石田理恵のレビュー一覧
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生まれと育ちについて適当なことを言ってくる人にエビデンスで殴り返せるのでとても有用です。
行動遺伝学(双子の比較)や行動経済学、統計など論文もたどれるので便利。
これを肝に銘じて子育てしてる。
要約
「子どもの性格は生まれつき」
「遺伝子の組み合わせで決まるので、きょうだいでも違う」
「育てにくい子もいるけど、それも受精のときに決まることなので妊娠中の過ごし方とか親の育て方とか愛情の問題ではない」
「親子で性格が合わないこともある」
引用
「ジェンダー意識、すなわち自分が男の子であるか、それとも女の子であるかという意識は、その人に備わった性器の種類によって決まるものではない。ましてや親が与えようとして与えられるものではない。」 -
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子供sj風団が成立すると、その集団固有の文化が自然発生する。親が移民同士で、共通言語を持たない子供同士でも、子供集団が成立し、新しい文化・言語が成立することがある(新しい手話言語の自然発生など)
ジェンダーの差は、大人社会が子供に押し付けるものではなく、子供集団において自然発生する。男の子集団と女の子集団が成立すると、ジェンダーの差が発生する。女子校のように女の子だけの場合は、ジェンダーの差は大きくならないし、逆に集団が小さすぎて女の子だけのグループが成立しない場合もジェンダーの差は発生しにくい。
固有の子供集団が成立すると、その集団は他の集団からの違いを際立たせる方向に集団文化を発達させる傾向がある。多数の白人と黒人が交じる学校では、黒人だけ、白人だけのグループができて、黒人グループでは、勉強をしないという文化が生じる傾向がある。黒人だけの学校の場合や、黒人の人数が少なすぎて黒人だけのグループが成立しない場合には、そのような傾向はない。
部族社会では、ティーンエイジャーも働き手として大人社会に属する。そのため、10歳位までの子供集団と、それ以上の大人集団しかなく、ティーンエイジャーグループが成立しないために、ティーンエイジャー文化も成立しない。工業化社会では、ティーンエイジャーは、働き手とならないために、独自のグループを構成し、独自の文化を生じる。
両親が揃っていない事自体は、子供の精神的成熟に悪影響を与えない。問題発生の原因になるのは、離婚する親の性格的問題点が遺伝すること、シングルマザーの経済的状況が悪いために、問題を生じやすい子供文化が根づいている地域に住む傾向があること。
親にできることは、良質な子供文化がある地域で子供を育てること、頻繁な引っ越しによって子供を集団から何度も切り離さないこと、それが無理な場合には子供の数を増やして、家族内だけで子供集団を成立させそこに良質な文化を作らせること。親子で共有する時間はそれほど重要ではない。
出生順位は、子供の家族内での態度には影響を与えることがあるが、子供の社会での性格にはほとんど影響を与えない。
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見方としては面白いので一読の価値ありだが、研究としては甘いと感じた。
3000万語の格差という研究がある。沢山言葉が飛び交う家庭とそうでない家庭。前者で育った子の方が語彙を獲得する、という研究だ。本書ではこうした研究において、沢山言葉が飛び交う家庭ならば、社会文化的地位が高い可能性があり、遺伝子的にも優れた可能性があるから、沢山言葉を発さなくても子どもは言葉を獲得したのではないか
と疑問を呈する。
たしかにな、と思う一方で、本書でも取り上げられたように帰無仮説、否定的な内容を立証することは出来ない。また、
結局、「重要なのは親じゃない"こともある"」までしか主張できないはず。多くの読者が思う「親の影響で自分はこうなっている」という事例が複数ある以上、結局、親としてやれることはやる必要がある。
ただ、本書で述べられているように、子育てにしんどくなったら、「重要なのは親じゃない」と都合いい時には信じて、適度に息抜きするのも大切だと感じた。
また、本書は社会化説を支持する。すると、より良い社会、良い学校などに保護者は自分の子どもを入れようと尽力する。すると、著者のいう「子育てを少しでも楽にしたい、親の子育てストレスを軽減したい 」という目的から遠ざかり、受験熱を増してしまう。構造的な矛盾を抱えている。
大量の論文をメタ分析した教育学者ジョンハッティのように、メタ分析してみないことには、「重要なのは親」なのかどうか論ずるのは難しいのではないか。
結局、文脈依存性VSポータブルスキルという話かもしれない。
「子どもに対する親の行動は、親と一緒のとき、または親を連想する状況で、子どもがどう行動するかに影響を及ぼす」と述べていて、親の影響力も認めている。 -
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新版になって、読みやすくなった。
子供の性格は遺伝子が約半分を担っているが、残り半分は環境に影響される。
環境のうち行動様式や言葉遣いに重要な影響を与えるのは、親から子への伝承ではなく、子供の仲間からの伝承である。
伝統社会で、年齢を超えた子供同士の社会が存在する場合は、文化は、子供社会内で時代を超えて受け継がれていく。
近代社会で、子供同士の社会が、年齢で輪切りにされている場合は、有力な親集団から子供社会へ、そして子供社会内で文化が伝えられていく。
移民が多く住む地域にいれば、子供社会も移民文化を受け継ぐので、移民の文化が保存されるが、移民家族が、同じ文化の移民があまりいない地域に移住すると、家庭内で移民文化を引き継ごうとしても、子供は周囲の子供社会の文化を継承することになる。 -
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『サピエンス全史』を買う金がなかったらこれ読んどけ、くらいの当たり本。
子育てハウツー本ではありません。
・・・そして、読みやすい本でもありません。
これは、科学と研究手法に対するちゃぶ台返しの仕方が書かれている本です。執筆において挫折と恨みを情熱の燃料に投入するちょっと扁壺なおばあちゃん(在野の方です。つまり、一般人。)の稀有な研究書。引用やテーマは縦横無尽。発達心理から人類学、統計、ジェンダー論まで筆者の粘着質な追及が冴え渡る!
子育て中の人はこれを読めば肩の力が抜けるはずです。
子育て終えたみなさんには、自分の子育ての結果についてあまり思い悩むことのなくなる胃薬みたいな本。
そしてすべでの皆さんにとって、自分の人となり(性格や習慣や振る舞い方や言葉遣い。本書では人格ではなく性格という表現を選んでいる。)がどのようにして形作られたかを遡る、自分のルーツに想いを寄せる知的な冒険になるはずです。
文庫で安いし、オススメですよ〜。 -
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子供の社会化への親の影響度合いをどう考えるかを社会心理学や行動遺伝学の様々な研究結果を基に考察。
従来では親が子供の性格を決める重要な役割を担っている(子育て神話)と言う思想が一般的であったが,永続的な性格という点においては親の影響は限定的であるという説を提唱している。
影響を及ぼさないのではなく,限定的であるという点がミソである。当然ながら乳幼児期の愛着の形成は子供の発達にとても重要な役割を果たす。
研究結果->知識人のpickup->世論 という流れで様々な思想は広まっていくが,この分野はそもそもの研究結果自体が確実でなく,一見正反対に見える様々な意見が乱立している。
結局のところ統計処理では因果関係は掴めないので,それっぽい相関関係は取れるがその因子はどれだったのか,が曖昧であるということを頭の片隅に入れて冷静な目でこれらの説を眺めていくのが良い気がする。
性格というものはそれぞれの集団に対して生成されるもので別の集団に対しては別の顔を持つということはそれほどおかしなことではない(むしろ自然)。
乳幼児の息子を持つ身としてはあまり気負わず,育つように育つ(本書では社会の中での性格は親とのやりとりとは別の集団において醸成されるという説)と思って育児(と言う名の息子との遊び)を楽しめれば良いと思っている。 -
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ネタバレ・スキナーの行動主義が強かった時代には、泣いている赤ちゃんを抱き上げるという行為は抱き上げることで泣くという行為を強化する、として戒められていた。今は全く逆のことが言われている。
・そもそもこうした社会科学の研究ではコントロールを置くこともできないので因果関係を立証することは甚だ困難だ。親が叩くから難しい子になるのか、難しい子だから叩かれるのか、はっきり立証されないまま一般的に正しい意見とされていることが非常に多い。
・人の心理的特徴はその50%が遺伝の、50%が環境の作用による。環境には家庭などの共有環境と、友人関係などの非共有環境がある。しかし1970年代にはアメリカの心理学は行動主義の影響下にあり、遺伝の影響を認めない傾向が強あった。政治的にも生まれながらの相違点の存在を認めず、遺伝の影響を否定する傾向があった。
・Dunn & Plomin(1990)によると、出生順位と性格傾向についても関係はない。長男はこういう性格、、、などというステレオタイプな見方は間違っている。家の中では出生順位と性格の関係はあるかもしれない。第一子は支配的で責任感が強い。しかし、こうした出生順位との関係は家庭内にほぼ限られている。仲間との付き合いにおける社会的生活能力は子供の中に存在するのではなく、それぞれの人間関係の中に一つずつ存在する。
・親よりも環境が重要な証拠として、非行少年たちも(家族同伴で)転居するだけで問題行動が減るという。孟母三遷の教えはやはり正しいのだろう
・IQも労働者層の親に育てられるよりも中流階級の養父母に育てられた方が12ポイントほど上昇するという。ただし、養父母に育てられた養子二人のIQの相関は幼少期には強い。これはおそらく各家庭の環境によるものだろう。しかしこの相関は大学入学ぐらいの年令になると消えてしまう。血のつながりのあるきょうだいに近いIQになり、12ポイントほどの優位は7ポイントほどに小さくなる。 -
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ネタバレ親の養育によって子供の人格は型作られるという、「子育て神話」に対する反論として有名な本。
いわゆる社会科学に対する方法論上のツッコミ(実験ができないのに相関関係を因果関係とみなしがち)など冗長な部分も多いが、主張としては以下の三点
・子供の性格形成に親はほとんど無関係。親と似るところはあるが、その理由は遺伝子を受け継ぐことと、親と同じ文化に属するからにすぎない。
・子供の社会化、性格形成は家庭外での経験、すなわち仲間との共有環境による
・人の行動パターンは一般化されにくい。家庭での行動は家庭内だけで有効な行動で、子どもたちは新しい状況では現状に即した新しい行動パターンを身につける