M・グラッドウェルのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
自分がよく知らない人と話すときに、どうすればよいかー。
物語調に進んでいくこの本は、黒人女性が些細な理由(車線変更時にウィンカーを出さなかった)で違反切符を切られるところから始まる。
女性は投獄され、獄中にて自殺した。
この事実は、アメリカ中に拡がり、
世間は黒人に対する差別だ、偏見に満ちた警察官だ、と声を荒げたが、事実はそれほどにも単純なことなのだろうかと、著者は問いかける。
もっと根源的な、
「知らない人に対するコミュニケーションの誤り」
が、関わっているのではないか。これが改善されなければ、きっと再び同じ悲劇が起こるだろうと。
さまざまな事例をもとに、知らない人に対しての人間 -
Posted by ブクログ
ネタバレ【個人的経験と社会のつながり…疑うのは自分の認識】
前作の第一感と、
少し重なるようで、
でも今回はさらに人間を扱う。
知らない人に対するバイアス、
判断を謝り、
誤解がどのように生まれ、
時に取り返しのつかない事件を生むか。
警官の暴力、スパイ、独裁者、小児性愛者、…
扱う事例、伝えたい現実が、重い内容だからこそ、
伝え方でどれだけ伝わるかが変わってくるお話。
巧みなストーリー展開で、自分事として考えることのできる本になっていました。
・・・
・トゥルースデフォルト理論
真実を見抜くより、嘘を見抜く方がまちがいやすい、との研究結果があるらしい。
疑いが十分でないから信じる。
この状 -
Posted by ブクログ
ネタバレ<目次>
はじめに
第1部 スパイと外交官~ふたつの謎
第1章 フィデル・カストロの復讐
第2章 アドルフ・ヒトラー総統と知り合いになる
第2部 デフォルトで信用する
第3章 キューバの女王
第4章 佯狂者
第5章 事例研究 シャワー室の少年
第3部 透明性
第6章 『フレンズ』型の誤謬
第7章 アマンダ・ノックス事件について単純で短い説明
第8章 事例研究 社交クラブのパーティ
第4部 教訓
第9章 テロリストの心の内は覗けるか
第5部 結びつき(カップリング)
第10章 シルビア・プラス
第11章 事例研究 カンザス・シティの実験
第12章 -
Posted by ブクログ
自己と他者の間にある絶対的な壁をどう乗り越えるかというのが、この作品の主題。
人は相手を信用するよう初期設定されているというトゥルースデフォルト理論。人の感情は、表情に如実に現れるという透明性の嘘を暴く誤謬。飲酒によって目の前の経験が見えなくなる近視理論。行動と場所が密接に関連しているという結びつき理論。小難しい理論を並べたが、この本にはそれらのモデルとなるエピソードがそれぞれ挿まれるので、その話により理解できる。
しかし本著が最もこだわった黒人女性のケース。この話からの学びは何だろう。サンドラ・ブランドは、車を運転中に方向指示器の合図を出さなかったとして警官に止められた。警官は車から出る -
Posted by ブクログ
すごく重く深い本でした。
アメリカで白人警察官が黒人女性を路上で逮捕するという2015年に起きた事件を元に、数々の実在の犯罪や事件を取り上げて検証していきます。
スパイやテロ犯罪など日本で普通に生きている私とかけ離れたことも多く、悲惨な事例もあり読み進めるのがつらかったりしましたが、それを取り上げることで最初にあげた事件の真実を考えることにつながるという納得の展開でした。
「私たちの予想どおりに相手が行動しないこと」と思い込みから生まれる誤解や悲劇。
日常生活にもあることだと思います。
「見ず知らずの相手とコミュニケーションを取ることのむずかしさ」
最近社会での他者への批判や誹謗中傷がひどく