松尾諭のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ巻末の「文春文庫最新刊」という広告には「自伝風エッセイ」と紹介され、解説の次のページには「このエッセイは史実を元にしたフィクションです。」という注意書き。
…エッセイでフィクションてあるんだっけ(そもそもエッセイってなんだっけ)?
先にドラマを観始めて、面白かったので読んでみた。元々は松尾諭の話なのに、読んでいてすっかり仲野太賀のイメージになってしまい、松尾諭をテレビで見ると「あのエピソードは本当はこの人の…」と不思議な気持ちになる。
俳優のエッセイだけあって、固有名詞はぼかしてあるが撮影や共演者の話などが出て来て、これはどの作品のことだろう?京都で好きになった女優さんて?とミーハー心がくすぐられる。一つの話が短くて読みやすいし、締めの言葉、「それはまた別のお話で。」にもそそられる。
そして後半の要である兄の話。時には他人より遠い兄弟の距離感、わかるような気がした。また、兄に自分の知らない顔があって、それが皆に好かれるような顔であったことを知る、というのにはグッときた。
どのあたりまでがフィクションかわからないが、航空券を拾ったことで運命が展開していくのは、まるでドラマのような展開だった。
巻末の高橋一生の解説がよかったので引用しておく。まさにその通りの読後感。
「彼が自分の周りの人間に生かされてきたことを常にどこかで感じていることと、その周りの人間への感謝が、今の彼を形作っているんだと思えて、なんというか、嬉しい気持ちになった。」
ちなみに一番笑ってしまったところは、「Redford escape」!
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Posted by ブクログ
松尾諭、文章も描けるが絵も上手い。
ドラマがとても良かったので読んでみたが、インパクトのある表紙の絵も本人が描いたもので、自画像も似ていて面白い。
鮮やかな色に汚しを掛けた画風が、目立ちたがりだが恥ずかしがり屋な彼をよく表しているような気がした。
本を開いてみると、エッセイかと思っていたら意外と字が多い。みっしりしている。
大抵エッセイは文学作品よりも文字通り余白が多い印象だが、どうもこれは違うようだと思いつつ読み進める。
それにしても松尾諭はパワフルで、やたらに働きめちゃくちゃ酒を飲む。
これはもうアル中だろうと断言してしまうくらい飲みまくる。彼の肝臓は大丈夫だろうか心配になる。
日本にいても外国でも、嬉しくても悲しくても、忙しくても暇でも金があってもなくても、とにかくよく飲んでいる。
うちの祖父も大概酒飲みだと感じていたが、彼と比べたら普通なのかもしれない。
学生時代14人に告白してふられたエピソードよりも、飲んでばっかということの方が余程衝撃だ。
芸能界のこととか兄の話とか、記憶に残ることはたくさんあったはずなのに、ことあるごとにやたら飲むというのが一番印象的だった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ拾われた男
著者:松尾諭
発行:2020年6月30日
文藝春秋
初出:文春オンライン2017年4月30日~(加筆)
松尾諭という俳優は、今、テレビドラマに出まくっているような印象があるが、比較的最近まで、生活が安定せず、アルバイトもしていたようだ。彼の顔が売れたのは、深夜ドラマだがヒットした「SP 警視庁警備部警護課四係」(2007~2008年)だが、そのドラマ以降も次々と仕事が来ることはなく、一度やめたアルバイト生活をもう一度していたらしい。印象的な顔なので、アルバイト先で顔が割れることはなかったのだろうかと疑問になる。
現在、NHK総合で放送中(BSでは放送済)の同名ドラマの原作。兵庫県尼崎市出身の著者による、「史実をもとにしたフィクション」として書かれたエッセイ。思った以上に面白かった。
この原作では、有名人の名前や番組名、会社名などは伏せているが、バレバレ。NHKのドラマには、本書で名前を伏せている有名人がじゃんじゃん本人出演している。著者は所属事務所の新人女優である「ハルコ」さんの運転手兼付き人のアルバイトを事務所から言われて2度ほどしていたが、彼女は井川遥であり、ドラマにも出演している。新人時代と彼女が売れっ子になってからと、2度の運転手をしているが、新人時代に彼女から「癒やし系なんだね」と言われたことがあるという。そして、癒しの女王に癒やし系と言われるってことは日本で一番の癒やし系じゃないかと少し嬉しくなった、と綴っているのがおもしろかった。
東京で家賃格安の事故物件に住んだ話では、部屋に鏡がひとつもなかった、なかったというより、本来あったであろう場所から取り外された形跡がある、と書いている。この辺りは、松原タニシが「恐い間取り」で書いていることと通じるものがあり、ちょっと恐かった。
著者にはお兄さんがいたが、アメリカに留学したまま行方不明で、祖母が余命いくばくもない時に会いたがっていたのでメールを出したが、結局、帰ってこなかったし、もう縁を切っているような状態だった。そんな彼が、アメリカで脳出血により倒れ、手術が必要だが家族の同意がいるという連絡が入る。著者が行くと、その時点ですでに10万ドル(100円換算で1千万円)以上の医療費がかかっているという。これから必要な手術や治療を受け、飛行機に乗って帰国できる状態になるまで、さらに医療費はかさんでいくという。もちろん、保険に入っていないし、パスポートもビザも切れた不法滞在状態だった。
著者はその時点でほとんど蓄えもなく、1千万円であってもとても払える状態ではなかった。暫くたち、大学病院に移って手術や治療を受ける。概算では、著者が一生かかっても支払えないような金額に膨れ上がっていた。しかし、アメリカ政府かミシガン州か病院かは不明だが、低所得者を救済するプログラムがあり、なんと、全部無料になったという。さらに、日本までの付き添い看護師2人の飛行機代も病院が負担してくれた。
究極の自己責任社会のようなイメージのあるアメリカだが、実際はそうではない。結構、貧乏人にも優しい国なのである。しかも、外国人であり不法滞在だった人間に。保守的な言動をしている日本の人たちに、ぜひ、こうした事実を知って欲しい。 -
Posted by ブクログ
俳優松尾諭の半生を綴ったエッセイ
NHKのドラマきっかけで購入
なかなかにダメダメな様子を包み隠さず描いている
でもそれが自虐ネタでもなく、陽キャでコミュ強で愛され上手な描写と相まって、素直に面白く読む事が出来た
最終話「拾われた男」はとても良い終わり方
松尾諭の人生の話なのに、読んでいて自分の中の郷愁を刺激されている感じがして、じんわりと涙があふれてしまった
作中の有名人は一切実名が出てこない
読み終わっていろいろと検索
ドラマにも出演していた井川遥・柄本明以外にも、小西真奈美・角替和枝・国分佐智子・緒方明(監督)など……
wikipediaからリンクを跳びまくっての検索、楽しかった(笑
各話タイトルがパロディになっているっぽいのだけど、元ネタがわからないものがちらほら
気になる……
「おーはまぼー」とか特に、なんだこの言葉
エッセイとは言うものの、最終ページに
『このエッセイは史実をもとにしたフィクションです』
の文字が
どこまで信じて読んでいいんだろう(笑