フリオ・ホセ・オルドバスのレビュー一覧

  • 天使のいる廃墟

    Posted by ブクログ

    荒廃した村に次々と現れる自殺希望者と、それを迎える怪しげな「天使」とのやり取り。
    設定が全体的に謎のままどんどん話がオムニバス的に進んでいくけれど、どれもこれも読後感が絶妙。ずっと薄暗い道を進んでいくような、でも心細くならない感じが、大変好みでした。
    以下、印象に残ったフレーズ。

    「作家を偉大たらしめるのは、夢で見る銀の糸を、現実世界の針の穴にとおす腕前なんだ、先生はいつもそう言ってた。」

    「人生とは炎のようなものだ。横笛の音色はそう語っていた。ある程度の年齢に達すると、炎には人生の思い出が重なり合ってくる。」

    「死はどんなふうに踊るんですか?  そう聞くと、生まれて初めて夜遊びに繰り出

    0
    2025年01月23日
  • 天使のいる廃墟

    Posted by ブクログ

    「自殺」がテーマでありながら、読みすすめると装幀画の世界が広がっていく。何処かに「パライソ・アルト」のような場所があるのかも知れない。と錯覚してしまうほどの不思議な感覚が読後も続く。

    0
    2020年10月28日
  • 天使のいる廃墟

    Posted by ブクログ

    "子どもは、大人が小説を解体するようにしてボール紙の馬をバラバラにしてしまう。夢が何でできているかを突き止めたいのだ。しかし店には、昔ながらのボール紙の馬は置かれておらず、モップに車輪がついたような馬しかなかった。"

    "新約聖書っていうのは、つまり、人間のありようがコントロールの及ばない変化をたどることや、権力と醜悪さの関係を描いた書物であって、よくできた探偵小説と変わらないんだよ。"

    そんな本だった。

    0
    2025年07月14日
  • 天使のいる廃墟

    Posted by ブクログ

    死のうと決めた人だけがやってくる廃村。 グレーっぽい、パステルカラーみたいな雰囲気。陰鬱さと儚さ、美しさを感じた。

    0
    2025年06月30日
  • 天使のいる廃墟

    Posted by ブクログ

    村人が逃げだして見捨てられた廃墟の村は、いつしか自ら命を絶つと決めた者たちが次々て訪れる聖地となる。
    村を訪れる者を出迎えてくれるのは、元自殺志願者の中年男ー 自称、「天使」だ。

    天使は気の利いたことを言うわけでも、慰めてくれるわけでもない。たまたま居合わせただけといった風情だ。墓は作ってくれるらしい。

    来訪者たちとの最期のひとときを、オムニバスのように男が回想してゆく。
    奇妙で幻想的な雰囲気と、人をくった与太話然とした胡乱さがブレンドされて、読みながらゆるい午後の日曜日といったまったりとした空気に包まれる。
    それが死ぬ前の一日にふさわしいのかと問われても、正直言ってわからない。

    悲壮感

    0
    2025年06月19日
  • 天使のいる廃墟

    Posted by ブクログ

    普通の人は天国も地獄も行ったことはなかろうし、全てがイマジネーションの力に頼る世界観なんだろうけど、お国柄というのか、個々の人生の見つめ方というのか、そういうのが見えて興味深い内容。しずかーな、おだやかーな、雰囲気。日本人が描くと湿度たっぷり重々しいけど、あっちの人は、粉っぽいというか、湯気の中というか、最期の最後まで、まだ人間はおわってないんだぜ、さあ、ろうそくの灯火を見守ろうではないか、てな感じで、日向のような暖かみが感じられた。

    0
    2021年03月15日