電力調達の基礎、ステップ、再エネ調達まで。
電力調達のみならず、再エネ調達企業の評価に役立つ。
◯供給電圧
・特別高圧:20,000V以上
・高圧:6,000V
・低圧:100V(電灯)、200V(動力)
◯力率(%)=有効電力/皮相電力
・皮相電力:電力会社が送った電力
・有効電力:実際に使う電力
◯電力料金=基本料金+電力量料金(従量料金)+その他の料金
◯基本料金=基本料金単価(円/kW)×契約電力(kW)×力率割引(割増)
・特別高圧、高圧:力率85%を基準として、基本料金を±15%
・低圧:基本料金について、85%を上回ると-5%、下回ると+5%
◯電力量料金=電力量料金単価(円/kWh)×使用電力量(kWh)
◯その他の料金
・燃料費調整額=燃料費調整単価(円/kWh)×使用電力量(kWh)
・再エネ賦課金=再エネ賦課金単価(円/kWh)×使用電力量(kWh)
◯大手電力は固定費=基本料金が高く、新電力は電力量料金が高い傾向→負荷率で検討
・負荷率(%)=年間使用電力量/(契約電力×24×365)×100
◯電力調達のアプローチ10ステップ
①電力調達改革の方針決め:内部調整が重要
・購買の分散/集中 → 集中することで調達関連業務の効率化、管理の高度化
・スケジュール:6〜9ヶ月後の供給開始分までの見積もり提案受諾が通常
②電力データの収集・整理
・過去12ヶ月分の実績データ
必須:電力会社名、契約種別名、契約電力(kW)、使用電力量(kWh)
任意:力率(%)、月次最大電力(kW)、電力会社のC O2排出係数
・電力料金実績に関するデータ
必須:基本料金、電力量料金、割引料金や追加課金料金
・契約期間と中途解約条件
需給契約書、大口法人割引特約、長期割引特約、継続割引特約等、複数に及ぶ場合はそれぞれ確認
③電力会社への見積もり依頼
・電力取引報、新電力ネット、エネルギー情報局
・見積もりの前提を「RFP(提案依頼書)」に定める
消費税
契約電力:過去12ヶ月の各月or直近
使用電力量
燃料費調整額、再エネ賦課金:含めない金額で、明示
付帯契約(バックアップ契約、補給契約等):含めず、別枠で提案を受けること明示
④見積もり提案の評価
⑤価格協議・契約条件協議
・契約条件で特に精査すべきポイント
・燃料費調整額:独自設定の場合があり検算
・中途解約金:自動更新か再契約か
・解約予告:短い期間で自由度確保
・自動更新、再契約の場合の申告リミット
・最低引き取り電力量、維持すべき電力(ミニマム条件):ユーザー側にメリットがないので削除
⑥切り替えに関する社内承認
⑦申込手続き、契約切り替え
・外部委託、電気主任技術者の確保
⑧実績モニタリング・評価
・誤りがあり得る
⑨契約更新・切り替え
⑩契約・実績データ管理
◯電力調達の高度化・最適化
・運用改善:拠点の操業時間の短縮化、スライド、機器稼働時間の平準化、設定見直し等により、契約電力と使用電力量を削減
・機器更新(リプレース)
・調達偏差値の確認、外部人材の有効活用
・欧米にあるデータベースを用いた電力調達手法
cf.不動産業界のREINS(レインズ)
・コスト構造分析手法の確立
発電所トラッキング
◯再生可能エネルギー
・稼働から20年以内であれば既存適用
・現在の非FITの大半は水力、今後増加
2016年電力全面自由化に併せて、水力発電に関する新たなガイドラインで自治体が保有する水力発電所(公営水力)は原則として大手電力との随意契約を解消
→地域新電力が水力を販売の可能性
・電力会社が非化石証書を購入することで、FIT電気の環境価値を取り戻す仕組み
・FIT電源は送配電買取
→卸融通(特定卸供給)契約を結ぶことで小売電力事業者が間接的に調達
◯再エネ導入方法
1電力会社の再エネ電力メニューを契約する
非化石証書(再エネ指定)
2電力そのまま環境価値だけ別途購入
グリーン電力証書、Jクレジット(再エネ由来のもの)
※非化石証書は小売電力会社しか購入できない
3再エネ電源に投資してその電力を使う
自家消費、コーポレートPPA
◯エネルギー供給構造高度化法
2020年4月以降、送配電網に接続する再エネ電源から生じるすべての環境価値は原則、非化石証書(再エネ指定)にして取引する
小売電力事業者は2030年までに電気の非化石比率を44%にする目標達成義務
一定規模(販売電力量が年間5億kWh)以上の電力会社に対して、国が達成状況を確認
◯非化石証書
・再エネ指定あり(FIT証書):最低価格1.3円/kWh(税抜き)
・再エネ指定あり(非FIT証書):最低価格なし
・再エネ指定なし:主に原発
◯J-クレジット
・自家消費を前提としているため送配電網に電気を流していない→非化石証書となる制度変更の対象とはならず引き続き利用可能
◯グリーン電力証書
・日本品質保証機構(JQA)が認証する発行事業者から購入可能
◯アップルの再エネ電力調達基準
・地域系統(そのエリアの送配電網)の火力電源を代替できる可能性があるか
・地域、世界に与えるインパクトがあるか(環境破壊などの問題を引き起こしていないか等)
・説明責任が果たせる電源かどうか、透明性の高い電源かどうか
◯再エネ調達の種類
・トラッキング付き非化石証書:二重カウントされていないことの証明(RE100準拠)
・電源特定
・追加性:新規発電所、運転まもない発電所
・環境負荷の低いもの:開発時に森林伐採等の環境破壊につながっていないか
◯再エネ電力コスト構成要素
・発電コスト+環境価値+託送料+再エネ賦課金+事業者マージン
◯JEPXをベースにした再エネ電力メニュー
①非FIT再エネ電源+環境価値
水力、ごみ焼却発電等(約10~11円/kWh)環境価値含む
卒FIT再エネ(7~9円/kWh)+環境価値
※大手電力の水力発電所は減価償却が終わっており発電コストは安いが環境価値のプレミアムで割高(値引き余力が大きい)
②FIT電源+非化石証書(電源特定)
FIT電気を特定卸供給契約により調達
JEPX価格と同額に調整+プレミアム上乗せ(例0.3円/kWh)
非化石価値市場の最低価格1.3円/kWh
③低コスト電源+非化石証書
JEPXからの調達、石炭火力の相対契約+非化石証書、Jクレ(1円/kWh)