高橋祥友のレビュー一覧
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1938年10月31日、アメリカで流れたラジオドラマから端を発したパニック騒動。H・G・ウェルズ『宇宙戦争』を基にしたラジオ劇を聞き、火星人の侵略によって大きな被害、多数の死者が出たという話を信じた人が少なからずたくさんいたという。
・放送がラジオ劇であると判断するカギは「批判力」。
・批判力が高い=教育レベルが高いという一定の相関はあるものの、今回のパニック騒動では完全に相関するわけではない。同じ教育レベルであっても、信じた人/信じない人が同じく存在した。
・その場で批判力が発揮されるか否かは、その人のパーソナリティも大きく関係する。パーソナリティ=危険な状況に直面した際の暗示への感受性。被暗示性の指標:不安定、恐怖症、心配の量、自信の欠如、運命論、信仰心、教会への出席の頻度。
・その被暗示性の強弱は、当然ラジオの聴取状況にもよる。信頼できる誰かから聴くように言われたのでラジオを付けた人、完全に信じ切って興奮している人と一緒に聴いた人などは、より暗示にかかりやすい。
・批判力の発揮に関わる事項としてパーソナリティ、聴取状況、そして社会的背景も大きい。1938年は1939年に第二次世界大戦が起こる1年前。第一次世界大戦の記憶と忍び寄る新たな戦争の影がある生活の中で、突然の臨時ニュース(=隕石の衝突)が入り込むというシチュエーションは至って自然だったのだろう。また、火星人の侵略と報じられているそれは、ドイツ軍や日本軍の侵略なのではないか、と思い恐怖した人たちもいた。 -
Posted by ブクログ
著者はソシオパスであるという。つねに刺激を求め、勝ちたいと思う気持ちが強く、恐怖心を覚えることがなかった。自分がまわりから普通に(あるいは魅力的に)見えるようにつねに演技し、まわりを誘惑し、巧みに操ってきた。良心や後悔がなく、力を行使することが好きで、人を破滅させてきた。ソシオパスである著者がまだほんの子どものころから何を考え、どう行動してきたのか。本書にはこれらが豊富に、ただし淡々とした文章で綴られている。
本書の書き方はかなり淡々としたもので(たぶん意図的に)、抑揚を感じさせない。その文章からは著者が普通の人々(「共感性に富む人」)と同じような感情を持っていないのではないかと思えてくるかもしれない。著者は「自分の感じる感情をコントロールするのが苦手」で、感情の中には「認識もできなければ、理解もできないものがある」(227頁)。会話の最中に、そのような感情を相手が抱いていることを把握することも難しいという。ソシオパス(あるいはサイコパス)には共感性が欠如していると思われるゆえんであるが、だからと言ってソシオパスに感情がないということではない。これは著者が強調していることのひとつでもある。ソシオパスとはあくまで「自然の人間の変種」にすぎないのである(333頁)。
本書にはかなりたくさんの問いかけがある。ほとんど使われてなさそうな近所の自転車を無断で使って、それが持ち主にばれてしまったエピソードのあとで、「このような自転車を無断で使うことは反道徳的なことだろうか?」と問いかける。ソシオパスを普通の人々と分けるのは行動そのものではなく「衝動性、動機、精神内界についての認識である」(28頁)と著者は考えているが、これらの問いかけが、ソシオパスと普通の人々との違いをうまく表していることは間違いがないだろう。
本書では著者の感情の動きがことこまかに記されているので、まるで一人称で書かれた小説を読んでいるような気分にある。というか、実際にこれは小説なのではないだろうか?「訳者あとがき」では、本書は「心理学や精神医学の学術書」ではなく、「かなりフィクションがまじっているノンフィクション」と考えたほうが良いと書かれているが、まったく同感である。
ところで、本書と少し似ているスタンスで書かれた『サイコパス・インサイド』という本がある。研究のために撮った自分の脳画像が、あろうことかサイコパスのものととても似ていることを知って愕然としたという神経科学者が書いた自伝的な本だ。『サイコパス・インサイド』では「何がサイコパスを作るのか」が大きなひとつのテーマになっていて、神経科学的な議論に多くのページが割かれている。サイコパスの内面を描き出そうとしている本書とは、その点でおもむきが違っている。 -
Posted by ブクログ
ソシオパスと診断された著者が、仮名で世に送り出したノンフィクションに近い自伝。
個人を特定されないよう加筆されているため、完全なノンフィクションではありません。
幼児時代から三十代現在までの人生の歩みを、「正常」とされる人とは違った目線で綴っています。
ウェブサイトからメールを送信することで秘密にする約束で本名を明かすとしていましたが、著者は個人情報を漏らされてしまいました。
これにより、失業だけでなく生活においても制限が生じることになりました。
犯罪者ではいない人間が、ソシオパス・サイコパスであるだけでこのような扱いを受けることは「正常」なのでしょうか。
この分野の科学的研究が完成していないための予防策であるとは思いますが、それならば法的原則である疑わしきは罰せずを選択するべきだと私は思います。 -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
私を助けてください!年間3万人を超える自殺者。
その10~20倍は未遂者がいる。
自殺心理の第一人者が25年あまりにわたって取り組んできた衝撃的な未遂の実態を明かし、立ち直るための精神療法を紹介する。
[ 目次 ]
第1章 私が出会った未遂者たち
第2章 自殺未遂の実態
第3章 浮き彫りになる家族の病理
第4章 死の後に起こること
第5章 精神科医に何ができるか
第6章 「死にたい」が「生きたい」に変わるとき
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
Posted by ブクログ
年間3万人を超える自殺者。その10~20倍は未遂者がいる。しかし「死にたい」という気持ちが100%固まっている人はほとんどいない。彼らは最後まで「死にたい」と「生きたい」という気持ちの間を揺れ動いているという。
この本では、自殺までに追い込まれていく人の心理を解き明かしている。また「自殺しかない」という考えにとらわれているのは自分だけではないと説き、立ち直った数々の例も挙げている。自殺を考える人に読んでもらいたい……という思いからだ。そして、自殺に及ぶ前の段階で、どのような手立てを取ったらよいかも書かれ、自殺を考える家族や愛する人にどのように接したらよいかもアドバイスしている。 -
Posted by ブクログ
なんでこんな本が家にあるんだろう・・・。確かに病んでた時期もあったけど。
そうだ!思い出した!!・・・大学の授業で、教科書として購入したんだ。
自殺は、自分を殺すということだけにとどまらない。自殺、あるいは自殺未遂であっても。「自分が死んでもだれも悲しまない」そんな風に言う人がいるかもしれない。悲しまないかどうかはわからないが、周りにかなりの衝撃を与えることは確実だ。悲しみだけでなく、驚き、ショック、怒り、寂しさなどさまざまな負の感情が沸き起こるだろう。自殺は、当事者だけでなく、家族、友達、恋人、同僚など様々な人に悪影響を及ぼす。
自殺という行為に至る前に、精神科を受診する勇気をもちたい。また、周りにそのような人がいれば、少しでも支えになってあげられる人になりたい。そう思った。