矢野久美子のレビュー一覧

  • ハンナ・アーレント 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者

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    アーレントの生涯を辿りつつ、同時代の様々な課題と取り組んだ彼女の思想を描き出す新書。『全体主義の起源』、『人間の条件』、『イェルサレムのアイヒマン』など彼女の主要な著作のポイントを紹介しつつ、その中にレッシング論や公民権運動とアーレントの関わりといった問題を組み込むことで、アーレントの思考の論争的な部分にも行き届いた解説が加えられている。

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    2016年03月01日
  • ハンナ・アーレント 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者

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    『全体主義の起源』『人間の条件』『イスラエルのアイヒマン』等のハンナアーレントの生涯が描き表されている本。
    ユダヤ人として、ユダヤ・イスラエルにおいてもドイツに
    おいても、アメリカにおいても全体主義というか
    思考を停止させてしまういろいろな現象に対して勇気
    をもって警告する彼女の生き方・考え方に対いして
    感銘を受ける内容です。
    日本の東京裁判。いまの日本。世の中の状況などが
    彼女がどのように思考するかが聞いてみたいと
    思います。
    また、それらで垣間見える全体主義というか、凡庸な悪に対して思考を停止することに対してあらがってみる
    ことを心に持っていたいと思います。
    近代の哲学家・思想家の中でも感

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    2015年10月27日
  • ハンナ・アーレント 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者

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    素晴らしい人生。素晴らしい思想。アーレントは人間の条件を読んだだけだが、難しかった。しかし、本書はの記述は焦点を絞り、易しく分かりやすい。無国籍問題の重さをつよく感じた。

    ・「ひとたびすべてが〈政治化〉されてしまうと、もはやだれ一人として政治には関心を持たなくなる」。総力戦を戦うとき、選択や決断や責任に対する自覚が失われる。
    ・反ユダヤ主義はナショナリズムの昂揚期ではなく、国民国家システムが衰退し帝国主義になっていく段階で激化した。
    ・共同体の政治的・法的枠組みから排除されている彼らは、すべての権利の前提である「権利を持つ権利」を奪われている。
    ・カトー:独りだけでいるときこそもっとも独りで

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    2015年08月18日
  • ハンナ・アーレント 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者

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    戦争によって変わったものが 彼女自身だったのか取り巻く周りの 人格式があったのか
    時の流れを無視した著者の主観としか言いようがない

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    2020年02月24日
  • ハンナ・アーレント 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者

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    2019.05.24 改めて、過去に学ぶ必要性を強く感じた。見過ごしていたり、ないがしろにしていることが多すぎる。先人の優れた論考に目を向ける必要性を強く感じた。

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    2019年05月30日
  • ハンナ・アーレント 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者

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    ・アイヒマンおよびナチの犯罪は狂人やサディストによっておこなわれたと考える方が楽だがそれは事実ではない。「必然あるいは義務」として遂行されるとき悪は悪として感じられなくなる

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    2018年11月04日
  • ハンナ・アーレント 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者

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    ハンナアーレント の生涯、思想、著作をまとめた本。「全体主義の起原」の論述は わかりやすい。印象に残ったアレントの言葉は「思考し、自由を求め、判断を行使する人々が生み出す力こそが世界の存続を支える」

    「全体主義の起原」に対するアーレントのスタンス
    *ガス室、全体主義など人間の無用性をつきつけた出来事に対して出来事の諸要素を分析→因果性を排除→諸要素の結晶=出来事
    *起こるべくして起こったのではなく、人間の行為の結果としての出来事
    *反ユダヤ主義、帝国主義の諸要素は 必然的に 全体主義に直結したのではない
    *人間の選択を描いた→他の選択肢もありえたのになぜ それを選択したのか
    *官僚制という誰

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    2018年05月02日
  • ハンナ・アーレント 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者

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    昨今大きく喧伝される『多様性』であるが、全体主義こそその対極にあるものだろう。
    被害者はもちろん、加害者からも個性と責任を奪うことによって、
    一人ではなしえない大逆を可能とさせることはミルグラムの監獄実験によって示されたが、
    ハンナ・アーレントがいなければ、これがアイヒマン実験とも呼ばれることはなかったかもしれない。

    戦後まもない、誰もが理性的ではいられなかった時代、
    ナチ体制下における最終収容所の所長であったアイヒマンがイスラエルにて裁判に臨む際。
    大衆はもちろん、知的階級さえも懲罰的な復讐を望んでいた只中にて、
    ホロコーストを、残虐非道な悪役たちが非力な民衆を強制して実行した犯罪ではなく

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    2018年10月20日
  • ハンナ・アーレント 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者

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    ハンナの全体像が理解される、ガイドブック。哲学・政治哲学をコアにして歴史や論理・倫理とかなりの分野に及ぶ思想家である。「イスラエルのアイヒマン」で、ユダヤ虐殺がユダヤ人協会の協力で行われたこと、ドイツ国内の反ナチ運動は非力であったこと、アイヒマンは凡庸な公務員である・・・。状況や雰囲気を超えて、主体的個人として、本質を抉るべく、考え・洞察する迫力には圧倒される。

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    2017年01月29日
  • ハンナ・アーレント 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者

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    ずっと長い間気になっていたが読めていなかった一冊。
    激動の時代を生きて、その中で考えることをやめなかったとても強い意志を持った女性の伝記的な一冊。
    ユダヤ人の立場が理不尽に弱かった戦時中と戦後のイスラエルによるナチズムへの報復の感情が強かったアイヒマン裁判などで自身で考え抜いて周囲からどのような批判を受けようとその考えを変えることはなかった。
    彼女の大切なものはユダヤ人という人種ではなく周囲の友人などでありナショナリズムなどは関係ないという言葉はやはり力強い。
    彼女の哲学の内容というとしっかりと理解することはできなかったが伝記として読むととても分かりやすく面白い本であると思う。

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    2015年08月25日