権左武志のレビュー一覧

  • ヘーゲルにおける理性・国家・歴史

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    ヘーゲル哲学の核心に三位一体論の独特の解釈が位置していることを浮き彫りにしながら、その思想が悪名高い<歴史哲学>と<法哲学>、さらには『精神現象学』に至るまでの初期ヘーゲルの思想を貫いていることを丹念に論じている。内容は大きく三部に分かれている。第一部では歴史哲学がテーマとなる。『歴史哲学講義』のテキストの成立過程を検証して、ヘーゲル本来の神学的歴史解釈の視点を異質な文化同士の接触による文化の変容であることを指摘している。現在流布している単線的歴史発展史観としてのヘーゲル歴史哲学とは異なる歴史哲学を打ち出し、その現代的意義をも問うという内容になっている。第二部では国家論がテーマとなる。まず、ヘ

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    2014年03月19日
  • 現代民主主義 思想と歴史

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    「民主主義とナショナリズムの相互作用という観点から、フランス革命以来の現代民主主義の思想を統一的に把握し、欧州ナショナリズムの歴史の中で、現在見られる様々な現象を理解しようとする試み」と「はじめに」にあるように、近代民主主義論の先駆者であるルソーの議論や「国民」を政治の舞台の中心に置いたシィエスの議論から出発しつつ、民主主義の思想や運動がナショナリズムのそれとどのように結びつき、現実の制度や秩序に影響を及ぼしてきたかを総合的に叙述している。ただし著者の問題意識は、民主主義とナショナリズムの相互作用からなぜ強力な指導者を待望する民主主義論が誕生するのか、というところにあり、そのためヴェーバーの指

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    2022年01月03日
  • 現代民主主義 思想と歴史

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    フランス革命前のルソーから(カエサルにも触れつつ)現代日本までの民主主義あるいはナショナリズムの考察.初心者にも分かりやすくとの主旨だがかなり読みにくかったが内容は面白い.特にワイマール憲法からナチスの独裁に至るあたりが詳しく,民主主義の旗に隠れたナショナリズムに歴史上のいろんな角度から切り込んでいる.
    そして今日本の「強力なリーダーシップ」「決められない政治」という政治改革の標語風潮に警鐘を鳴らしている.

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    2021年04月04日