ルポ年金官僚―政治、メディア、積立金に翻弄されたエリートたちの全記録

ルポ年金官僚―政治、メディア、積立金に翻弄されたエリートたちの全記録

2,420円 (税込)

12pt

100年安心は、まやかしなのか、不安を煽ったのは、誰か──。

2025年、国民の5人に1人が後期高齢者になる。この国の年金制度はどうあるべきなのか。その解は、年金官僚たちの壮絶な攻防のドラマの中にちりばめられている。

***

私は「年金ブーム」の1年半ほど、ほぼ毎号、『週刊ポスト』の年金取材に明け暮れた。徹夜もしょっちゅうだったが、20代後半という若さ、知識を吸収する喜びがあり、記者としての手ごたえを感じた時期だ。私の記者人生の〝青春〟であった。
ただし、いくらメディアが激しく批判をしたところで、法律が大きく修正されることはなく、順調に成立した。社会保険庁は解体に追い込まれたが、それで国民生活が良くなったのか、今もって実感がない。
恥を忍んで言えば、「マクロ経済スライド」が人口減少、平均余命の延びによる調整に過ぎないことを、私は本書の取材で初めて理解した。制度の本筋とずれた所を、懸命に掘り下げていたのである。年金取材にどっぷり浸かった私ですらそうだから、一般国民が知るよしもないだろう。
2005年に『週刊文春』に移籍してからも、編集部は私に、年金の記事を数多く担当させてくれた。年金は、私にとって〝背骨〟のような取材対象であり続けた。
本来、私は記者として何を報じるべきだったのか。こうまでメディアを、私を、惹きつける年金とは一体何なのか──。それを解き明かし、ノンフィクション作品として世に問いたいと決意したのが、本書執筆の動機である。

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ルポ年金官僚―政治、メディア、積立金に翻弄されたエリートたちの全記録 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    社会保障政策のルポ作品。
    戦後から直近に至るまでの年金改革について言及されていた。奇しくも、読み終えた日は、2024年度の出生数が発表された。また、2025年は、団塊世代の人々が後期高齢者になる年でもある。こうした社会の変遷は待ったなしであるため、今後どのように舵を切っていくか、早急に対応してもらい

    0
    2025年02月28日

    Posted by ブクログ

    非常によかった。
    ページ数が多いが、読みやすく面白い。

    公的年金制度の成立から、現在までを官僚の視点、官僚の動きを主に扱った作品
    公的年金の歴史を官僚へ取材して動きを追った作品はあまりなかったのではないかと思う。
    なぜ年金制度は今のようになっているのかを知るのにも非常に良い。

    あとがきにあるよう

    0
    2024年10月20日

    Posted by ブクログ

    刺さる言葉多かった。社会保障の根幹の一つとも言える年金制度の変遷がよくわかった。年金の神様かっこいいな、、、もっと勉強しよう、、

    0
    2024年05月06日

    Posted by ブクログ

    2025.06.16
    この本は読者の立ち位置から読後の感想が大きく変わると思います。
    わたしは年金官僚の奮闘ぶり、特に若くして病魔に敗れた官僚の多さに慄然とし、国会議員でも年金制度を理解している人ほど早死にしているという悲しい現実が今の年金制度をかたち作っていることに残念な想い。
    この本で一番酷い輩

    0
    2025年06月16日

    Posted by ブクログ

    官僚人事や人間関係は個人を知らないのでちょっと分からなかった。読み方間違ってるかもしれないけど年金政策から見た政権運営の本として楽しめた。GPIFの始まりなんかもよく分かってなかったから勉強になった。

    0
    2025年04月06日

    Posted by ブクログ

    制度設計は真っ直ぐには進まない。利害関係者の荒波をどう乗り越えるか。
    複雑な年金制度の内容と経緯、関係者の思いの一側面を垣間見る。

    政治による改革、政治による翻弄。

    0
    2024年11月29日

    Posted by ブクログ

    年金制度の立案や運用に携わった「年金官僚」に焦点を当て、我が国の年金の歴史を紐解く。
    まさにドキュメンタリー番組を見ているかのような読ませる文章で、かつての年金官僚たちの奮闘や、政治により年金制度が翻弄される様などがよく伝わってきた。
    「マクロ経済スライド」が人口減少、平均余命の延びによる調整に過ぎ

    0
    2024年07月14日

    Posted by ブクログ

    年金制度を巡る、官僚と政治家とマスコミの綱引き。
    官僚も「きちんと」制度設計しようとしたり、政治に食い込んで暴走したり、まあなんというか国民の側からしたら、年金だけで優雅に食ってたと思しき前の世代を見てるから、あれが年金生活だと信じてるからな。年金だけで生きていけないとなると発狂する。

    無理やん。

    0
    2025年05月04日

    Posted by ブクログ

    年金制度の変遷を厚生省・厚労省の年金官僚という人にスポットを当てながら描く。年金という複雑な制度が社会情勢や政治の動きを受けて揺れ動いてきた様が分かる。
    とはいえ、一つ一つはそこまで詳しくないのであまり頭に入ってきたとは言い難い。ただ、最終章のGPIF改革と2000万円問題は金融との絡みもあって背景

    0
    2024年05月10日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    実名入りの生々しい厚生官僚の政治・メディア・学界・大蔵・(社保庁職員)との闘い。直接会っている人もいるし、その点でも生々しい。
    ・マクロ経済スライドは「マクロ経済」ではないとは思っていたが、やはりごまかしのネーミング。
    ・政治に翻弄さえるだけでなく、出生率やデフレにも翻弄されたのは不運だった。しかし

    0
    2025年03月23日

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