前田健太郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ私たちが暮らしているのは人口の半分が不当に虐げられる社会である。はっきりとそれがわかる本でした。女性と男性の対立を生むことがフェミニズムなのではなくて、女性に不当な役割が与えられている社会構造の変革を求めるのがフェミニズムだと、この考えが男女共に広がればいいなと思いました。個人的に男性や周囲の環境にぶつけて来た怒りが対社会、公的な怒りになればよりよい社会もできてくるのかなぁと考えるきっかけにもなった。
また、政治について全く知識のない(中学の基礎的な政治についても危うい)私でも用語の解説が入っていたり、段落ごとに話す内容が整理されていたりして理読みやすい本でした!
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Posted by ブクログ
本書は、これまでの主流派政治学は価値中立性を謳っていながら、「男性の政治学」にすぎないのではないかという問題意識の下、「ジェンダー」を、女性に関わる政治争点の一種としてではなく、いかなる政治現象を説明する上での用いることのできる視点として位置付け、ジェンダーの視点で、「政治」「民主主義」「政策」「政治家」という政治学の定番のテーマについて、これまでの政治学における標準的な学説を抜本的に見直す試みである。例えば、標準的な学説ではアメリカは民主主義の先発国とされるが、それは男性の参政権だけに着目した結果であり、女性参政権を含む民主主義の指標を用いれば、アメリカはもはや民主主義の先発国とはいえなくな
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Posted by ブクログ
組織の規範と男性的なジェンダーの規範が一致。この言葉は本書で述べられることだが、そもそも男性的なジェンダーの規範って何。男は大黒柱であるべきとか、弱音を吐くなとか。女性は非力であり、守るべき対象であるとか。
でも、それって別にあっても良いと思う。問題は、規範と評価軸が重なって、腕力至上主義だったり、よって男が優秀と決めつけたり、男性側の目線で仕事スタイルが決まるのは良くない。ブロプロプリエイションいう、女性の発言を横取りするような男性もいるらしい。勘違いが暴走するのも、正義マンみたいでお門違いだ。
それと、この本で最も考えさせられたのは「クッパとピーチ姫」に見える男女のロールプレイと、それ -
Posted by ブクログ
ちゃんと消化しきれたわけではないが、政治や政策の視点から、日本社会の福祉政策の特徴やジェンダー関連の課題を考えたことはあまりなかったので、かなり新鮮な視点があった。
所謂「民主主義」と定義されているものをジェンダーの観点から問い直すことや、女性が政治に関わることで男性ばかりでやっていたときには見えなかったアジェンダが浮かび上がってくる点にはなるほどと納得。
一方で、政策としての意図は本来別にありながらも、政策の帰結が違うものになることがある、という点は、その結果を当たり前として受け入れるのではなく政策の意図や目的にまでたちかえって一有権者として考える重要性を感じた。
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Posted by ブクログ
「マンスプレイニング」「マンタラクション」「ブロプロプリエイション」「クリティカル・マス現象」「コンドルセのパラドックス」「エコーチェンバー現象」
レベッカ・ソルニットの著作をこの本の前に読んで、名付けがいかに大切かを実感したところだったから、この本に出てきた多くの新しい言葉を覚えようと思う。この言葉たちが存在することで、その現象も存在するようになるのだから。
人口の半分を占めるのは女性、ということ。当たり前すぎて、この本で改めて指摘されて、こんなに重要なことを忘れてるなあと反省。半分なのだ。その半分の意見の反映されない政治が罷り通る不思議さ。
なぜそうなってしまったか、研究者として解きほ -
Posted by ブクログ
「どうやら、筆者も含めた多くの政治学者は、女性がいない政治の世界になれきってしまっていた」ことへの反省から物された、テキスト的な新書。最近の議論がコンパクトに整理されていて、とても便利。
日本の政治で女性の参加がとりわけ進まないのは、男性稼ぎ主モデルに依拠した福祉国家が構築されているため。そして、これがなかなかに崩れないのは、日本の政治過程が、男性を中心とする利益集団が男性を中心とする政治家・官僚に圧力をかける過程だからである。そこで解決策として、ジェンダー・クォータ制の導入が提唱される(ただし、ジェンダー・クォータ制が性的少数者を政治的に代表するために用いるには適さないことにも、目配りがな