フィリパ・ピアスのレビュー一覧
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ネタバレフィリパ・ピアスという作家の名前は「トムは真夜中の庭で」と「まぼろしの小さい犬」という2つの作品と密接に結びついている KiKi にとってこの本は今回が初読でした。 で、この本を今回手に取ってみたきっかけはこのブログの柱企画「岩波少年文庫全冊読破計画」の一環であるのと同時に「宮崎さんの推薦文」にもあったわけですけど、初めて宮崎さんの推薦文の中にこの本が入っているのを見た時には、逆に思ったものでした。 「あれ?? どうして、『トム~』の方じゃないんだろう??」と。
そうであるだけにこの物語への期待値は否応なく高かったことをまずは白状しておきたいと思います。 そしてその期待はまったく裏切 -
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ネタバレ時を超えて出会う少年少女。
ハティ少女の時代にトム少年が遊びに行く形だが、トムにとってハティの空間では何時間も遊んでいたつもりなのに、現代に戻れば数分しかたっていない。
深夜に大時計が13時の鐘を鳴らす時、裏庭に通じる扉から秘密の庭園へ行けるのだ。
思ったより意外性はなかったが、幽霊のように扉を通り抜けたり、行く度に庭園の時間が変わっていたりというファンタジー要素が面白かった。ハティが女性になっていることにトムが気付かないのも良かった。一緒に遊んだ仲であれば、成長なぞ関係ないというのが素敵。どの大人にも少年少女時代があり、トムのようにアクセスできたら面白いのに。
↓ネタバレ
弟が -
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きょうだいのピーターのはしかがうつらないよう、おじおばの住むアパートで休暇を過ごすことになってしまったトム、そこは一軒の邸宅を区切ってアパートにしたものだったが、一階には、時間は正確だが鳴らす音の数がでたらめという大時計があった。
特にすることもなく退屈しきりだったトムが、夜眠れずに時計の鳴る音を1時、2時……11時、12時と数えていたら、時計は13時を打った。おかしいと思ったトムは、一階のホールに降りて時計を確認しようとするが暗くて見えない、そこで月明かりを入れようと裏口のドアを開けると、そこには広い芝生、花壇、温室、1本のモミの木や何本かのイチイの木があった。そこを見たいと昼間にそのド -
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フィリパ・ピアス(1920~2006年)は、英国ケンブリッジ州の村に生まれ、ケンブリッジ大学ガートン・カレッジ卒、BBCでラジオの教育番組の制作に携わった後、児童文学の執筆を始め、1958年に発表した本作品でカーネギー賞を受賞した。
本作品は、英国の児童文学の代表作に数えられると同時に、「時」をテーマにした小説の古典とも言われ、英国ではTVドラマ化や映画化もされている。
私は50を過ぎたシニア世代だが、若い頃に読んだ『モモ』が大変好きで、同じように「時」を扱った(児童)文学の古典といわれる本作品はいつか読みたいと思っており、今般新古書店で偶々目にして手に取った。
あらすじは、おじ・おば夫婦の住 -
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子供の日常で起きるささやかだけど、大きな出来事の短編。
近所から嫌われていても気にせず、動物を飼っている謎めいたお隣さん。
川で見つけた貝を、いとこにあげる前に逃がしてしまおうとしたこと。
古い木の解体途中でとんだいたずらをしてしまい、それでもそれがきっかけで、男子グループに入れたこと。
祖父と孫の互いを思いやる気持ちと真夏の早朝の車いす遠足。
木の実を取りに行った先で、お父さんを怒らせてしまい、慌てて逃げた結果迷子になり、助けてくれた若夫婦のこと。
全部じゃないけど覚えてる範囲。
ひとつひとつはどうってことない些細なことだけど、
子供にとっては大切で心に残る記憶たち。
短編だっ -
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ピアスの名作『トムは真夜中の庭で』を読んだのは20代だったと思う。その頃、他の作品も読んだかはっきりしなかったのだが、この短編集のタイトルになっている『真夜中のパーティ』の途中、(子どもたちが夜中に台所に集まって、年長のアリソンが、マッシュポテトを全部使ってポテトケーキを焼き始め、寝ている末っ子まで起こすよう言うくだり)で、思い出した。そのなかなか大胆な発想が効を奏して、しかも面白かったことを…。
それは、ともかく、今、読んでもいい。まあ(これは持論だが)優れた子どもの本は、大人のへたな読み物よりよほど味わい深い。
岩波少年文庫についての本にも、どなたか書かれていたが、字も大きいし、年配にな