木村映里のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレきっと筆者の評価しない姿勢が、これだけの言葉を彼女に託したんだろうなぁと思った。
たぶんセクシャルマイノリティー、シングルマザー、水商売、生活保護、精神疾患など
関わることがなければ他人事のように感じてしまう自分の周囲にあるものを身近に捉えてそれを文章に認めたことに感謝を覚えた。
自分のことを語るにも勇気がいる。
とても芯がある人だと思った。
別の著書も読んでみたいと思った。
著作の中で医療従事者の自分も心に留めておこうと再認識した箇所
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友人の医師は、生活保護受給者への医療従事者の目線に関して、「生活保護の受給者のごく一部に、どうしようもない性格で社会不適応であるがゆえに働 -
Posted by ブクログ
医療従事者が治療の枠の中から人々を見続けていることによって無意識の差別的意識をもつことを、各章で散々思い知らされる。しかし、医療従事者が差別される立場に置かれた感染パニックを経て、条件付きの差別の禁止をうたうことも誤りだったと筆者が自覚する。
看護師のフィールドは、苦しみと傷つけ合いの連続だけど、それでも迷いながら、誤魔化さずにやっていけたら……、と結ぶ(ように思う)。
明晰な文体、豊かな感性、凄い。木村さんの視点からみえる、繊細な気づきと緻密な整備を覗かせてもらうことができて、良かった。赤裸々な人生告白も読み物としては興味深い。
ただ、誰も傷つけたくないという配慮がやや過剰な感じを受ける -
Posted by ブクログ
『医療の外れで 看護師の私が考えたマイノリティと差別のこと』木村映里
こんなにすーっと心に入ってくる文章、久しぶりに読んだ。物事をここまで自省的に、かつ鮮明に描けるのはすごいことだな。絶望するほど重いテーマなのに、前向きな願いに満ちている。
noteやtwitterで色々と発信されている、現役看護師木村映里さんの初書籍。
社会から排除されやすい人々と、医療との距離について。
「セクシュアルマイノリティ」「性風俗」「院内暴力」「子どもを愛せない」「医療不信」「依存症」「性暴力」「医療従事者」の9つのテーマで、貧困や差別に対して医療従事者がどう向き合うべきか論じられている。
筆者本人が当 -
Posted by ブクログ
筆者自身が体験したことを綴っている。
看護師であり、歪んだ家族関係から、認められたい気持ちが拒食症を発症。やがては仕事で鬱という経過がある。
読んでいるとなぜそんなにと感じでしまう自分は、少しでもこれらで苦しんでいる当事者の言葉を読み、どういう状況で思考で、そのようは経過を歩むことになったのかを知ろうとしているんだと気づいた。
でもやはり、どこかで、遠い世界のような感覚もある。
この本の中で、身近に感じた文章がある。『あまりの多忙さと、看護師の上下関係の厳しさに呆然としました。疾患の治療を最大の目的とした病棟で最優先すべきは、適切な処置と循環動態の観察、そして患者さんのその瞬間ごとの身体の安 -
Posted by ブクログ
看護師である筆者が実際に体験した事とその体験に対して考えた事。筆者自身が様々なマイノリティ(LGBT、貧困、依存、などなど)と接し、筆者自身がそれらとの境界を生き、医療職としての自分と当事者としての自分の葛藤が書かれている。非常に生々しい体験がいくつも綴られているのだが、分析的で冷静な文章のおかげで読み進めることができる。
私自身は業界のほんの片隅で、このようなことを内側の人間として経験することはないだろう。しかし患者として医療と接する可能性は常にある。筆者が感じたようなこと、医療者がどのようなことを考えて業務に取り組んでいるのか、ということは参考になる。