武田俊太郎のレビュー一覧
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現在の量子コンピュータは、ミニチュア版のおもちゃ。
あらゆる計算が速くなるわけではない。特定の用途はめっぽう強い。最適化問題、素数分解、化学計算など。
必要な計算の階数が減らせる=規模が大きくなったとき、計算のスピードが速くなくても有利。このような問題は限られている。
数年では実用化されない。現在の量子コンピュータは、レゴブロックのおもちゃの自動車程度。必要なのはF1のレーシングカー。
ムーアの法則は限界に近づきつつある。トランジスタのサイズが10ナノメートルレベルになり、原子のサイズ0.1ナノメートルに近づくから。
コンピュータを1000台つなげても苦手な問題はたくさんある。原理的には解ける -
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量子コンピュータを初心者向けにわかりやすく解説した本
判り易い記述例
・4重スリット実験で量子力学の原理を使って「当たり」の隙間を探す方法
従来:ひとつひとつの隙間に順に電子を発射
量子力学:波のように4つの隙間を通りぬけると当たりの隙間だけ波が強め合って、どれが当たりの隙間かが1回で判る
・量子コンピュータの計算
従来:1個1個指示を出して、回路ごとに旗のパターンを切り替えるイメージ
量子:波全体の形を変化させていき最後の測定で1パターンが選ばれる
・グローバーの解法
従来:暗証番号をみつけるのに、全ての組み合わせ(N回)問い合わせが必要
量子:すべての候補を同時に調べ、当たり -
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量子コンピュータのしくみが概念として理解できた。重ね合わせ状態の波の性質のままの情報を扱い、波の状態のまま干渉させることで求めたい情報ついての波の状態だけを増幅させた後に情報観測することで、多数の可能性の中から求めたい情報を古典的コンピュータよりも少ない計算回数で得られるもので、素因数分解や最適化問題、新物質の働きのシミュレーションなどについて古典的コンピュータをはるかに上回る効率的な計算を行えることが期待されている。
しかし、まだ数十個程度の量子ビットしか実現できておらず、100万~1億個の量子ビットが必要と言われている実用化にはまだ何度も技術的ブレークスルーが必要になる。 -
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日本の量子コンピュータ開発の最前線に立つ著者による一般向け概説本。量子コンピュータと聞くと何やら幾何級数的に計算が速い微小な装置を想像してしまうが、著者は研究者としてのリアリスティックな立場から、量子コンピュータに何が期待できるのか、その開発状況はどのような段階にあるのかについて、そのような先入観を排する手助けをしてくれる。ただ、書題にあるような「本当にわかる」という水準にまで初学者が到達できるかについては、やや疑わしいものがあるのではないかと思う。
量子コンピュータは複数あるパターンの中から特定の条件に合致するものを抽出する「グローバーの解法」を得意とするが、そこで二重スリット実験の光 -
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現代コンピュータの仕組み、進歩の状況から解説し、量子力学の概要、量子コンピュータの仕組み、開発の現状をわかりやすく解説。
ゼロからわかる量子コンピュータ。
◯コンピュータとは「数字の計算を何かしらの物理現象に置き換えて解く道具」
・現代のコンピュータは電気的なスイッチであるトランジスタのON/OFF
・量子コンピュータは量子力学の物理現象「重ね合わせ」を使って解く
・トランジスタの1単位のサイズは10nmと、原子サイズ0.1nmに近づき限界
◯量子コンピュータで計算が高速化されるものは、今のところ素因数分解、最適化問題等、いくつかの限定的な解法のみ(他は現代のコンピュータと同じ)