小林道彦のレビュー一覧

  • 山県有朋 明治国家と権力

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    山縣有朋の強権的なイメージとは違った景色が見れる。あまり偏った思想を持たず、中和的な政治を行う人とは知らなかった。晩年には保守的な思想も垣間見えるが、あくまで尊皇を貫き通した人物であるとの見方をすれば良いのかな。軍人らしからぬ政治にも一定の能力を持つのは、明治期の特徴だと感じる。

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    2025年06月10日
  • 山県有朋 明治国家と権力

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    小林道彦「山県有朋 明治国家と権力」中公新書
    山県有朋という矛盾に満ちた政治家の評伝。軍人政治家として徴兵制などに尽力したが、地方自治などの設計にも関与し、内務官僚と縁が深まった。帝国大学を卒業して官僚として奉職した人達が政党政治家の猟官・政治任用を嫌って山県に頼るようになったというのは人間心理として理解できる。彼は日清戦争では自ら出征、日露戦争では元老として振る舞う。ただし日露戦後は子飼いのはずの児玉源太郎や桂太郎らが山県の棚上げに走るなど権力基盤は空洞化していた。大正時代に入ると国際情勢の現実と彼の認識の齟齬は隠せなくなってきた。最終的に、裕仁親王、後の昭和天皇の婚姻への干渉で事実上失脚し

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    2024年10月12日
  • 山県有朋 明治国家と権力

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    山県有朋
    明治国家と権力
    著:小林道彦
    中公新書 2777

    おもしろかった、明治期の日本は、今日のような米国の核の傘に守ってもらっているような日本ではない
    まさに、明治維新によって、独立したばかりの小国である日本は、ロシアという超大国の脅威にさらされていた。

    明治という時代は、仮想敵国であるロシアからの防衛戦争を行うための時代であった。
    それを可能としたのは、明治天皇のカリスマ性、伊藤博文の内政的手腕、そして、山県有朋の陸軍創設とその拡張性であった

    山県有朋の構想した防衛計画とは、主権線という日本領内のラインとともに、利益線という日本国土を防衛するためのバッファとして設けられるラインを設

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    2024年09月20日
  • 山県有朋 明治国家と権力

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    坂の上の雲が正岡子規と秋山兄弟で明治の上り坂を描いたのだとしたら、昭和の下り坂への入り口までを追える人物は山県有朋なのであろう。小説の主人公にはなりにくい人物だが、新書の形式での評価評論はなじみが良い

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    2024年02月23日
  • 山県有朋 明治国家と権力

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    巻末に付いている山縣有朋の伝記のほぼを読んでいるが、伊藤之雄『山県有朋』(2009年)から山県評がどうも民主派によりすぎになってきている気がする…。昔は元老の中でも最右派、なんなら太平洋戦争の遠因などと言われたものだが。右からは左、左からは右と言われる、という人は意外に多くいるものだが、まさか山縣有朋がそういうポジションにおさまる日がこようとは。
    新書なのでより深い内容は引用元(『山縣公のおもかげ』からの引用が妙に多い気がするが、この著者は入江貫一という山県の秘書なので、この本からの引用が多くなされるほど山県って実はいい人だよね、と思わされる罠がある…と個人的には思う)の本を読んだ方が良い。最

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    2024年04月29日
  • 近代日本と軍部 1868-1945

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    ミャンマーの状況を見てるうちに国と軍の関係ってどうなのか…つまり軍って国の中では圧倒的に力を持っているはずでどこの国でも簡単に軍に支配されてしまうのではと思い…言わばリファレンスとして我が国の軍の成り立ちと政治との関係を知りたいと思ったので手に取ってみた。しかしこれは労作。明治維新で日本軍ができてから太平洋戦争敗戦で解体されるまでの政治と軍との関係を丹念に書き切っている。ほぼ一年毎に何があったかを書いてあるような形式なので正直ちょっと退屈になる部分や小説ではないので盛り上がりに欠ける部分はあるのだが近代日本の政治中央がどのように発展したのか、が分かる形になっている。元々は維新の勝利者である薩長

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    2021年04月20日