モーリス・ドリュオンのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
児童文学に駄作無しと思っています。大人が子供に読んで欲しい本というのは真剣に選んでいるので必然的に名作が残っていくのでしょう。
本作もレビューするのがおこがましい作品です。植物を異常繁殖させる能力を持った、恵まれた家に生まれたチト。彼の生家の家業が兵器商人だと知った時どうするのでしょうか?
人と人が争う事、人が人を裁く事。局地的な平和と貧富の差。誰かの不幸で成り立っている世の中の仕組み。色々な要素が詰まっていて、読み取るものが沢山入っています。
特に目新しい事が書いてあるわけでは実は無いのですが、大人になると真っすぐこういう事と向かい合っていく事も減り、「世の中はこういうものだ」という固定観念 -
Posted by ブクログ
60年近く前に翻訳された、フランスの童話。著者のドリュオンは小説『大家族』で有名な文学賞であるゴンクール賞を受賞した作家です。
小学校低学年の年齢に当たる少年チトは、町の大金持ちの両親やその大きな家で働く家政婦や庭師のおじいさん、両親の工場で働くかみなりおじさん、そして馬たちに囲まれて生活しています。学校へ通うことになると、まるでそのシステムに適応できず、すぐに退学することに。両親の指示によって庭師やかみなりおじさんに物事を学んでいくことになるのですが、そのうちに自分の家が武器工場だと知ることになります。
中盤までは横へと筋が流れていくお話だったのが、中盤からはそれまで語られた世界や人びと