増田靖彦のレビュー一覧

  • 笑い

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    戦前のフランスの哲学者・ベルクソンによる「笑い」を探る書。
    わかりやすい翻訳で、内容をあたまのなかで転がしながらおもしろく読めました。
    タイトルにドドンと「笑い」とありますが、
    笑い全般を扱っているのではなく、おかしさによる笑いに限定した、
    「特殊笑い理論」というような種類の本です。

    「笑い」は知性のものか感性のものかでいうと、知性のものだという。
    感性(感情性といったほうがいいのかもしれない)が強ければ、
    つまり愛情や憐憫の情が知性をまさっていれば、
    滑稽な場面でも笑う場合ではなくなる。
    愛情をもっていても笑えるのは、愛情をひととき忘れるからだそう。

    つまり、「笑い」は硬直性にたいして知

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    2020年10月09日
  • 笑い

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    『笑いには社会的意味合いがあるに違いないのだ。』

    『社会が完全なものに近づいていくと、その成員により大きなしなやかさをもって適応することを求めるようになるということであり、社会がその根底においてだんだん均衡のとれたものになっていく傾向にあるということであり、社会がこれほど大きな集団になるとどうしてもついてまわる混乱をその表面からだんだん追い払っているということであり、笑いがそうしたうねりの形を強調することで有用な役目を果たしているということである。』

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    2025年10月01日
  • 笑い

    Posted by ブクログ

    おかしさに基づく笑いについて講じた書。

    それが成立する諸条件について考察する際の助けとなる。

    本書はおかしさ、すなわち不調和に基づく笑いをテーマに考察をしているが、漱石の「草枕」にみられる東洋的な超然的歓びに見出される構造とも共通する部分が見られることに気づく。

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    2022年08月31日