米本和広のレビュー一覧
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ネタバレオウム真理教、エホバの証人、統一教会、幸福会ヤマギシ会、ライフスペースの子供たちを取材した本。
カルトに出家した親に同行した子供たちは社会から隔離され、暴力によって支配されるか育児放棄される。栄養状態も悪い。それらの弊害が学力不足、平均以下の体格、そしてとりわけ深刻な情緒面の不安定さとなって表れる。カルトで隔離されて過ごした期間は子供たちにとってトラウマとなる。対人関係がうまくできず社会に出ても孤立しがちで、学力がないから低賃金の職業にしか就けない。そもそも社会に出られず引きこもってしまうケースもある。
子の欲求に親が応えるのが通常の親子関係だとすればカルトの親子関係は親の欲求を子供が満た -
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表紙を見てギョッとしたが、とても興味のある分野だったため手に取った。
どの章も読んでいて胸が痛んだ。カルトの子が背負う現実はあまりにも想像を絶するものだった。本来、子どもが誰しも持っている権利がどこにもない。そして暴力が正しいとされていることが何より怖かった。目の前にいる自分の子どもへ愛情を注がずに、神や楽園、幸福など目に見えないもののために必死になる。それが私には信じられない。
でも実際にその渦中にいたら自分もそうなってしまうのだろうか。正義が逆転していても違和感を感じなくなるのだろうか。
たくさんのことを考えさせられた。子どもが受ける暴力の中に宗教が関係している場合もある、ということを知る -
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こういう人間の凄惨な行為を描いた本は、体調が悪くなる。だから、体調が良い時に読むべきだ。私はよりによってハーフマラソンくらいの距離を走ってきた後の疲労感の中で読み始め、具合が悪くなってしまった。
人間社会は、公正な相互監視により、ゆっくりと良くなり、弱者にも配慮できるようになっていく。しかし、こうした相互監視を抜け出た閉鎖空間には、権力の偏りによる未熟で原始的な自治が存在する。家庭内の児童虐待、子供同士の虐め、残忍な犯罪、そして本書のようなカルトの世界。
好き勝手、弱者である子供たちを犠牲にし、虐待し、ネグレクトし、洗脳する。その実行犯である大人たちは閉鎖空間の中でバグった物語を信じ、アイ -
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私がここに書かれている宗教の「カルトの子」当事者だからかも知れませんが「もしカルトの子に生まれてくると分かっていたら生まれてきたかっただろうか」という文章に関してはあまり感心しないというか、同意できるものではありませんでした。
他人に対して「不幸」を勝手に定義するのもどうかと思うし、更に「不幸な子供は生まれても来ない方が良かった」という考えは危険な香りさえしました。
個人的には、なんだかんだ、生まれてくればこっちのもんだと思っています(笑)。もちろん、そう思えるようになったのは、他のスピ系の本や、般若心経、荘子、スピノザといったものに出会えたからかも知れません。私はラッキーだっただけとも -
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カルト集団(オウム、エホバの証人、統一教会
ヤマギシ会)に入信した信者の子供たち(二世)の環境をレポート。
親が入信する中、子どもには選択肢はなく、入信となる。
親は、教団の教えが最優先、次々と教団の最優先の事項に対応し、子どもに構う暇はない。
子どもには本来の親のような愛情がなく、場合によっては隔離されたりするか、激しいしつけをされるかなどそれぞれの環境は過酷。
エピローグに記載があった以下フレーズが印象に残る
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ところが、これまで見てきたカルトの親子関係は、親の要求を子どもが満たすという歪な関係になっている。
カルトが入り込むと、子どもより世界救済(オウム)、地上の学園(エホバの -
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エホバの証人って何者?と知るのであれば本書よりふさわしいものはないだろう。今はデザイナー的な仕事(間違ってたらすみません)を行っている著者は9歳から母親が信者になったことで運命が決まり、家族の価値観全てが証人の世界となって大人になり、そしてある日電撃的啓示を受けて証人のマインドコントロールから抜け出すこととなる。
とりあえず本書から知ったこと、感想を列挙
・エホバの証人は他の新興宗教系からイメージするものとは違い、本当に真面目で、誰か教祖的な存在が信者から金を巻き上げるものではない。なにせ学歴を否定して、信者には信者を増やすための活動をするためには新聞配達などの自由な時間が持ちやすい(しかし金 -
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ネタバレ読んでいる途中で、私が育った家庭環境かな?という描写があったので驚いた
暴力・暴言の中で育っていたので、それが性格が歪んだ原因だと思っていたのだが
どうやら親から存在をなかったことにされたことに一番ダメージを受けていたというのを知ることができた
例によって私も職を転々とし、大切にしてくれた異性の愛情を信じることができず追い詰め結局手放されてしまった
両親ともにカルト宗教にのめり込んでいたわけではなく、世間から見れば普通の親だったのだろう
それが余計に怖い
あとがきでカルトではない家族間でも同じ状況になりうると書いてあった大きく頷いてしまった
内容とずれてしまったが、始終追体験をしているよう -
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ネタバレオウム真理教、エホバの証人、統一教会、ヤマギシ会の中で育ってきた子供たちの有り様とそこを脱出したあとの人生について書かれています。
カルトはここに書かれただけではないでしょうが、組織の大きなものや事件が起きたところをメインにしているのでしょう。
エホバの証人が布教活動にいつもたくさん子供を連れて歩いていることの謎が解けました。
あまりにも身体的精神的に暴力が激しく加えられるという状況(ネグレクトも含め)がどのカルトでも起きていて読んでいて目をおおいたくなるような箇所がたくさんありました。
親が入信する前に産まれた子供と入信後に産まれた子供とは扱いに差があるということも、かなり衝撃でした。
本