クラウス・コルドンのレビュー一覧
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クラウス・コルドンの「ベルリン」三部作の第三作。
一作目の1919ではゲープハルト家の長男ヘレ少年の目から第一次大戦の敗戦と王政の崩壊を、二作目の1935ではヘレの弟ハンスの目からナチスの台頭を描いた。そして第三作はヘレの娘である少女エンネの目線でソ連軍の前に崩壊していくナチス、ベルリンの街を描く。
ヒトラーとナチスの栄光が翳りを見せ、敗戦の色濃いベルリンの街。人々は毎晩空襲を恐れ、一夜明けるごとに街は瓦礫と化していく。
そんな中、それでもナチスを信じる人々、ナチ党に入党し、その手先となって働いてきたにも関わらずベルリンに押し寄せてきたソ連兵からの迫害を恐れてその過去を隠そうとする人々。そして -
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コルドンのベルリン三部作の第二作目。
前作は1919年、第一次大戦末期のドイツ革命が起き、帝政が崩壊し、共産主義による貧困からの脱出を夢見るベルリンの人々の姿を10代の少年ヘレの目線で描いた。
第二作は一作目でまだ赤子だったヘレの弟、ハンスが主人公。
世界恐慌と、ベルサイユ条約の賠償金によって貧困に喘ぐドイツ。ドイツ共産党とドイツ社会民主党は反目し合い、ヒトラー率いるナチスの台頭を許しつつあり、町にはナチスに入党し突撃隊の隊員となって、職場の仲間に対して脅迫行為に及ぶ者たちが増えていく。
そして、予想を裏切ってヒトラーがヒンデンブルク大統領によって首相の座につき、独裁政権への着実な一歩を踏み出 -
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「ベルリンは晴れているか」の作者深緑野分さん推薦の クラウス・コルドン 「ベルリン1919 赤い水平」は、第一次大戦で敗色濃厚となったドイツ帝国の1918年11月から19年のベルリンを舞台にした小説。
戦争に疲弊した状況を打破しようと水兵が蜂起し、ドイツ革命が起きる。しかし帝国の転覆と同時に主導権争いが起き、当初は優勢と思われていたドイツ共産党の前身スパルタクス団は劣勢に。そして帝政時に権力を握っていた政治家たちが力を取り戻し、ベルリンは激しあり市街戦へと突入していく。これは今から見ると敗戦国ドイツが混迷の中でナチスの台頭を許す、その一瞬前、それとは別の道を歩めたかもしれないベルリンの混沌を貧 -
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イギリス人作家マイケル・モーパーゴの作品を読み、ドイツ人作家は大戦をどう書いているのか知りたくなって読んだ。
1919年、1933年、1945年のベルリンを舞台とした「ベルリン3部作」全6巻。ゲープハルト一家が3代にわたって各巻の主人公として描かれる。
政党名も覚えられず、登場人物の名前も何度も確認しながら、それでもシンプルに「なぜ人をたくさん殺す状況が起こったのか」を知りたかった。単純にナチスは悪い、ヒトラーは酷い、で片付けるのではなくて。なぜそうなったか。
全6巻を読んで、まだその答えを持てない。本文中、各登場人物はそれぞれの考えを言っていた。ナチスなら貧しさから逃れられると信じたとか、