矢野久美子のレビュー一覧

  • ハンナ・アーレント 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者

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    アーレントの人生をざっと知るによいテキスト。20世紀前半の困難な時代を生たベンヤミンたちとの交流に強く共感した。

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    2024年02月27日
  • ハンナ・アーレント 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者

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    この本を読むと、アーレントの眼差しに触れることができる。アーレントと知らない街角ですれ違ったような気分になれるので、ほとんどの思考する人はアーレントの著作へと誘われる。

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    2023年06月02日
  • ハンナ・アーレント 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者

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    アーレントの生い立ちから始まる生涯と代表作の内容の平易な説明を通して彼女の難解な思想を読み解く入門となる素晴らしい本だった。さらに深く知る上でアーレントの著作をこれから読む必要はもちろんあるが、友人との交流を大切にし、多くの影響を受けた彼女の思想を知るには著作のみでは限界があるのでそういう意味でも伝記色の強い本書はそこまでカバーできているので読む意義があったと思う。
    彼女の政治哲学には難しい部分ももちろん多いが、根底にあるのは''現実を理解し事実を語ること''ということだった。また彼女の人柄としては友人思いで、とても誠実な人物なのだと感じた。そんな彼女が

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    2021年04月29日
  • ハンナ・アーレント 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者

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    ネタバレ

    自分の身にふりかかる不合理な現実を必死で理解し、思想という形で昇華させて世界に還元するとハンナ・アーレントの、恐るべき知的自力再生産能力、とでもいうべきものに感嘆してしまう。少しでも吸収したく、付箋をはりまくる、メモをとりまくる。

    こんなに分かりやすく本をまとめてくれた著者にも感謝したい。

    ーーーーーーーーーーーーーーー
    〇子供の頃の経験(学校で教師に侮辱されたら即帰って良い、という母の教え)
     ・相互の尊敬
     ・無条件の信頼
     ・社会的・人種的差別に対する純粋でほとんど素朴と言ってよいほどの軽蔑の念

    〇人は、攻撃されるものとしてのみ自分を守ることができる
    (ユダヤ人として攻撃されるなら

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    2020年04月18日
  • ハンナ・アーレント 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者

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    ごくごく最近になって名を見聞きするようになった「ハンナ・アーレント」。どんな人だろうとこの本を読んでみた。アーレントの人生をたどりながら著者や論稿の要旨、アーレントの思想がまとまっていて入門書としてとてもいい。
    ユダヤの血が流れているとか、『全体主義の起源』(アーレント自身は「全体主義の諸要素」とすべきだったと後悔しており、確かにそうだと思う)という著書があるという程度の前知識から、ナチ批判やユダヤ人に寄った思想の人だと思っていたけど、実はアイヒマン裁判をめぐる論ではユダヤ系はじめリベラル派から大いに非難されたりもしている。でもその考え方は、そういった自分のバックボーンを差し置いてとても公正な

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    2018年10月28日
  • ハンナ・アーレント 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者

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    アーレントの半生をなぞりながら彼女の思考の軌跡も共に辿ったとても分かりやすいアーレント入門書。彼女の著書や、彼女がとても大切にしていた友人関係や夫についてもコンパクトにまとめて論述してあり分かりやすい。
    これからアーレントの著作を読んでいくにあたっては必携の書かと思う。映画「ハンナ・アーレント」もこの本のおかげでとても楽しめた。おすすめ。

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    2018年09月04日
  • ハンナ・アーレント 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者

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    ハンナ・アーレントに興味を持ったのは映画を見たからかもしれないけれど、この間100分de名著の仲正昌樹先生の本も一気に読み終わって、原本に行く前にこの本を読んでみた。めちゃくちゃ面白い。
    考えたのはワタシが人間であることと日本人であることは同義なのか違うのかってこと。あと、人種を最近やたらと感じることが多くてそういうことについても考えた。複数性の大切さ。全体主義に向かう恐ろしさ。
    例えば、もしも地球上では人種間での争い事があったとしても月に行ってまで国家にこだわる必要性はあるのかどうかとか考えてしまった。何かを誰かを排除して出来上がる正義は本当の正義なんかじゃなくてまやかしなのではと思う。

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    2017年10月30日
  • ハンナ・アーレント 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者

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    気になる著者、著書があると、入門書とか、ガイドブックみたいなのに頼らず、まずは原著(もちろん翻訳のね)を読む。分かろうが、分かるまいが、とりあえず1〜2冊読んで、自分なりに理解した感じをもって、ちょっと「入門」を読んでみる、というのが、自分の読書スタイルかな?

    本はそれ自体が一つの世界で、「人とその思想」みたいに読むのではなくて、テクストとして何が書かれているのか、ということにフォーカスすべし、みたいな考えも結構染み付いている。

    ということで、アーレントも、そのパターンで、原著と悪戦苦闘中。

    一応、最後までたどり着いたのは、「暴力について」「イェルサレムのアイヒマン」で、主著(?)の「活

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    2017年04月30日
  • ハンナ・アーレント 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者

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    悪は悪人が作り出すのではなく、思考停止の凡人が作る。
    今でも、人類が引き起こす、ジェノサイトとは特別な何かではなく、普段の我々の横に寄り添う、思考停止の症状でしかない…

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    2018年11月25日
  • ハンナ・アーレント 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者

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    ネタバレ

    2013年に日本で公開された映画『ハンナ・アーレント』は、戦後にアメリカでも名声を確立していたアーレントがアイヒマン裁判に挑むという時代設定であったが、これを読むとそれまでの彼女にどういう経歴があってあの裁判にたどり着いたかのかということが理解できるだろう。
    映画を観てアーレントに興味を持った人が『全体主義の起源』や『人間の条件』などの原典を紐解く前に、取っ掛かりとして読むのにちょうどいい入門書。
    この本ではアーレントの生い立ちから、ハイデガーやフッサール、ベンヤミンとの出会い、ドイツを追われた後のフランスの収容所生活、そこからアメリカへ亡命、無国籍なユダヤ人という賤民の認識(←ここ注目)、ハ

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    2019年05月07日
  • ハンナ・アーレント 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者

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    本書は20世紀の哲学者アーレントの生涯と彼女の思想についてまとめたものになります。アーレントといえば「全体主義の起源」「人間の条件」などの著作が有名ですが、本書を通じて、彼女の原体験的なものの理解が深まり、思想の背景にあるものが何なのかなどとても考えさせられました。新書なのであっという間に読めるかと思っていましたが思いのほか時間がかかりました。その理由は2つあります。1つ目はアーレントの思想が独特に感じる箇所があって、理解に時間がかかる点。2つ目は、理解できた後に、「なんて深い洞察なんだろう」と感銘を受けて、自分自身の「思考」プロセスが開始されてしまうことです。この2つ目がすごく重要だと思うの

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    2023年05月02日
  • ハンナ・アーレント 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者

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    『全体主義の起源』などで知られる政治哲学者ハンナ・アーレントの生涯と思想をたどる。
    ハンナ・アーレントってどんな人物かと聞かれて、答えられなかったので、読んでみた。
    よくまとまっており、ハンナ・アーレントについてざっとは理解できた。ハンナ・アーレントの社会、人間に対する洞察力はすごいと感じた。

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    2023年03月24日
  • ハンナ・アーレント 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者

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    ユダヤ人彼女がユダヤ人虐殺アイヒマン裁判を傍聴し思い描いていた悪の人物像とあまりにかけ離れていた凡人だったことにショックを受け。邪悪な行為は個人の問題ではなくシステム的に行動し考えることをやめた人間の愚かなさが原因悪の陳腐さとホロコーストにはユダヤコミュニティも加担していたと雑誌し発表するとユダヤ人総反発を受け孤立それでも信念を貫く彼女は凄い。

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    2021年09月18日
  • ハンナ・アーレント 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者

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    ドイツにユダヤ人として性を受けたハンナ・アーレントの生涯を綴った書籍です。
    ナチス台頭の時代、同時代の軍国日本との対比でアーレントの生き方を考える。

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    2021年01月05日
  • ハンナ・アーレント 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者

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    20世紀を代表する政治哲学者でハンナ・アーレント(1906-1975)の生涯と思索をコンパクトにまとめた入門書。



    アーレントの生涯の主だった出来事をごく簡単にまとめてみる。

    1906年、ドイツで誕生。知的で裕福なユダヤ人家庭で育ったケーニヒスベルクでの少女時代。マールブルクのハイデガー、ハイデルベルクのヤスパースに師事した学生時代。反ユダヤ主義を掲げるナチスが権力を握ったためパリへ亡命。シオニストの社会活動家として働きながらベンヤミンをはじめとする知識人と交流したパリ時代。第2次大戦勃発によりフランス政府から「ドイツ人=敵性外国人」とみなされ収容所へ監禁、翌年ドイツによるパリ占領の混

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    2020年12月20日
  • ハンナ・アーレント 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者

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    映画『ハンナアーレント』を観て、もっと知りたいと思い、読んでみたら思いの外難しかった。もともと映画で歴史的背景は知っていたから、気楽に読めると思っていたら、そうでもなかった。それだけハンナアーレントの思想・哲学は独特なものなのかもしれない。

    quote:
    「思考」とは自分自身との内的対話であり、過去と未来のあいだに生きる人間が時間の中に裂け目を入れる「はじまり」である。

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    2020年06月16日
  • ハンナ・アーレント 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者

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    人間の行動や価値観は環境によって定義される、ということを強く感じたきっかけが、アイヒマン裁判、そしてハンナ・アーレントという人の存在だった。

    何となく知ってはいたものの、彼女自身の人生や、思想そのものについてきちんと触れたことが無かったので、この本を読んでみた。

    哲学的、抽象的な表現も多く、また哲学者や思想家の知識に乏しいので、理解しきれていない部分もあるけど、自分の頭で考えることの大切さと、考えずに思考停止してしまうことの恐ろしさを改めて学ばせてもらった。

    「『物の周りに集まった人々が、自分達は同一のものをまったく多様に見ているということを知っている場合にのみ』世界のリアリティは現れる

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    2018年05月03日
  • ハンナ・アーレント 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者

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    全体主義と対決し公共性を問い続けたハンナ・アーレント。ユダヤ人としての出自を持ちながら、それにとらわれない。事実のみを見つめ続ける彼女の視線は厳しい。
    「独裁体制のもとでの個人の責任」のなかで、公的生活のなかで命令に服従することは、組織や権威を「支持」することだという。「事なかれ」を許さないわけだ。
    自分が情けない。

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    2017年06月11日
  • ハンナ・アーレント 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者

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    ハンナ・アーレントの評伝。奇をてらうことなく、時系列に沿ってアーレントの生涯と思想をわかりやすく説明してくれている。思想内容の説明がやや手薄な印象はあるが、まずはこの本でアーレントの人となりを知った上で、他の本にあたった方が理解が深まるような気がする。

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    2016年12月26日
  • ハンナ・アーレント 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者

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    映画「ハンナ・アーレント」で初めて彼女の存在を知った。
    かなり感銘したので、その時に買っていたのですが、しばらく積読状態であった本書を手に取って読み始めた。
     
     あの時代に
     このような思索者がいた
     あの時代に
     その思索者がここまで批難にさらされた
     あの時代に
     その思索者を支えた人がいた
     あの時代に
     それでも生き抜いた思索者がいた

    もし
    池田晶子さんが あの時代に生きていたら
    どんな風に 思索していただろう
    どんなことを 発していただろう
    と 思った 
     
     
     

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    2016年11月16日