スティーヴン・J・シンプソンのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
タンパク質欲!バッタから人間まで、タンパク質が満たされるまで食べ続けるという。逆に言えば、カロリーは十分でも、糖質や脂質中心の食事をすると、食欲は満たされない。食品メーカーは、みたいなことまで書かれていますが、どうだろう。確かに、加工食品は糖質と脂質が多いかもしれませんし、私たちが食べ過ぎてしまうのは、そのせいかもしれませんが、この実験結果を知ってそう言うものを販売しているのですかね。
本来は、私たちは食べたいものを食べたいと思う量食べていれば、満足して健康でいられるのかもしれません。
しかし、内容も興味深いけれど、読み物としても面白い書籍だと思いました。 -
Posted by ブクログ
【本書の核心メッセージ:人はタンパク質を求めて食べている】
人間は他の生物と同様に、タンパク質に対して非常に強い食欲を持ち、その欲求が何をどれだけ食べるかを決定している。脂肪や炭水化物ではなく、タンパク質の摂取量を満たそうとする力(タンパク質レバレッジ仮説)が、現代の過食と肥満の根本原因である。
【タンパク質:生命を支える最重要栄養素】
タンパク質とその構成要素であるアミノ酸は、分子中に窒素を含み、ホルモン、酵素、DNA、RNAなど体内のあらゆる重要物質を構成する。人間はタンパク質を摂取しなければ生きていくことができない。
【脂肪:体を守り、細胞を形作る存在】
脂肪は寒さから体を守り、ビタミンを貯蔵し、肌を潤し、眼球や関節を衝撃から守る。脂肪酸は全ての細胞膜を構成する重要な要素であり、脂肪なしでは生命は維持できない。
【炭水化物:エネルギー源であり構造材料】
炭水化物は糖類・デンプン・食物繊維に分類され、最小単位はグルコースやフルクトースである。グルコースはエネルギー源であるだけでなく、窒素と結びつきDNAやRNAの構築にも関わる。人体はタンパク質や脂肪からもグルコースを生成できるため、理論上は炭水化物を摂取しなくても生きられる。
【ビタミン・ミネラル:微量だが不可欠な栄養素】
ビタミンとミネラルは必要量こそ少ないが、生命活動に不可欠な微量栄養素である。ナトリウム、カリウム、カルシウムなどが電流を生み、心臓の鼓動や神経伝達を可能にしている。栄養は単体ではなく、全体のバランスで考える必要がある。母乳はその理想形である。
【食物繊維:食欲を抑え、腸と心を整える】
食物繊維は満腹感を高め、消化吸収を遅らせ、腸内微生物の餌となる。腸内細菌はその見返りに短鎖脂肪酸やビタミンなど重要な栄養素を産生し、免疫や精神の健康にも寄与する。食物繊維は食欲のブレーキである。
【沖縄食に見る食物繊維の力】
伝統的な沖縄の食事は食物繊維が豊富で、肥満とほぼ無縁だった。主な炭水化物源であるサツマイモや野菜、果物に含まれる繊維が、空腹感を抑え過剰摂取を防いでいた。
【乳糖と人類の進化】
哺乳類の乳に含まれる乳糖は、乳児期のみ分泌されるラクターゼで分解される。酪農文化では、発酵による乳糖分解(ヨーグルト・チーズ)と、成人後もラクターゼを分泌できる遺伝的進化によって克服されてきた。
【超加工食品と栄養転換】
伝統的な食環境が、科学的に設計された超加工食品に置き換わると、必ず肥満と関連疾患が増加する。超加工食品の摂取増加は、糖尿病、心疾患、脳卒中などの増加と強く結びついている。
【超加工食品が食欲を暴走させる理由】
超加工食品ではタンパク質が脂肪と炭水化物で薄められ、食物繊維と微量栄養素が除去されている。その結果、タンパク質欲求を満たすために人は食べ続け、必要以上にカロリーを摂取してしまう。
【食物繊維を除くと食欲のブレーキが壊れる】
リンゴ4個は食べられなくても、リンゴジュースなら簡単に飲める。これは繊維が取り除かれたためである。繊維の除去は食欲のブレーキを切る行為であり、肥満と超加工食品の関係を象徴している。
【低タンパク・低繊維・低コストの誘惑】
脂肪と炭水化物が多く、繊維とタンパク質が少ない食品はおいしく、安く、大量に食べられる。結果として超加工食品は市場で圧倒的優位に立った。
【二酸化炭素増加が食の質を下げている】
大気中のCO₂濃度上昇は光合成を促進し、作物中のデンプンを増やす一方、タンパク質・食物繊維・微量栄養素を希薄化させている。これは超加工食品と同じ方向の変化である。
【食品産業の構造的な問題】
食品は誰にとっても必需品であり、食品産業は常に成長と利益を求められる。その結果、安価な原料を加工し高付加価値商品に変える構造が生まれている。
【子どもの食嗜好は一生続く】
子ども時代の食の好みは生涯続き、次世代にも影響する。食品会社が子ども向けマーケティングに力を入れるのは、将来の顧客を確保するためである。
【健康そうに見える表示の罠】
緑のラベルや「果糖入り」「フルーツ〇%」などの表示は健康的に見えるが、実際には加工食品の摂取を増やす結果を招いている。
【インスリンと肥満・糖尿病】
インスリンは血糖調整とタンパク質分解抑制に重要な役割を果たすが、過剰摂取が続くとインスリン抵抗性が生じ、2型糖尿病へと進行する。
【妊娠期・乳児期の栄養が一生を決める】
低タンパク食の母親から生まれた子どもは内臓脂肪が多く、血圧上昇の兆候も見られる。一方、母乳は低タンパクだが、脳の発達と長い学習期間を可能にする最適な設計である。
【年齢によって最適なタンパク質量は変わる】
中年期はやや低タンパク・高繊維が健康と老化抑制に有効だが、高齢期には筋肉維持のため再びタンパク質量を増やす必要がある。
【食欲は敵ではなく調整装置】
極端に炭水化物やタンパク質を制限すると、逆に強い欲求が生まれる。食欲は私たちをバランスの取れた食事へ導こうとする自然の仕組みである。
【超加工食品を見分ける実践的ヒント】
家庭で使わない成分名や、多数の添加物が並ぶ食品は超加工食品である可能性が高い。
【印象に残った言葉】
食欲は最高の調味料 -
Posted by ブクログ
面白かった。読むべき。
後半、加工食品や食品メーカーへの警鐘強めなメッセージになっている点はご愛嬌。
ざっくりとこれ読んで知れる事は2つ。
1. 人間以外はどうやって必要な栄養素を選別して適切な食べ物を食べているのか?
2. 虫や動物は必要な栄養量に従って食料を摂取できるのに、なぜ人だけは食べ過ぎるのか?
一時期クワガタを飼育ブリードしていたので特に1.は興味深かった。
クワガタの場合、どれだけ大きな個体を羽化させるか?がとても重要な要素になっており、そのために幼虫時期に食べさせるエサは何が良いのかはとても大きな関心事です。
この本で述べられているタンパク質量による食料摂取量調整は結構重要な要素なんだと思います。
幼虫を太らせるために糖質過多なエサをあげ過ぎると羽化しなかったり途中で力尽きたり。タンパク質過多だと多分早生ミニサイズになるんだろうな。
飼育している当時、この話を知っていたらこのあたりの話を考慮して飼育してみたかったです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ学生時代はコンラート・ローレンツ(動物学)やリチャード・ドーキンス(進化生物学)などが結構好きでした。
当時は「人間はなにか」というテーマで卒論・修論を書いておりましたが(哲学専攻)、テーマ設定の時点で哲学独自で論を進めるのも難しく、こうした分野の本を結構読みました。
本書についても、当初は類似の方向かなあと思っていました。つまり、動物の行動や特性から人間にも共通する性質を読み取る、というものです。
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まあ私の読みはそこまで外れたものではありませんでした。
筆者らは、バッタをはじめ各種動物を色々と観察し、人間も含めた動物がタンパク質欲を持つことを発見しました。
もちろん、食物は純粋にタンパク質だけではなく、脂質や炭水化物、あるいは食物繊維などが含まれています。どの動物も必要タンパク質量を満たすのに最適な食物を(自動的に)とるというのです。その際、高たんぱく質食を取れる場合は脂質や炭水化物不足でも食事を止め、逆に低たんぱく質食しか手に入らない場合、カロリーオーバーでもタンパク質をとるべく食べ続けるというものでした。
更には、食餌の取り方によって、寿命を延ばす・生殖しない、寿命は短い・子孫を増やす、というスイッチ/閾値まで分かってきたというのです。
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これ、すごくないですか。タンパク質量が最重要ダイエット指標となると。
まだ頭の整理が追い付いていませんが、炭水化物抜きダイエットや肉食のみダイエット、絶食ダイエットなど色々ありましたが、幾つかはひょっとしたら間違っているかもしれない可能性が出てきたかもしれませんね。いや、痩せられるのかもしれませんが、その副次的な影響があるようですね。
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更に、本書の白眉たる点は、どういう食事が良いのか、というものについても述べている点ですね。
これはいわゆるホールフードという、加工度が少なく多くの栄養素が含まれる食品ですね。
で、更に良いのは、逆にどういうものが良くないかという所にまで言及していることでしょう。
ここにきて、やや左翼的?陰謀論的?な流れですが、個人的に大好物なトピック。
意識的か無意識的か、グローバル食品会社は加工食品にタンパク質を極力入れず、食物繊維を除き、脂質と炭水化物ばっかりの超加工食品を作っていると。
人間の食欲のドライバーがタンパク質量だとすれば、こうした超加工食品はタンパク質欲を満たすことが出来ないので、どんどん摂取すると。更に食物繊維を含まないため口当たりよく人には美味しく感じるということ。
かつて『食べてはいけない』という書籍がありましたが、30年後に科学の世界からも超加工食品が良くない点が裏付けをされたといっても良いでしょう。
またこうした食品会社が米国政府に圧力をかけて政府のアナウンスの形を変えていることも語られていました。
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ということで、生物学・栄養学の折衷的な本でした。
私の好みにドンピシャな内容でしたが、きちんと理解するためにまた時間をおいて再読したいと思います。
なおビジネスパーソン的には、これをコンディショニングの本として読むべきでしょう。どういう食事で自らをコントロールするか。多くのダイエット本がありますが、本書もその参考として良いと思います。 -
Posted by ブクログ
帯が「LIFE SPAN」作者のデビッド・A・シンクレア博士だったので見つけた途端、手に取ってました。博士は面白くてイッキ読みしたそうで。
最近日本でも、老いない研究が注目されているけれど、この本も「食」を通して、どんなバランスが人間の長寿につながるのか、バッタやマウス、オラウータンなどの実験動物を通して気の遠くなるような細かい調査を行い、長い年月をかけて完成させた「今のところ」の集大成です。
研究者は本当に好きじゃなきゃ続けられないなと頭が下がります。お金もかかるしモチベも素晴らしい。体を張ってます。
タンパク質や炭水化物の重要性がバランス的にどのあたりなのか、実際にこれを此位と書いてあるわけではないですが、比率別に実験してどれが長生きするのか、詳しく書かれています。
とても興味深くあっという間に読み終えました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ生物は自分に必要な栄養をどうやって判断し摂取しているのか。
考えてもみなかった謎だったけれど、とても面白かったです。
そして、どうして人間は自分の食欲を制御できずに肥満になっていくのかについて、なるほどなぁ〜と。
様々な研究があり、いろんな考えた方がある。
一概に食品添加物や超加工食品がすべて悪いとはいえないし、この便利な世界を今更放棄することもできないけれど、あきらかに人工的な食事に頼るのではなく、健康に生きられるにはどんな食べ物を選べばよいのかを考えるきっかけになりました。
と、言いつつアイスクリームもポテチもチョコだって食べちゃいますけどね。でも、体に良いか悪いかという線引きが自分の中で明確にできるようになったように思います。 -
Posted by ブクログ
# 食欲と生物の進化についてゆるく学べる一冊
## 面白かったところ
* 動物の栄養バランスをとるための食欲のメカニズムが面白かった
* やはり精製食品は悪、賞味期限が書いてない生鮮食品は正
## 微妙だったところ
* 特になし
## 感想
動物の食欲は、PFCバランスを取れるように促すアルゴリズムは、まさに遺伝子の方舟であるように思えた。
〇〇が食べたい。と具体的に食欲を表明する人間がいて、自分にはその理屈が当時がわからなかったが、人間も同じように、食欲をコントロールするホルモンがあるんだと理解できた。
人の食欲はテキトーであるように見えて適当である。
他に面白かったこととしては、「犬は人間の残飯を食べるように進化した」説である。
我が幼い頃、飼い犬に味噌汁ご飯をやっていた近所のおじさんが居た。あの犬がどうなったかは知る由もないが、自分が観測していた範囲では元気に庭を飛び回っていた。
犬と人間の歴史は長く、犬がヒトと家畜を守るように進化したとしたら辻褄が合う。犬も家畜と同様、ヒト化したのだ。
食という切り口から進化生物学を学ぶことができる一冊で、大変おもしろかった。
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この一冊から読書方法を変えた。オーディオブックで事前に3周くらい聞いてから、書籍を手に取って文字を追う。
仕事で忙しい合間でも、耳から知識が入り込んでくる体験のお陰で、今までよりも読書スピードが早まった。