和田泰明のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
非常によかった。
ページ数が多いが、読みやすく面白い。
公的年金制度の成立から、現在までを官僚の視点、官僚の動きを主に扱った作品
公的年金の歴史を官僚へ取材して動きを追った作品はあまりなかったのではないかと思う。
なぜ年金制度は今のようになっているのかを知るのにも非常に良い。
あとがきにあるように、年金社会保障は極めて、複雑な利害関係の絡む、壮大な多元連立方程式である。
利害関係が複雑で多く、みんな自分の見たいものしか見ていない、そして複雑故に制度をほとんど理解していない。
一方的な政治、批判、官僚批判、単純に今の制度が悪いと非難する風潮に疑問に思う。 -
Posted by ブクログ
2025.06.16
この本は読者の立ち位置から読後の感想が大きく変わると思います。
わたしは年金官僚の奮闘ぶり、特に若くして病魔に敗れた官僚の多さに慄然とし、国会議員でも年金制度を理解している人ほど早死にしているという悲しい現実が今の年金制度をかたち作っていることに残念な想い。
この本で一番酷い輩は「俺たちは与党だったことを忘れないといけない。野党に徹しないといけない」という厚顔無恥な放言とふるまいを示した山井和則だ。387ページ前後を読むとよくわかる。
年金制度は、民主党政権でコースアウトして、自公政権に戻ってからは政権の道具に成り果てていることもよくわかる。
大変勉強になった。 -
Posted by ブクログ
年金制度の立案や運用に携わった「年金官僚」に焦点を当て、我が国の年金の歴史を紐解く。
まさにドキュメンタリー番組を見ているかのような読ませる文章で、かつての年金官僚たちの奮闘や、政治により年金制度が翻弄される様などがよく伝わってきた。
「マクロ経済スライド」が人口減少、平均余命の延びによる調整に過ぎないことなど、年金制度についての理解も深まった。やはり年金制度は複雑怪奇で、今までわかっているようで、全然わかっていなかったことがわかった。
本書で年金官僚の歴史を振り返ってみて、行政学で指摘されているように、日本の官僚の趨勢が、昭和の頃から現代にかけて、国士型官僚、調整型官僚、吏員型官僚と変化して -
Posted by ブクログ
年金制度を巡る、官僚と政治家とマスコミの綱引き。
官僚も「きちんと」制度設計しようとしたり、政治に食い込んで暴走したり、まあなんというか国民の側からしたら、年金だけで優雅に食ってたと思しき前の世代を見てるから、あれが年金生活だと信じてるからな。年金だけで生きていけないとなると発狂する。
無理やん。
入ってくるものがなければ出せない。
そんな当たり前の議論を、政治がさせない。
何やるにしても経済のパイを大きくするしかないと思うのだが、それをしないで使い方の議論しても万策尽きるわなあ。
制度を維持することと、その制度が生活を維持するかは別だし。
それにしても、金を、それも他人の金を握らせ