ルータ・セペティスのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
恐ろしい。身の毛もよだつとはこのことか。
国家規模で行われた洗脳と支配。
孤立させ、暴力と恐怖でお互いを監視させて、疑心暗鬼にさせる。日本でも何件か事件(北九州や尼崎など)があったが、あれを国家規模で。
これは、主義や思想などでは決してなく、ただの犯罪だと思う。
戦時中の日本もこのような感じだったのだろうか?
そして、今現在の隣の国も。
これはノンフィクションではないが、それゆえか、主人公の心情がこちらに迫ってきて、苦しくなった。
最後が、きれいに終わってないところも作者の意図らしいが、この革命はまだ終わっていないと感じた。
平易な文で書かれているので、中学生にもすすめたい。(小学生には刺 -
Posted by ブクログ
ルーマニアと聞いて、人々は何を思い浮かべるだろう?
15世紀、吸血鬼ドラキュラのモデルになったワラキアの梟雄ヴラド・ツェペシュが活躍した。第二次大戦後には”社会主義国家”となったものの、“独裁者”チャウシェスクが君臨し、彼もまた、吸血鬼と言われた。本編は二人目の吸血鬼の時代である。
1989年のルーマニア、ブカレスト。17歳のクリスティアンは、物おじせず自分の意見を言う祖父と、働く母と三人暮らしだ。ある時、秘密警察に目をつけられ、米大使館員の息子から家庭の情報を得るように迫られる。体調の悪い祖父の薬と交換条件に任務を引き受けるが、家族や親友にも話せず、誰も信じられず過酷な精神状態に追 -
Posted by ブクログ
社会主義・全体主義政権のもとで抑圧されていた、革命前夜のルーマニアを舞台とした小説です。
それまで「嘘」だと信じていた西側諸国の豊かな生活が本当に存在することや、ベルリンの壁崩壊を中心に周囲の社会主義国家が続々と自由化してゆくことを知り、自分たちだけが取り残されていることに言いようのない不安を感じます。
また、密告が横行する社会の中で、友人・恋人はもとより家族のことさえも信じられない状況や、「周囲の目・耳があるために事情を離せない」ことで生じた誤解によるすれ違いや仲違いは見ていて辛くなります。
たしかにこの作品は「フィクション」ですが、当時のルーマニアでは本当にあった生活がリアルに描かれてい