瀬戸晴海のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
自分は本業が新聞記者で、たまにライター、趣味で小説を書いています。
つまり日々、言葉を扱っている。
そのためか、46歳といういい年したおっさんにも関わらず、言葉を駆使してラップを歌う「ヒップホップ」というジャンルが大好き。
韻を踏む(ライミングと言います)という制約があるにもかかわらず、いいフレーズ(パンチラインと言います)を聴くと、心底感激します。
一方で、ヒップホップ界には、「薬物」というダーティーな側面があります。
先日も、ジャパニーズヒップホップ界を長らく牽引してきたラッパーの「漢a.k.aGAMI」が、大麻取締法違反容疑で逮捕されたばかり。
その前には、テレビのバラエティー番組にも一 -
Posted by ブクログ
「マトリ」とは厚生労働省麻薬取締部および取締官を指す略称。
本書はそのマトリに38年間従事した著者の経験と、違法薬物の日本における歴史と現状を記した一冊。
実際の捜査に携わってきた人ならではの、事件描写のリアリティ、違法薬物の使用の悲惨さや、違法薬物に対する強い憤りが本書からひしひしと伝わってきた。
本書によれば、違法薬物はインターネットや携帯電話の普及により、以前より入手しやすくなったことから、使用する人は若年層を中心に年々増える一方とのことだが、ぜひ本書が広く読まれるようになり、違法薬物へ気軽な気持ちで手を出さないよう、歯止めとなる事を強く期待する。 -
Posted by ブクログ
ネタバレニュースではよく見る「覚醒剤」の事件をはじめとして、麻薬や危険ドラックを取り締まっている組織に長年勤めた方が、日本の麻薬取締の歴史と自分の活動を重ねて語る一冊。
ドヤ街の猟犬、とかイラン人組織との攻防のような、章ごとのタイトルを見るだけで只者ではないという感じがするのだが、書かれている内容もかなり壮絶だ。今では映画やドラマでしか見られないような足で情報を稼ぎ、実際の場に踏み込むという経験がこれでもかと詰め込まれている。
奥付の年代を見ると、自分が大人になってからもかなりの数の事件があったことがわかるのだが、正直にいうとそこまで麻薬や危険ドラッグなどを意識したことなどなかった。危険ドラッグと -
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ネタバレマトリ 厚労省麻薬取締官
著者:瀬戸晴海
発行:2020年1月20日
新潮新書
今年1月20日出て、10日後には2刷が出た売れ売れの新書。2018年3月にマトリを退官した著者は、最後、関東信越厚生局麻薬取締部部長となり、2015年に行われた全国の危険ドラッグ販売店の壊滅作戦の陣頭指揮を取った。数年前までイタチごっこで全国の繁華街に何百とあった「ハーブ」と称する危険ドラッグを、新宿歌舞伎町の2店に追い詰め、それも消滅させた時の様子は、この本のクライマックスでもある。ただし、今はネット取引に姿を変えているだけだと警告もしている。
世界の麻薬市場は、今、50兆円市場。フィリピンの国家予算の6倍 -
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激増する薬物犯罪に敢然と対峙するのが厚生労働省の麻薬取締官、通称「マトリ」だ。麻薬、覚醒剤、MDMAなど違法薬物の摘発、密輸組織との熾烈な攻防、「運び屋」にされた女性の裏事情、薬物依存の子供の救済、ネット密売人の正体の猛追、危険ドラッグ店舗の壊滅・・・元麻薬取締部部長が薬物事犯の実態と知られざる専門組織の実像を全解説。薬物犯罪撲滅のために明かされた本邦初の稀少なドキュメント。
「マトリ」の存在は知っていたし学生の頃に薬物の危険性については学んだので全く知識がないわけではなかったけれど、事件の裏側にあるイラン人の存在や国際郵便、ビットコインなどを利用した背景は実際に現場に立っている人間だからこそ