スティーヴン・ジョンソンのレビュー一覧
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コレラの感染源を突き止め、科学的データとしてまとめた感染地図。
コレラが1845年に大流行するまでの、ロンドンの都市として成長した理由、当時の下水システムや底辺層の暮らしぶり、菌の側からの生存戦略や遺伝的システムまで、ミクロにもマクロにも取り上げていて、ブロードストリートの悲劇が起きたのが都市成長した末に必然的で、社会学的生物学的背景から、そして人類の発見の端緒に繋がったことが、とてもよくわかり、そしてスノーが何を考え、どのような根拠に基づいて感染源を突き止めていくか、感心しながら面白く、犯人を追い詰めるドキュメンタリーとしてあっという間に読めた。信仰の強さと感染は別物だと信じる。瘴気説。居住 -
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新型肺炎のニュースが世間を騒がせているもののこれを読むと、新型肺炎は予防策も分かるし、現代日本は医学や公衆衛生もしっかりしてるから、まだましだと思えてくる……。1850年代のロンドンはなかなかの魔境でした……
汚い話になりますが、当時のロンドンは水洗トイレが設置され始めていたそうですが、それは特に下水処理されることもなく、排水されていたそう。その水の行き着く先には汚泥のような汚水溜めが……そして本の中でも散々言及されますが、当時のロンドンの川や下水管からの悪臭もひどかったそうです。最初の記述だけで、今の日本に生まれて良かったと心底思います。
そんな衛生状況の中、ロンドンの都市のある一画で起 -
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出ました!2018年初の星5コ本!コレラ感染がまだ解明されていなかったヴィクトリア時代、一晩やら数日やらでバタバタと家族や通りの人々が死んでいく恐怖。何が媒体となっているのかわからない見えない敵に、1人の男が立ち向かう。…いやもうこれだけで映画に出来る!ではありませんか。ロンドンの地図に、感染した死者の数を書き込んでいく図が思い浮かびます。
歴史資料や医療知識科学知識、現代のビッグデータとの比較など、著者が読み込み分析した科学としてのデータの膨大さもさることながら、物語として充分にダイナミックでスリリング。
感染症、都市化、温暖化、テロなどにも言及。
でも、悲観じゃない。
いやー面白かった。 -
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はじめに、にあるように、本書には、致死的な細菌と、超成長する都市、そして天賦の才をもった2人の男という四つの主役が登場する。
舞台となるのは、1854年8月末から一週間のロンドンはブロードストリート、このエリアをコレラが襲う。と言っても、コレラ菌が発見される30年も前のことであり、原因も治療法も分からない中、人がバタバタと死んでいく。
原因を探り当てていく過程は大変スリリングであり、特に井戸水のポンプを外させる場面などドラマチックで、読み応え抜群である。
ところでということになるが、主役の一人、ジョン・スノーは、1854年以前においてもコレラ禍の被害について様々な調査分析、考察を行っ -
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これまた時代の雰囲気の読書ということで。
19世紀なかばヴィクトリア時代のロンドン。人類はまだ細菌の存在を発見できておらずコレラの原因も「瘴気」であると考えられていた。そんな中、科学的アプローチでもってコレラの感染経路を突き止めた「疫学の父」ジョン・スノーを中心としたノンフィクション。
スノーは自らの飲料水媒介説が世間に広く受け容れられるのを見届けずに亡くなったのだが、彼の説は再評価されて今でもちょっとした有名人である。本書の売りは、当時の原資料を渉猟して、スノーの仕事を可能にした他の人々の貢献ー 地域の人脈を駆使して感染状況をトレースした副牧師、死亡統計を整備した官僚 ーを明らかにして群