岩崎春夫のレビュー一覧
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ネタバレ●本の内容
高級カシミアセーターの創業者、ブルネロ・クチネリが自身の経営哲学について書いた著書。売上770億円、世界137店舗に広がる会社であるが、人間のための資本主義「人間や自然を傷つけ攻撃せずに利益を生む資本主義」を貫き、事業目的を、倫理的にも経済的にも人間の尊厳を追及することとし、現代の資本主義からは一線を引いた上で正当な成長を続けている。
これらの考え方は、クチネリが農村で自然と家族の中で育ってきた経験と、書籍(特に哲学)からの学びを基に構築されており、イタリアのソロメオ村で、城の中に本社や職業学校、劇場、公園を作り実践している。
著者の夢は過去の美しさと未来の美しさをつなぎ合わせるこ -
Posted by ブクログ
ブルネロクチネリの自伝的な本。
ドキドキワクワクとかは無いが、美しい本だな、と思った。
ブランドの成り立ちだけでなく、彼自身の人生が綴られ(哲学関連の技術がとても多い!)、ブランドの根幹にある「人間の尊厳」に対する強い意志が理解できる。
帯にあった楠木建氏の推薦文がすべてを表している。
「思想を紡いで服をつくる。服に託して哲学を売る。完璧なスタイルがここにある。」
ブルネロクチネリは、服ではなく、思想・哲学を売っている、ということが良くわかったし、ショップから感じられる空気感の理由が分かった気がする。(高くてとても手が出せないブランドではあるが、、、) -
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<目次>
序文
第1章ソロメオ、精神の宿る村
第2章幼年時代
第3章私の心の大学
第4章カシミアの彩り
第5章世界へ
第6章親愛なる匠たち
第7章輝く未来
第8章創造物との対話
第9章心の中のゆるぎないもの
第10章日々の印象
訳者あとがき
p97人間の価値を尊重し、人間の価値を信じる
P146西洋人は自分の信じる宗教への信仰の深さで
敬虔さを判断する。日本人の宗教観は受容の精神の
あらわれであり、多少の違いがあれ多くの東洋人が
同じような宗教観を持っているのに対し、西洋人は
排他的である
P156中国人の基礎には家族や伝統というルーツがあり、
中国人の特徴は常に未来を見続ける点にある
読 -
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イタリアのブランド「ブルネロ・クチネリ」を経営しているクチネリ氏の人生と経営について。まず翻訳が素晴らしく美しい日本語で、言葉の隅々まで洗練されていることに感動した。
自然と人間と夢への志を尊重することから「正しい労働」=タイトルである「人間主義的資本主義」は実現されていくということ。
かんてんパパの会社、伊那食品工業を彷彿とさせる丁寧で温かで人間らしい哲学だなと感じました。
最も心に残ったのは、彼の幼少期。田舎の農家で、13人家族に囲まれて、電気もテレビも電話も水道もない環境で育ったクチネリ氏の想い出。とっても瑞々しかった。決して裕福ではなかったけれど、家族やコミュニティとの温かな人間 -
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カシミヤ製品をはじめとするイタリアの高級アパレルメーカーであるブルネロクチネリ社の創業者が、自身の生い立ちから会社の創業とこれまでの成長の道程を振返り、「人間のための資本主義」という経営哲学を解説した一冊。
イタリアの田舎にある小作農家で育った幼少期から、一家で移住した都会での生活を通じ、著者は大家族による愛情に溢れたコミュニケーション、自然の美しさや厳しさ、田舎の共同体における規律を重んじる文化や都会で受けた差別経験などから、美と人間性を重んじ、祖先から引き継いだ土地の歴史や文化を適切に保護・管理して後世に残すために資本主義を活用するという、「人間中心の経営」を理念として掲げ、顧客と生産者 -
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【印象に残ったところ】
私がこの世に生まれたのは、裁くためではなく、ましてや非難するためでもない。
私がこの世に生まれたのは、知るためである
Byスピノザ
→そう、自分はそれでいいんだ。誰に何を言われようと。経営も世界を知ることの近道だからだ。人との関わり、商業、お金(経験)
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私は読書に没頭し始め、時には、文章のスタイルの美しさが、本の主題そのものを超えるように感じられることもありました。
→自分も似た感覚を持つ。
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誠実さ、素直さ、善意を持つことが最もコスパの良いことかもしれない。
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成功を収めるには裏表がないことが重要です。意志の強さに加え、誠実であることは私の構 -
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ネタバレ情景描写が美しい本だった。
ブルネロ・クチネリが目指すものは経済と倫理の両面における人間の尊厳。それにつながるものが、美を大切にすること、年輪を重ねた人やものと未来の世代をつなぐこと、愛のある豊かさ、本当に偉大なものは簡素であるという考え方とのこと。
美しい会社であるということは世の中にどんな意味を与えるのでしょうか。その答えの糸口は、やはり、ありとあらゆるものと自分との関係を知るということにあります。
自分を相対化し、自分以外の全てのものに謙虚に向き合う、自分を絶対視しない、独善に陥らない、客観的に距離を置いて自分を観る。こうした行いは知性や教養という概念とほとんど同義でもあり、美しさ