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半分読んだ。
156P
これ自分が出来ないことすぎて読んでてグサグサ来た
岩松正史(いわまつ・まさふみ)
心理カウンセラー、傾聴講師/一般社団法人日本傾聴能力開発協会代表/飯田橋カウンセリングルーム代表/傾聴ボランティアの会エール代表長野県出身。東海大学政治経済学部卒。コンビニエンスストア本部スーパーバイザー、プログラマー、人材育成を専門とする会社を経て、JKDA一般社団法人日本傾聴能力開発協会設立。2006年に横浜でカウンセラーによる無料悩み相談会を立ち上げ、マスコミにも取り上げられる。2007年から7年間引きこもり支援NPOの相談員を務める。2010年から東京都千代田区、台東区の傾聴ボランティア養成講座に関わる。厚生労働省管轄の神奈川県西部地域若者サポートステーション事業の立ち上げメンバーとして年間100以上の面談を担当。2012年飯田橋カウンセリングルームを立ち上げ。2015年一般社団法人日本傾聴能力開発協会設立、37都道府県3か国で認定傾聴サポーターや講師を育成中。
④わかったつもり型
「ひたすら耳を傾けていればいいんだ」と感情的な側面を重視する。 「気持ちで聴く」「ただただ寄りそう」など姿勢のみを強調し、知識や技術的な裏付けが乏しく感覚重視。勘違い型と違うのは、「感情」に傾斜しているという点。 感性が豊かであるため相手の気持ちがわかったつもりになりやすいが、実は相手の感情ではなく自分の個人的な経験のフィルターを通した同感であることが多い。 自分の感情と相手の感情の境界線が曖昧で、安易に同調を示す。 〔このタイプの心の口癖〕 「わかるわかる。あなたの気持ち」
⑤会話泥棒型
すぐ口を出したくなる。 相手の話をきっかけに常に自分が話すタイミングをうかがっている。自分の経験や知識を披露したがる。 お願いもしていないのにアドバイスを始める。話し出すと止まらない。 自分が話したいがために相手といるだけで基本的に他人の話は聴いていない。 〔このタイプの心の口癖〕 「私の場合は…」「私が知っている情報では…」
⑨身近な人は苦手型
身近な人にすぐ感情的に反論したくなる。 他人の話なら感情的にならず聴けても家族、部下、後輩、友だちなど身近になるほど聴けない。多くの人が該当している可能性がある。 〔このタイプの心の口癖〕 「そうじゃないでしょ」「私の話を聴け!」
①行動にアプローチする=「やらせてみる」
行動に関わるとは、企業でいうならOJT(On the Job Training)といえばわかりやすいでしょうか。簡単に言えば、「やらせてみる」ということです。 やってみて上手くいったら「やった! できた!」と感情はよくなります。 感情がよくなると、「またやってみよう」と認知はプラスにとらえる(考える)ようになります。そして、プラスにとらえると次の行動もプラスになる、というわけです。 当たり前と言えば当たり前ですね。 そのときに、何をするかという行動の部分に対してアプローチする方法です。
この、あふれ出た感情を止めて心に隙間を作る方法の一つとして、傾聴という関わり方が有効であると、ロジャーズは自身の研究から言っているのです。 (これは医療における治療や薬の有効性と同様に、エビデンスとしてロジャーズが提唱した仮説に基づく研究結果であり、傾聴すればだれでも元気になると保証するものではありません。)
余裕がなければ、どんなに正しいアドバイスもその人の心には届かないので、実行しない。あるいは実行したとしても形だけですぐ「私には合わなかった」とやめてしまうでしょう。 アドバイスをしてはいけないとは言いませんが、その前にまず、十分に心のバケツの水位を下げることが大切です。 このことからも、傾聴はすべてのカウンセリングの基本とも言われています。 余裕さえあれば「ああしてみたら?」「こう考えてみたら?」とアドバイスして受け入れられるかもしれません。でも恐らくアドバイスは不要です。 なぜなら心の余裕が少しでもできた人は、たとえ1年先のことはわからなくても、これから次の一歩をどう踏み出そうかくらいは自分で見つけられるからです。 そして同じ一歩であれば他人からのアドバイスで決めた一歩より、自分で決めた一歩の方がよりパワフルで責任も負うでしょう。 自分で決めたことほど高いエネルギーを持って向き合えるのです。
傾聴では「共感」が大事だといいます(「共感」の詳しい意味についてはあとで触れます)。 共感とは感じることです。頭や心が真っ白になったら、どこで共感するのでしょうか? 私は、いつも何かが自分の中で動いているのを感じながら聴いています。何かを感じている以上、頭も心も真っ白になってはいません。 自分の感情のフィルターに何が反応したのかはっきりわかれば、どのように対処すればいいかが分かります。 しかし何を感じているのか曖昧で、まるで雲やガスのようにつかみどころがなかったら、どうすることもできません。 傾聴の練習は、頭の中や心を真っ白にするための訓練ではなく、むしろ逆で、 自分の感情のフィルターをしっかり確認したうえで、 自分の感覚ではなく、相手の支えになる形で関わるための訓練です。
お互いの共通点を探して話題にすることは、親しくなるためには有効です。 ただし、相手の心を知り、支える必要があるときは、むしろ自分とは違う「その人らしさ」を受け止めるよう意識しましょう。
そもそも私たちは、大人になるまでの間、話の「聴き方」について、理論だててしっかり学んだ経験などあったでしょうか? 私はありませんでした。 親も学校も「話し方」や「伝え方」は積極的に教えてくれたのに、「聴き方」は教えてくれませんでした。唯一先生から教わった聴き方があるとすれば、「先生が話しているときは黙って聞きなさい!」ぐらいでしょうか。 大人になって研修や講座で学んだ人は別として、普通の人は「聴き方」は上手くなくて当然なのです。
一方、「気持ち」は、イメージして見ることができません。 例えば「親友が笑顔で喜んでいる」を想像してみてください。 あなたは、自分の親友が笑顔でにこにこしていたり、バンザイして喜んでいる姿をイメージできるかもしれません。 では次に「親友」と「笑顔」を取り払って、 「喜んでいる」だけイメージしてみてください。 同じようにイメージすることはできないでしょう。 なぜできないのでしょうか。 「喜んでいる」は、「事柄」ではなくて「気持ち」だからです。 気持ちはイメージして見ることができません。 ではどうやったら、気持ちがわかったと言えるのでしょうか? その答えはこうです。 親友が喜んでいる様子を見ながら、 あなたが「親友が本当に喜んでいるなぁ」と「感じる」ことです。 そのとき、喜びという「気持ち」が、「わかった」ことになります。〝花子さんが喜んでいるなぁ〟とあなたが「感じる」から、喜んでいると「わかる」のです。もし花子さんが喜んでいるのが「感じられなければ」、あなたにはその喜びは「わかりません」。 つまり目に見えるものが「事柄」で、 見えないけれども、そのようにあなたも感じられればそれが「気持ち」です。 そして、傾聴は「事柄」ではなく「気持ち」をわかろうとするものです。
でも、どんなに理屈っぽい人でも、本当にわかってほしいのは「気持ち」です。 傾聴は、難しいものではありません。やったことがないからできないだけです。 練習をすれば必ず、その人なりに上達します。 この本書では、それができるだけ早くできるようにポイントをお伝えしていきます。
例えばあなたの周りに、マシンガンのように話し出したら止まらないような人がいたとします。心のバケツの水があふれ出している人です。 普段話す相手がいない人ほど、話せる場面になると話し出して止まらなくなります。 そんな時はしっかりうなずき、あいづちをしながら聴くのが有効です。
あなたがどう感じたかと、実際に相手がどう感じているかは別です。 解釈して言い換えをせず、相手が使った言葉で「悔しいんですね」とくり返しましょう。 あなたにとってしっくりくる解釈が、相手にとってもしっくりくるとは限りません。むしろ違う可能性のほうが高いのです。あなたにとって「悔しい=悲しい」がぴったりでも、相手にとって「悔しい=悲しい」とは限りません。わざわざ言い換える必要はありません。 言い換えたくなるのは、聴き手が自分がわかる言葉で理解したいからです。自分の世界に引きずり込まないでください。
過去の不満を話す人は、実は今も不満な人なんです。 「15年前、主人が不倫をした」とわざわざいま言う人は、そのことにまつわるやりきれない思いを持っているからわざわざ話すのです。 話し手「15年ほど前、主人が不倫をしたんですよ」 聴き手「ほう…。そのことについて今はどう思われますか?」 話し手「別に気にしていません。過去のことですから」 聴き手「過去のことだから気にしていないんですね。ではいまその気にしていないことをわざわざお話しくださったのは、どういうところからでしょうか…?」 話し手「それは…」 「いま目の前の人が何を感じているか」に戻してあげましょう。
「私なんて全然ダメ。頭も悪いし、覚えるのも遅いし。全然能力ない」 と言われた時に「私なんて全然ダメだと思うんだね…」とくり返しできるでしょうか? よくいただく質問の一つに、「ネガティブな発言をくり返したら相手がどんどん落ちていってしまうのでは?」というものがあります。 自分の発言によって相手がよりネガティブになってしまったらどうしようと心配するのは当然です。でもあえて言えば、こちらがネガティブが発言をくり返しすることによって相手がより落ちていく心配はありません。なぜなら相手はすでに落ちてしまったから、あなたにとってネガティブに聞こえるその話ができるのです。 相手はすでに落ちています。では落ちていないのは誰でしょうか? あなたです。つまり、相手が落ちていくのが心配と言いながら、実は自分が落ちるのが心配なのではないでしょうか(直接このように言われると怒る人がいるかもしれません)。 ネガティブな話が苦手な人に対しては、相手も本当につらい部分は話しにくくなります。 しっかり聴きたいのであれば、相手が使った言葉をそのまま使えるよう練習しましょう。