品田知美のレビュー一覧
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古典的な山本七平や岸田秀や河合隼雄は目からウロコの日本論であるが,品田知美は社会学的側面から日本の社会を分析している。自分は社会学の本をほとんど読んでこなかったので,なかなか面白い分野ではないかと思えた。
今の日本社会を作ったのは男性や組織ではなく,母親であり,自分の息子を官僚や医者や博士等を目指すように教育したことが原因であることを明らかにした。その結果,男尊女卑や官僚体制だけでなく医療制度や大学の風潮を含む日本の社会体制ができあがったとする。
母親の最優先事項は最愛の息子が立派な人間になることであり,息子たちは母親の期待に応えることが結婚してからも優先事項になる。このような視点は他に -
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前情報なしに手に取ったため、思っていたよりきちんと研究色の強い本で面食らった。が、興味深いトピックが多かった。
"「子どもを持つ」、「育てる」、「過ごす」をすべて同じ人に一致させようとする力学が働く限り、誰もが子どもを産む状況は想像しがたいが、このような厳しい環境のもとで、あえて子どもを持つ選択をした親に大切に育まれた人びとが次世代の社会を作るなら、近未来社会の価値意識には意外なほど急速な地殻変動が起きる可能性はあると思う。"
日本では男女での家事育児にかける時間の差が5倍以上ある、というデータは、自分が子育てしていても実感するところ…
自分の子どもは男女両方いるが、ど -
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ネタバレ重層的に問題が重なっていますよね。家父長の呪いの連鎖という感じ。
やまゆり事件と農水省事務次官の長男殺害事件の考察は興味深かった。
以外読書メモ
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・もしあなたが男性なら、あなたには必ず母親がいます。母親から愛しているふりをされても、騙されてはいけません。彼女が自分のことを愛せていないなら、それはあなたへの愛ではなく自分を愛してほしいという叫びなのです。その叫びにあなたがつきあう必要などありません。本当に愛してくれる母親は、あなたのためだ、などと言って縛り付けようとはしない
・「不機嫌な娘」は、夫を選択できる時代なのに魅力的とは言えない結婚をした母に対して責任 -
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世代によって子育ての仕方の基準が違うという話を聞いて、どう違うんだろうかということを知りたくて読みました。私の知りたかったことにきっちりと答えてくれている本でした。あまりに不規則な授乳からお腹を壊して亡くなる子も多かったことへの反省から、規則的な授乳になり、赤ちゃんの要求に応えられていなかったことへの反省から、こんどはまた赤ちゃんが求めるときに授乳するやり方へと変化していったというのが印象的でした。過去のやり方への反省から、振り子のように揺れながら方法が変わっていく様子がわかりました。この本を読んでいろんな種類の育児書を読んでみたいなと思いました。
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Posted by ブクログ
母親と息子の関係を軸に、日本社会の特性について考察した本。
母親は、その能力を社会に向けて発揮するのではなく、息子の教育を通じて、息子が社会で役立つようにする役割を担っている、と考察し、これが日本における子育ての特徴であり、結果として、母親と息子の分離が起こらず、個人の確立が遅れている、というのがこの本の主張かと思います。
主張したいことはほぼほぼ理解できるのですが、説明がわかりにくい部分が多々ありましたし、「ホンマかいな?」と思う部分も少なくありませんでした。
あとがきによると、編集者が、著者の文章の手直しにかなり苦労したようです。
自分の受けた印象だと、「考察が客観性に欠ける点、ロジッ -
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ネタバレ[ 内容 ]
子どもを産んだそのときから、母親の生活は一変する。
一日中抱っこをせがまれ、夜中も授乳…。
子育てとはこんなに大変なものなのか?
しかも、こうして育てられた子どもの中には、突然キレるなど他人とよい関係を築けない子も増えている。
いまや当たり前になった「子ども中心」育児法はいつどうして生まれたのか。
その問題点とは何か。
母子健康手帳副読本などの変遷を検証し、新たな子育ての技法を模索する。
[ 目次 ]
1章 迷走する子育て
2章 子育ての場に何が起きたか-とまどう親/変わる子ども
3章 子育て法の大転換-一九八〇年代に起きたこと
4章 子育ての二重規準-一九三〇年代-一九七〇年