あらすじ
嫌われ者の「ヤマビル」の研究に
愛をもって取り組む子どもたちが常識に挑む物語。
「好奇心が未知の扉を開ける衝撃が満載だ」
山極壽一先生激賞!
各地で増え続けているヤマビル。
山だけでなく里でも被害が増えています。
知らない間に血を吸う嫌われ者のヤマビル。
そんなヤマビルの生態研究に挑む小中学生がいます!
その名も子どもヤマビル研究会。
彼らは、山でヤマビルの数を数え、
ときに自らの血を吸わせて育て、そして、解剖までするのです。
そんな彼らが解き明かしてきたヤマビルの生態の数々を紹介します。
そして、「ヤマビルはとてもかわいいいきものです」とまで言い切る、
いききとした子どもたちの感受性に驚嘆する1冊です。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
小中学生の男の子たちが、楽しい本です! はじめて山に入ると、ヒル(ヤマビル)に衣服の中まで侵入され、パンツの中までも! ヒルに血を吸われるとしばらく血が止まらないので、パンツが血に染まって・・・ギャー!
そんなだった彼らが、一人前のヤマビル研究員になっていく姿がよかったです!
慣れた子だと、ヒルが「ヒョコヒョコ」歩く姿だったたり、獲物が近づいて活気づくとにきみせる「ヒルダンス」がかわいいと感じるそうですよ。
小学校の元先生だった著者の樋口大良(ひぐち だいりょう)さんが、野外活動を指導した時に、子どもたちのヒルに対する反応のよさから目をつけました。
それに、どんだけ捕っても、怒られることはないから、ヤマビルは実験材料に最適らしいのです。
それではじめたのが「子どもヤマビル研究会」です。小中学生で研究員を募集、月に1、2回、週末に一泊二日で活動しています。
子どもたちが「研究員」、樋口さんは「コーディネーター」です。コーディネーターは、予定だったり、活動の調整役だそうです。
集まったのは男の子ばっかり。自ら手をあげた子もいますが、お母さんにすすめられた子もいます。(すすめたお母さんはヒルが大嫌いなんですけど、その親心とは・・・)
はじめは何も知らないところからです。なので、ヒル関係者?の話を聞いたり、コーディネーターにヒントをもらったりして、まずはヒルをよく見て絵を描くところからのスタートです。
ヒルについて、昔から言われていることなんかも研究のヒントにします。
例えば、「ヒルは木から落ちて獲物に取りつき血を吸う」なんて言われてたのを確かめます。(研究結果は本のタイトルになってます・・・)
子どもたちが研究をすすめる様子をみていると、自分でやってみること、仲間と話し合うことの大切さがわかります。そこから研究のヒントに気づいて、仲間と話し合って次のテーマにつなげていきます。
この本を読んでも体系的なヤマビルの知識は得られません。挑戦したけど壁に突き当たったこともいっぱい書いてあります。
そして、大学なんかの研究ともちょっと違います。でも、子どもたちが楽しく「研究」して、考え、話し合って、発想を広げているのがよくわかります。
ほんとに、子どもたちの「突破力」が激ヤバです!
もうひとつ、子どもたちの素晴らしかったところがあります。それは、いろんなところで自分たちの研究を発表していることです。
発表すると「それは間違っている!」という人もあらわれます。そんな意見にも真摯に向きあい、どうしたら納得してもらえるのか考えます。それを自分たちの研究にフィードバックする姿がたのもしいですね。
わたしもお母さんたちと同じく、ヒルはイヤです。でも子どもたちが、ヒルを使って学びを深めていく姿はとってもいいです。
Posted by ブクログ
「ヤマビル」にかつて血を吸われた経験があり、その気色悪さと、1日間ほど血がダラダラととまらなかったことに閉口した。これで対策が出来る。傷口をよく水洗い、ストッキングを着用、忌避剤も有効だ。いい本と出会えて、感謝。
Posted by ブクログ
子どもたちととことん向き合って、ヤマビルを調べる。著者は元学校の先生だというが、きっと現役時代ではいろいろ制約があっただろう。子どもたちの潜在能力の引き出し方が凄い。小中学生、学年入り混じって勉強する姿が魅力的。
かつて関わった環境学習講座を思い出しながら読んだ。あの子たちは今頃どんな風に成長しているかしら?と。いろんな学びの姿があることを自分自身が勉強させてもらった期間だった。
Posted by ブクログ
大きいヒルと小さいヒルと。ヒルはいかん。落ちてこない検証実験がすごい。ヒル忌避剤効くのね。秦野駅ヒルスポットは思わず検索してしまったことであるよ。仮説と検証をとてもとてもまじめにやってて、すごい。
Posted by ブクログ
読みやすいです
俗説に惑わされずに検証を重ねていくところが面白いです
ただ読み進めても気持ち悪い感情は消えませんでしたが
研究員の人たちの頑張りには学ぶことが多かったです
Posted by ブクログ
10年間ヤマビルを子どもたちと研究してきた人のまとめた本。
ちょうど高野聖を読んだ頃にこの本の存在を知ったので読まないわけにはいかなかった。
自分もヒルは木から落ちてくるんだなと思ってたし。
ヒル自体、自分は見たこと無いけど、この本を読むといるところにはマジでうじゃうじゃいるんだな、と知った。
「ヒルは足元から上がってきて、血を吸われても痛みもなくて30分くらいついてることもあるから、首の血を座れてるということはこれは上から落ちてきたに違いない、と勘違いしてしまうことがある」、と。
また、「ヒルがいるような森の中では木も多く、ミノムシや木の実、枯れ葉が上から降ってきてそれをヒルと思ってしまうこともありそう」、と。
なるほどー。
「そもそも木の上から落ちてくるということは木に登らなきゃいけないわけだが、木についているヒルを見たことはなく、地面には山程ヒルがいる場所の木の下で3時間待っていても落ちてこない。ハレノヒも、雨の日も。」
「しかもヒルは乾燥に弱く、いつもは草や枯れ葉の間にいるから、木の上という乾燥しそうな所にいるとすぐ死んでしまうだろう。」
などなど、言われると確かに〜、となりっぱなしのことを子どもたちが次々と思いつき、そして先生のサポートもあって次々と証明していく。
まるで爽快な推理小説のよう。
他にも、そもそもヒルが人に寄ってくるのはどういう仕組みなのかということで、捕まえたヒルに向かって息をかけてみたり、色んな温度のものを用意してどれに寄ってくるか確かめたり。あとは塩に弱いということで何%の食塩水まで耐えられるのか。果てはカッターやメスで解剖していくという、ありとあらゆる研究をしていく。
これは子どもたち、楽しいだろうなー。
理科の実験では答えありきのことを確認していくだけだが、ヒルの研究では答えがないので、気になることをとにかく確認していく、それを先生が全力で応援してくれるという、それは子どもたちもやる気が上がる。子どもたちの好奇心とひらめきの強さ、そして教育についても色々と学びになる本だった。
Posted by ブクログ
そもそもヒルって見た事無いんですよね。映画や小説なんかでは出てきますが、山登りもフィールドワークもしない身としては遭遇する可能性は低い生物です。
でも尺取虫のように人に迫ってきて、気が付かないうちに人から吸血するヌメヌメした生物なんて好きな人居ないですよね。僕もちょっとつかむの躊躇すると思います。ミミズ触れるけれどやっぱり嫌だもんねえ。
そんな嫌われ者のヒルの通説を、小学生たちが地道な研究で覆した痛快なノンフィクションです。
当然導き手の大人たちは居るのですが、彼らも初めて知る事な訳で、答えが分かっている実験に導いている訳ではないんですね。そこが本当に素晴らしい。
ヒルが木から落ちてくる、シカがヒルをばら撒いている等、常識とされていた通説を覆していくのは本当に読んでいて胸が熱くなるし、好奇心というのは新しい事を発見する一番重要なエネルギーなんだと実感しました。
ヒルにも詳しくなったし、ちょっとかわいくも思えてきます。実物見たらとても受け入れられないと思いますが・・・。
Posted by ブクログ
本の雑誌ベストから。これは、ノンフの一つの理想形。純粋に、ヒルが木から落ちてこない事実一つとってみても興味深いし、小学生中心に行われた研究だから、そんなに小難しいことも行われないから、分かりやすい。仮説の立て方や解釈の仕方につき、自然の流れで説かれていくから、気が付けば研究のイロハについても教えられている、という結構。比較的近所ということもあり、我が子も参加させたい欲求にまで駆られてしまった。素晴らしい一冊。
Posted by ブクログ
小中学生が所属する「子どもヤマビル研究会」の10年の活動の様子と研究結果をまとめた本。最初は恐怖でしかなかったヒルは、研究を進めるうちに愛すべき?研究対象に変化する。
子どもたちは、なぜ?どうして?という自分の知的好奇心に従って、ヒルを自由に研究していく。これが本当に学ぶということなのだと感動した。そして、研究成果をイベントやラジオなどで堂々と発表する姿が素晴らしい。すべての子どもが研究者なのだ。
Posted by ブクログ
何とも衝撃的なタイトルです。
興味本位でも怖いもの見たさでもでもなく、必要に駆られて私は手に取りました。
いきなりショッキングな映像などが出てこないかと、恐る恐る心してページをめくりました。
などと大層な前置きですが、私は山歩きを趣味としていますので、ヒル問題は避けて通れず、目下私の中では重大な懸案事項となっております。
そのヒルについて研究をしてくれているのですから、目を通さない理由はありません。
子供たちが、三重県の鈴鹿の山のふもとでヒルについて調べている、というのはネットで見て知っていました。
本を手に取り、あ~あの子達だ!とすぐわかりました。研究を重ねてこんな立派な本に仕上げたんだ、それも山渓から出版・・・と感動したものです。
私も、鈴鹿山系を歩く機会が多いものですから、知っている地名や山が出てきて、より親近感を持っているのですが、いかんせん題材が題材ですので。
でもページをめくらないことには進みません。
まぁ、子供たちというのは怖いもの知らずというか、好奇心旺盛というか、わざわざヒルの出没スポットに行って、ヒル採集をするという、身の毛がよだつようなことは基本中の基本、(そりゃヒルを持ってこなくては研究にならない)
まずヒルの形状から始まり、何に反応するのか、弱点は何か、そしてタイトルにある木から落ちてくるのか等々、実験は進みます。
樹木の下にシートを敷いて(シートの周りには忌避剤を振ってある)ヒルが木から落ちてくるのを3時間も待ってみたり、それも条件を変えて何度も。
全身すっぽりビニール袋をかぶり(顔だけ出して)サウナ状態になりながら足元のヒルが何分で首まで上がってくるか、などまさに体を張った実験を繰り返したり、解剖をしてヒルの臓器を調べたり(う~~ブルブル)
彼らの興味は次々と湧き上がり実験はどんどん高度化していくのです。
彼らはヒルを駆除するのが目的ではなくあくまで研究対象、片や私はどうしたら避けられるかというのが問題なので、相いれない部分もあるのですが、「敵を知り己を知れば百戦危うからず」ではありませんが、大いに参考にさせてもらう部分はあると思います。
これからの彼らの研究にエールを送りたいです。
※本文中の写真が白黒でよかった。
それとページ数の代わりにいろんな形をしたヒルのイラストが怖かった。ちょうどページをめくる手に触りそうで・・・
Posted by ブクログ
山登りをしていてひょんなことで調べものをして、子どもたちがヒルを研究してるらしいと知って読みましたが、とっても面白かったです。
子どもたちのヤマビル研究会での様子や取り組みなどが淡々と?紹介されているのですが、一つのことに一生懸命取り組むことの大切さも教わったように思います。
山に行く人にはぜひ一度読んでみて頂きたいなと思います。
Posted by ブクログ
未来、というものに明るさを見出すことが難しい、少子高齢化が爆速で進行する現在の社会。自分たちが子どもだった頃の「世界はよくなっていくのだ」という楽観論ではなく「世界で乗り越えて行かなくていけない問題にどう向き合うか」という悲観論とまで行かなくても重い課題を未来人材に背負わせてしまっていることに申し訳なさみたいなものを感じてしまっています。だからこそ2020年の大学入試制度改革の目玉がアクティブラーニングというキーワードだったような気もしますが、今、コロナ禍に巻き込まれた教育現場の中で、いまどこにしまわれてしまっているのだろう、と思っていました。が、ここには自分で考える、自分で見つける、自分で語るアクティブラーニングがありました。子どもヤマビル研究会、10年間の記録。書名の「ヒルは木から落ちてこない」は「ヒルは木から落ちてくる」というなんとなくの定説を子どもたちがひっくり返した偉業の証です。ひとりひとり興味や得意なことが違ったり、集中力が続かなくて水遊びに走ったり、おやつやお弁当も活動の大切な要素だったり、ごくごくフツーの子どもたちの研究が繋がれて、学者も注目する成果を上げていることに、ものすごいうれしさを感じました。決して信じようとしない高齢者の頑迷固陋に動じないプレゼンにも「負けるな!」と応援気分になってしまいます。翻って上から目線の定説人間になってないか、と怖くもなりました。決して子どもたちを導こうとせず、徹底的にフォローに回る、樋口大良というおじいちゃん先生の存在が大きいのだと思います。きっと。この本を読んでいる間、これで日本の未来は大丈夫!と、つんく♂的ポジティブ・モードに入りました。ありがとう、子どもヤマビル研究会!
Posted by ブクログ
以前に山登りの時にヒル被害にあい、怖いもの見たさで読み始めました。こどもヤマビル研究会の子供達が色々な実験を重ね、ヒルの定説を覆す事実を見つけていきます。この本のおかげで、ヒルついて色々な知識が着き、見る目もすこし変わりました。
次にヒルに出会った時は対応が変わる…かもしれない笑。
Posted by ブクログ
ヒルはミミズのような見た目に血を吸うなどとても気持ち悪い生き物だという認識を持っていた。しかし、ヒルが木から落ちてくる、鹿がヒルをばら撒いているという常識が子供達によって覆されていく様子はとても面白かった。
また、ヒルについての様々な知識や、あまり研究されてないという意外なことまで知ることができた。
Posted by ブクログ
20年以上前、私は山で仕事をしていた。幸いヒルに吸い付かれた経験はなかったが、同僚などは犠牲になっていた。その時の話を聞いたことが何度かあり、山では上からヒルが降ってくるという話も耳にしていたので、タイトルに惹かれて手に取った。
とても面白い本だった。
科学的なアプローチというものがどういったものなのか、解りやすい実例として紹介されているので、読み物としてとても楽しく読めた。『ヤマビル』というひとつのテーマからいっさいぶれることがないため、情報も錯綜しておらず、スムーズに知識が入ってくる。枝葉を下手に茂らせることなく、バラエティの豊富さを選ばなかったが故に、知見というものの豊穣さと可能性を示唆するという感じで素晴らしいと思った。
ヒルは木から落ちてこない。少しだけヒルの生態を知れば、それが不自然であると解る。それでもそれが根強く流布しているのが、創作の影響だったらしいという部分に、今の時代はいっそうに警戒するべきではなかろうかと思った。
Posted by ブクログ
ヒルの生態に造詣が深くなる。子どもたちが研究の主体となっているのが素晴らしい。
ヒルはシャクトリムシのように動く。
ヒルはミミズの仲間。普段は湿った落ち葉の下などにいる。乾燥に弱いので、草刈りは効果的。
ヒルは二酸化炭素で反応し、体温に集まる。
ヒルは二酸化炭素で活性が上がる。野外では2.5mくらいから反応する。
ヒルは塩や醤油に弱い。食塩水は塩分濃度2.5%で死ぬ。
ヒルは動物の体温くらいの温度(30-40℃)に強く反応する。
振動には反応しない。乾燥しやすい木の上には登らない。
Posted by ブクログ
小学生の研究とあなどれない
素晴らしい研究でおどろいた。
これまでの常識までも
覆すとは。
私も医学系の研究を行っていた
時期がある。系統立てて
予測を立て、それに適した
実験系を考え、実験し
えられた結果から結論を導き出す。
そこから考えられる新たな疑問を
また研究する。
終わりがない。
結論が導き出せるとも限らない。
でも、小学生は粘り強い!
是非とも、応援したい。
Posted by ブクログ
ヒルに興味を持って分からないことが出てきたら実験して調べて解き明かしていく子どももあっぱれだし、子どもにヒルがついたまま帰宅してヒルを家の中に入れる危険性があったにも関わらずヒル研究を許諾して研究を支えた親もあっぱれ。
こうやって自ら調べていく子たちの未来が楽しみ
世の中の当たり前を覆していく姿が良かった
Posted by ブクログ
日本でも数少ない本格的にヒルの研究者たちはなんと小・中学生!?
私は山登りが趣味なのでヒル問題はわりと切実ですが、この本のおかげで正しいヒル忌避剤の使い方をマスターしました(^o^)
何より研究者たちの『わからないこと』への向き合い方が真摯で素晴らしい。
Posted by ブクログ
「でも、ヒルの殺気が感じられない」
そして、主犯に仕立て上げられたシカの冤罪を晴らそうと、さまざまな資料をあたって、調査研究機関のヒントを求め始めた。
↑面白かった
Posted by ブクログ
子供の力は素晴らしい。大人は気持ち悪いと思うヒルを可愛いという。何百匹も何千匹も捕って観察を続け、発見をした。ヒルを語らせたらこの子たちの右に出るものはいないとまでになった。私は挿入写真も見たくなくて、知りたいけど読みたくないという葛藤と戦いながら読み終えた。心の奥では没滅を密かに願っている。
Posted by ブクログ
小学生・中学生のこどもたちがヤマビルを研究する。大人はコーディネートするだけで、研究を引っ張ったり指示したりはしない。道具を用立てたりと環境を整えてやるだけ。
表題にもある通り、ヤマビルが人間が来るのを察知して、その人間を狙い澄まして木の上から落ちてくるという例はほぼない。それを己の体を使った実験で実証する。
そもそも木の上に登るヒルを見ることがないらしく、また木の上に登ったとしても、常時風があたり乾燥しやすい木の上でヒルが待機するメリットもなさそうだ。
これらを発表したとき、しつこく彼らヤマビル研究会を否定する高年齢男性の記述も1つのクライマックス。いわゆる俗説・通説から抜け出せない典型例として悲しく描かれている。この男性も、この発表が子どもたちの手によるモノではなくどこかの大学教授とかだったらまた全然違う態度になるのだろう。あわれみを感じるとともに、他山の石とすべき、と痛感する。
ヒルの広がりについての要因、いわゆる俗説では鹿である。鹿にとりついたヒルが遠隔地で落ちてその場で広がる。
このことについても研究会は考えている。彼らの研究・考察では、水の流れによるものが大きいのではないかということ。ヒルが繁殖しやすい場所(ヒルスポット)にいるヒルが、獣道・山道などを流れる雨の水流で移動すること大きいと。
しかし、一方でヒルの血液から鹿のDNAも見つかっている(カエルも吸血対象らしい)。そこで宅配便で例えると、拠点から拠点への物流は鹿などの長距離移動可能な生物に便乗して、拠点から各住宅などのラストワンマイルは水流が要因などでは、ととりあえず落としどころを見つける。
彼らはヒルを解剖してその体内の構造にもアプローチしている。吸われた血液の流れや心臓の有無などとどまることを知らない。
自発的な探究心から仮説を立て、それを自ら検証する、という行為を繰り返している彼ら。コーディネートする大人達も主役は子どもたちだとして、インタビューや発表を子どもたちに全て任せている。これは子どもたちの自発や自立につながる。自分たちで思考して決断する。このような機会が得られることは尊い。子どもたちの一人はインタビューでいう。
「学校の実験は、結果が決まっていることをただなぞるだけだが、ヤマビル研究会は違う」
Posted by ブクログ
主体的な学びという、学校ではよくテーマになる学習を地でいっている感じ。しかし自分や自分の子供たちの経験を通してみれば、実際の小学校で、主体的な学びというものは、あまりないように思える。学校の先生の筋書きがあって、そちらに誘導されているような風に思えてならなかった。しかしヒル研は一人一人の子供が主体的に学んでいて、その姿が頼もしかった。
写真が白黒でちょっと見にくいのが残念。イラストなどを入れていくれたら、分かりやすかったように思う。またちょっと文章がとっちらかているようにも思えた。先生は一人一人の子供の人となりが分かっているから、このような書き方でもいいのだろうが、子供の前情報がない読者には、話が細切れになっているように思えた。
Posted by ブクログ
2011年から10年ほど三重県で活動している「子どもヤマビル研究会」の活動の様子や成果が綴られている。ヒトの血を吸うヤマビル、その生態はあまり研究されたり知られたりしていないと言い、知的に興味深く読んだ。もちろん、ヤマビルに対して素直に探究心をぶつけ、自分たちの疑問や考えへの答えを追求していく姿、感心したり応援したり。
そして、著者の樋口さんを含め、周りで支える、ガイドする大人たちが素晴らしい。こんなチャンスがもっと多くの子どもたちの身近にあれば、自然や考えることが大好きな子どもが増えるに違いない。
見るからに気持ち悪く、そしてヒトの血を吸うという生態から、嫌がられる、避けられる存在のヤマビル。だからこそ、思い込みや迷信が多く、その代表的なものが、タイトルになっている「ヒルは木から落ちてこない」だと。子どもたちは、それを証明するための実験方法を考え実践し、そして発表会で迷信を捨てられない多くの大人たちと論戦を繰り広げ、どんどん逞しくなっていく。
Posted by ブクログ
子どもたちがヒルの生態を解明していくのが上手く書かれている。
ヤマビルを生態系の一つとして客観的に観察して、解明すべきことが沢山あるなか、一つひとつ実験を繰り返していく。
好奇心、探究心とはこういうものだなあと感心。読んでいてワクワクが伝わってくる。
Posted by ブクログ
読みやすい内容だった。
実験の目的や発見の楽しさ、子供たちが自ら学んで成長する過程が、羨ましく思えた。
学校での一律の教育ではなく、子供自身が好奇心を持つことで学ぶ楽しさと自然環境の不思議を体験する。
読んでいて私もワクワクした。
けどヒルのリアルな実験の記述などは、虫嫌いの私には気味が悪った。