荒井裕樹のレビュー一覧
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アウトサイダーアートという作品としての見方ではなく、アートセラピーという治療としての見方でもない。
ある精神病院で長く続く「造形教室」という絵を描く活動の場所について、
その場で生きている一人一人の話を丁寧に描いている本。Posted by ブクログ -
自分の中の差別を痛快に指摘されました。
生きる意味の証明、障害児を殺してしまう親への批判、愛と正義の否定を書いた行動網領の趣旨、とても新鮮であり、特に青い芝の会の弁論は昔のものであるはずなのに新鮮で現代の世論はそれを議論するのに追いつけてないと私は思っているので残念に感じました。
車椅子の優先利用や...続きを読むPosted by ブクログ -
言葉について、深く丁寧に考察されています。
安易にまとめない。やさしく言い換えない。
発せられた言葉そのものを尊重し、大切に扱っていく。
個々のエピソードに心揺さぶられ、まとまらない言葉の愛おしさを想いました。
最後に述べられている、「要約」することと、「一端を示す」ことの違いについての考察が...続きを読むPosted by ブクログ -
いい本だった、心に響いた、深い、
どれも薄っぺらくてこの本の感想を書くのには
相応しくないと思う。
(自分で書いていて)
それだけ言葉の力は大きい、
そして言葉を発することは生きることに繋がっている。
どんな言葉を選んで使うのか、
自分の感情や思考にピッタリの言葉。
それだけでなく、世の中の思想につ...続きを読むPosted by ブクログ -
遅ればせながら読みました。素晴らしい本でした。
言葉が必要な人たちに限って、言葉が奪われていく。
心ある人たちに対して、心ない言葉が投げつけられていく。
言葉の破壊や凋落を憂いながら、言葉の意義や可能性への希望も忘れないように、この本は折に触れて何度も読み返していきたいと思います。Posted by ブクログ -
私は昔から障害や病気を持った方達にあまり出会ってなかったため、その内実を考えたこともあまり無かった。
相模原事件など凄惨な事件も、どこか他人事で見てしまっていた節があった。
偏見という偏見も、同じ街に暮らす人という意識も、どちらもまるで無かったが、この本を通して初めてと言っていいレベルで深く考えさせ...続きを読むPosted by ブクログ -
言葉は人を傷つけ、言葉は人を守る…一瞬スッキリする他人を刺す剣のような言葉が溢れるかえる今、なんとなくモヤモヤしているけど刺されることを跳ね返す盾のような言葉たち、いや防御というよりもやもやを許さない社会に切り込む言葉たち、それが「まとまらない言葉を生きる」です。それはハンセン病の患者や障がい者や女...続きを読むPosted by ブクログ
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読みやすい語り口。障害者運動やハンセン病患者との関わりを通して、被差別者の言葉を聞いてきた作者が、現代の「言葉が壊されていく」現状に警鐘を鳴らす。「生産性のない人たち」って何なのか、だったら「生産性がある人」って何なのか。無駄な延命って何なのか、だったら生きるに値する命と値しない命があるということな...続きを読むPosted by ブクログ
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文字ばかりの本なのに、とても読みやすい。
どう考えていけば良いのか、わからせてくれる。
はじめに。のシルエットだけで心を掴まれました。
意識を変える、考えるチャンス。Posted by ブクログ -
まえがきの最初の数ページで、私が日頃感じていたモヤモヤやちょっとした言葉に対する恐れを、感じている人がここにもいたのだ。と親近感と安堵に包まれた。
他人の尊厳をいとも簡単に踏みにじる発言・行動をし、そのことに気が付かず自分の主張が、他人の尊厳を踏み躙ったうえでの主張や言葉が正しいと思っている人たちに...続きを読むPosted by ブクログ -
日頃、社会やSNSに飛び交う「壊されつつある言葉」。こちとら、暴力的な言葉に生きる力を削がれてる場合じゃないのです!言葉には力がある。諦めず、しかも楽しく!抗う言葉を見つけていきましょう。
第15回池田晶子記念「わたくし、つまりNoboday賞」受賞作。Posted by ブクログ -
「文学者」の荒井さんが、「近年の言葉」について、考えたことをまとめていらっしゃる。自分の知らない世界・差別・そしてソーシャルアクションが見えて興味深かった。Posted by ブクログ
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安易にまとめず、要約せず、端折らず。
飛び交う言葉に向き合う。
もやもやと腑に落ちない言葉、出来事が溢れている。
スッキリハッキリ解が出ないことも、あれこれ考え続ける。
それが大事なのかも知れない。Posted by ブクログ -
この本で著者は「言葉」を通じて丁寧に世の中を見つめ、ごく当たり前のことを主張している。
では、その当たり前のことを日々実践できているかと問われると「できていない」「実践しているけれど十分ではない」という答えになる。そのせいか、読み終わって気分が重くなった。
「だったらきちんと実践しろよ」、そん...続きを読むPosted by ブクログ -
2021年に読んだ本の中でとても印象に残った本。その後、原一男監督の映画を観ていく中で思い出し、リンクしていると感じた。
優生思想とか少数の声が掬い取られずつしされていく世の中とか、なんか色々頭の中ぐるぐるしながら読んだ。
また読み返そうと思う。
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障害者差別の研究をする著書の視点から、現代において言葉が壊されていたり、むやみに簡略化されたりすることへの危惧を書いている。
身近で考えると、インスタの情報系投稿とか、tiktokなど、短時間で気軽に「何も考えずに」楽しめるコンテンツが増えていることに対する違和感と似ていると思った。(もちろん、それ...続きを読むPosted by ブクログ -
「言葉が壊れてきた」
こんなショッキングな出だしで始まるこの本は、何とまとめることがとてもできない。
文学者たる著者が令和の日本を生きていくなかで感じる、違和感というか、嫌悪というか、不安やその他のざわざわ、もやもやする言葉について語っていく。
本当に言葉が壊れている。生き難くする言葉が溢れている。...続きを読むPosted by ブクログ -
※このレビューでは「障害」を「社会構造の側にある問題」と捉える考え方に沿い、「障害者」という表記をしています。
昨今の社会的なトピックを目にするうちに個人的に学ぶ必要性を感じたことがあり手に取った本。
障害者差別を問い直す、というタイトルだけれど、この本では「日本脳性マヒ者協会 青い芝の会」の...続きを読むPosted by ブクログ