武田俊太郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
半導体が2nmの世界に突入し、トランジスタの最小化に限界が来つつある中、新たなブレークスルーとして注目されている量子コンピュータ。もともと量子に興味があったが、量子コンピュータについては知識が少なく、興味をもって購入。
量子コンピュータの仕組みだけではなく、従来型コンピュータとの違いや、量子コンピュータが活躍する用途やその理由、実用化に向けた技術的課題や量子コンピュータ開発の現在地を、とても分かりやすく、かつ客観的に教えてくれる。
内容は初心者でも分かりやすい上に、二重スリット実験やコンピュータの演算方法など、少し専門的な領域も踏み込んで解説しており、とても満足度が高かった。量子コンピュータに興味を持ったらまず1冊目に購入して間違いない本。
「可能性が重なり合う」という量子の世界はとても神秘的で面白い。今後も注目・勉強を続けていきたい。 -
Posted by ブクログ
量子コンピュータの仕組みやメリット・デメリットを、現役の研究者が解説する本。
タイトルに偽り無く、本当にわかりやすい。そして正しい。
「並列処理で高速に動作するのが量子コンピュータである」
という説明では不十分だ、という指摘の内容がよく分かる。
この本によると、量子コンピュータが実用化されるのは、まだまだ先のようだ。
おそらく現役世代の大部分の人には「関係ないこと」になるだろう。
だが、教養として知っておくのは良いことだ。
自分は、「難しいことを簡単に説明できる」人が真のプロフェッショナルだと思っている。
そういった意味で、とても素晴らしい一冊になっている。
興味がある方は、ぜひ怖がらずに読んでみてほしい。
また、巻末にある著者の言葉が、とても素晴らしいものだった。
「量子コンピュータが本当に実現可能かは、現時点では分からない。
でも「原理的に不可能」なことが証明されない限り、どこかに道はあると信じている」
挑戦者とはかくあるべきだろう。
見習いたい。 -
Posted by ブクログ
量子コンピュータって、存在は知っているし、会社としても力を入れてるのは知ってるが、その仕組みとか何が違って何がすごいのか、とか、説明できないな、と思って手にとってみた、日本人量子コンピュータ開発者によるやさしい量子コンピュータの説明書。
「量子コンピュータが本当にわかる!」と謳っているが、優しく解説されてもやはりまだ難しい。
量子物理学の紹介、我々が通常目にする物理とは全く異なる量子の世界、それを利用して計算機を作ろうという研究職の皆様の奮闘。
原理や背景になる物理から、計算の仕組み、実現方法、世の中の間違った期待値の是正、開発の最前線の紹介など、内容は平易な表現で理解はしやすく、子どもでも(ある程度の年齢であれば)理解できるよう書かれている感。
ただ、本書にもあるとおり、量子物理学が自分のこれまで生きてきた世界とあまりに違い過ぎて、「理解できた」とは言えないなぁ。。。 -
Posted by ブクログ
●感想要約:
本書は量子コンピュータ開発を進めている専門家の視点から,量子コンピュータの現状と本質を正しく伝える一冊と理解しました.現在の量子コンピュータのレベルは「計算ミスをするおもちゃ」の段階であり,スパコンを超えたという報道も限定的な成果に過ぎないと教えてもらいました.
量子コンピュータの理論面では,単なる並列計算ではなく「波の干渉」を制御する装置という理解が正しく,特有の制約(観測時の課題)ゆえに適したアルゴリズムの選定が不可欠との事.一方で,可逆計算による省電力性や量子フーリエ変換の可能性など,学術的な魅力も理解出来ました.量子アルゴリズムの研究に対して興味を抱きます.
実用化には数百万ビット規模への拡張や誤り訂正が課題であり,超伝導や光方式などハードウェアの優劣も決着していないとのこと.過度な期待を排しつつ,未踏の可能性を冷静に見据える重要性を学びました.
●科学博士の書評指数:
楽しみ度:★★★☆☆
共感度 :★★☆☆☆
学び度 :★★★★☆
話題度 :★★★★☆
お薦め度:★★★★☆
●概要:
本書は、量子コンピュータを「難解な未来技術」ではなく,物理学と情報学の延長として理解できるよう丁寧に解説する入門書です.量子ビット,重ね合わせ,量子もつれといった基礎概念を数式に依らず説明し,従来型コンピュータとの本質的な違いを分かりやすく解説します.さらに,量子アルゴリズムや誤り訂正,ハードウェア方式の現状と課題にも触れ,過度な期待と現実的限界の両面を整理しています.量子技術を正しく理解し,社会的・科学的意義を冷静に考える視点を与える一冊であります.
●感想:
• 量子コンピュータについて、専門家の視点から学術的に面白い点「なぜ量子ビットの利用なのか」、客観的な現状認識、開発の課題について分かりやすく記述しています.
• 量子コンピュータに関する最近の報道に関する誤解や間違いも指摘しつつ、量子コンピュータについて正しく理解をして欲しいという筆者の研究者としての倫理観が感じられます.現状の量子コンピュータはまだおもちゃレベルで,まだ頻繁に計算ミスをするという状態だということです.Google等で「スーパーコンピュータより早く問題が解けた」という報道に関しても、量子コンピュータが現在解ける課題に特化した成果であり,まだ汎用性が無いものであると理解しました.
• 厳密には、「量子ゲート型」がいわゆる汎用性を目指した量子コンピュータであり、「量子アニーリング型」は最適化解析に特化した別システムとのこと.しかも、量子アニーリング型も本当に解析が早くできるのかどうか?まだ学術的には明らかになっていないそうです.
• 量子力学としての特長である「重ね合わせ」を利用して、「一回の操作で最適解を探索できる」という特長に未だ見ぬ可能性や学術的神秘を感じます.
• さらに厳密に言うと、「量子コンピュータ」は重ね合わせを使って並列に計算するという理解は間違っていて、「重ね合わせ具合をうまくコントロールしながら計算を解くという『波を使った計算装置』」という理解が正しいそうである.大変興味深い.古典ビットが単なる「0」・「1」のみなのに対して、波で表現するということは、量子論理回路理論という新しい学問領域があるというふうに理解しました.
• 一方で,量子コンピュータは、並列的に解析した計算結果を観測(出力)する際に、量子力学的な制約条件があり、多数の解析結果の内から1パターンのみしか観測(出力)できないという課題があるとのこと.このことを考慮した量子アルゴリズムのみが量子コンピュータの適用可能課題になると理解しました.
• 量子コンピュータは、古典的コンピュータと異なり、出力から入力に遡ることができるという特長を持つことも面白いと思いました.まずは、情報が欠落していないという点から、古典コンピュータでは課題となる発熱(計算エネルギーの損失)の問題が、量子コンピュータでは解消され絵エネルギー効率として高い性能を持つことは勉強になりました.
• 量子コンピュータでどのような課題が計算回数を減らして早くとけるのかといった現段階の情報がQuantum Algorithm Zooというホームページあるとのこと、大変興味深いと思います.ただし、実用レベルで課題を解くためには、量子ビット数が100万から1億必要と見積もられているらしい.まだまだ,古典ビットが実現しているトランジスタに類するように,量子ビットの拡張性に関する技術課題が残されているようです.小規模な量子コンピュータで誤り訂正が出来なくても解ける課題を探すことが重要との事でした.
• 素因数分解にたいする量子コンピュータの有効性は学術的に明確になっているが、このアルゴリズムに使われている数学的技法が「量子フーリエ変換」らしい.
• 量子コンピュータを実現するハード面の技術として、「超伝導方式」・「イオン方式」・「半導体方式」・「光方式」があり,もっとも開発が進んでいるのが「超伝導方式」のようで、すでにIBMでだれても量子コンピュータを利用できる環境にあるとのこと.しかし,多数の量子ビット実現に向けた拡張製等を考えると,どの方式が良いかまだ優劣がついていないというふうに自分は理解しました.