかった。
写真が白黒でちょっと見にくいのが残念。イラストなどを入れていくれたら、分かりやすかったように思う。またちょっと文章がとっちらかているようにも思えた。先生は一人一人の子供の人となりが分かっているから、このような書き方でもいいのだろうが、子供の前情報がない読者には、話が細切れになっているように思えた。 -
Posted by ブクログ
2011年から10年ほど三重県で活動している「子どもヤマビル研究会」の活動の様子や成果が綴られている。ヒトの血を吸うヤマビル、その生態はあまり研究されたり知られたりしていないと言い、知的に興味深く読んだ。もちろん、ヤマビルに対して素直に探究心をぶつけ、自分たちの疑問や考えへの答えを追求していく姿、感心したり応援したり。
そして、著者の樋口さんを含め、周りで支える、ガイドする大人たちが素晴らしい。こんなチャンスがもっと多くの子どもたちの身近にあれば、自然や考えることが大好きな子どもが増えるに違いない。
見るからに気持ち悪く、そしてヒトの血を吸うという生態から、嫌がられる、避けられる存在のヤマビル。だからこそ、思い込みや迷信が多く、その代表的なものが、タイトルになっている「ヒルは木から落ちてこない」だと。子どもたちは、それを証明するための実験方法を考え実践し、そして発表会で迷信を捨てられない多くの大人たちと論戦を繰り広げ、どんどん逞しくなっていく。 -
Posted by ブクログ
ヒルは気持ち悪くて苦手。
なのに、そんなヒルを研究している子どもたちがいるという。
この本を読めば、私も少しはヒルが怖くなくなるのではないか。
そんな気持ちで読み始めた。
子どもたちの好奇心、偏見の少なさや順応性を感じ、こちらもいきいきとした気持ちになった。
私も、ヒルは木からも落ちてくる、ということを聞いたことがあり、そうなのだと思っていた。
しかし、違った。
疑問を持つこと、そしてどうやってそれを検証していくのか。
検証結果は正しいといえるのか。
そんな科学的な考え方や方法を学ぶのにも、ヒル研という場は素晴らしい場所だと感じた。
ヒルで魚釣りができるというのが驚き。
発想が素晴らしい。
ヒル一匹で、餌の交換が不要になり、何度も釣りができるらしい。
子どもたちだからこそ、思いつけたのかもしれない。
とても興味深い、おもしろい本だった。
【memo】
・ヒルは、濃度2.5%の食塩水が限界。
それより濃いと死んでしまう。
それより薄いと生きている。