渡辺哲夫のレビュー一覧

  • モーセと一神教

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    エス論ゴリ押しのフロイト大先生によるモーセとユダヤ教の大胆な読み解き。
    この本の問題点を訳者の方が最後に指摘しているがとても面白かった。
    掘り上げた宝物が意外と重くて開けるのが複雑だった、みたいな感じ。

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    2023年04月11日
  • モーセと一神教

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    本書は、精神分析学の創始者と言われるジークムント・フロイト(1856~1939年)が、死の直前に発表した作品である。
    松岡正剛氏は、「千夜千冊895夜」(2003年11月)で本書を取り上げ、「これは恐ろしい本である。引き裂かれた書である。しかも、これはフロイトの遺書なのだ。人生の最後にフロイトが全身全霊をかけて立ち向かった著作だった。」と述べているが、ユダヤ教をはじめとするアブラハムの宗教に関わる人びとにとっては、衝撃の書であろう。
    モーセは、アブラハムの宗教において、最重要な預言者の一人とされ、伝統的には旧約聖書のモーセ五書(トーラー)の著者であるとされている。その中の一つ『出エジプト記』に

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    2019年11月30日
  • モーセと一神教

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    ユダヤ民族の解放者にして立法者であり、宗教創始者でもあったモーセ。
    フロイトはそのモーセがユダヤ人ではなくエジプト人であったという仮説を立てます。

    フロイトは、エジプトに一神教をもたらした古代エジプトのファラオ、イクナトンの業績に着目し、ユダヤ人のエジプト脱出はイクナトンの宗教改革が失敗に終わった結果、行われたものだと考えます。
    しかし、もしそうだすれば、モーセがセム人の神に対する信仰をユダヤ人にもたらしたという歴史家たちの研究と矛盾してしまいます。その矛盾を説明するために、フロイトは、モーセが実際には二人いたという大胆ですが単純な仮説を立てました。

    一人目のモーセは、エジプトの神アトンに

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    2010年10月08日
  • モーセと一神教

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    マルクスは資本主義を否定すると同時に唯物論者になった。
    それは恐らくはアブラハムの唯一神を否定しなければ資本主義に対向する論理を組み立てられなかったからではないかと愚考する。

    ならば、その大本の唯一神の成立を考察することは無益ではないだろう。

    フロイトのこの最後の著作は多くの矛盾を孕み、なおかつ歴史学者の間では異端とされる書物である。

    しかし、ここには極東の私のような人間には一抹の真実を含んでいると思えてならないのである。

    一度読んでみるといい。
    この市場の底にいる原則を産み出すものが何か考えるきっかけにはなるだろう。

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    2010年05月23日
  • モーセと一神教

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    満点であります!
    まずジークムントフロイトとは精神医学の権威であるのに宗教について書かれている。
    視点が他の宗教本に比べ斬新であり、聖書のはじめの5巻を書いたモーセを深く落とし込んでいるところに魅力を感じます。

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    2010年04月28日
  • モーセと一神教

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    「仮説とは何か?」その答えは全て本書の中に記されている。

    精神医学者フロイトの最後の著書であり、心理学的・社会学的・歴史学的な仮説を立てて、論理的に分析が行われている。

    タイトルに騙され、ただの宗教本と思うなかれ。

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    2009年10月04日
  • モーセと一神教

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    ユダヤ人であるフロイトがそのルーツである神話を精神分析によって解明していく。
    エジプトからユダヤの民を率いてユダヤ教を生み出したモーセが実はエジプト人だったという仮説も面白い。翻訳者で精神科医の渡辺哲夫氏がこの書の深淵を見事に解説されていて非常に役立った。

    最近、ナチスとユダヤ人のことが妙に気になりいろいろと読んでいくうちにこちらも面白そうだと気軽に手に取ってみたものの「精神分析入門」しか読んでなかった自分には、なかなかハードルの高い内容だった。

    ナチスの迫害から逃れてイギリスに亡命した際に執筆しただけに冷静な学術書というよりもユダヤ人であった自身のルーツに感情の揺らぎを感じる一冊。

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    2025年09月20日
  • モーセと一神教

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    初フロイトにこの著作を選んだのは、偏に松岡正剛先生の千夜千冊での紹介文が面白かったからであり、せめて『トーテムとタブー』ぐらいは読んでおいたほうが良かったのだろうが、こればっかりは巡り合わせなので致し方あるまい。論理的整合性を保ちえないフロイトの仮説と、それを裏付けたいのか否定したいのかよく判らない葛藤と熱量の高さは、訳者による鬼気迫る解題も手伝ってか、精神分析という一見静的なジャンルにあって異様な迫力に満ちている。

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    2014年02月01日
  • モーセと一神教

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    ユダヤ人であるフロイトが、ユダヤ教に対して大胆な論を展開していることが興味深かった。
    聖書の内容には神話的な部分が多々あるが、本書のように論理的に分析すると、改めて納得できる物語になってくると感じた。
    本書前半はモーセの歴史的位置づけなど面白く読めてたが、中盤以降、精神分析的要素が多くなってきて、用語も普段馴染みのないものなので、内容理解が苦しくなってきた。

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    2011年08月17日
  • モーセと一神教

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    20世紀の重要人物であるフロイトについて知識をつけたいな、と思って読み始めた本。
    フロイト晩年の作で、役者曰く、この本読まずしてフロイトは語れない、という。
    実際、エス論者の彼が、ユダヤ人としての意見を述べ、冷徹な観察者でいられなくなっている文体が特徴。

    実際、私がこの本を1度で理解できたなどということはありえず、
    再読しなくちゃなぁ。・・と思う次第です。

    モーセは実はエジプト人だった、という仮説にそって展開されている。
    このあたりの仮説にそった話の展開がとても面白かった。
    ありえる!というか、そうかも! と思い始めました・・・笑。


    2008,april

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    2009年10月04日
  • ある神経病者の回想録

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    ある朝に、女性になってみたらどんなに素晴らしいかという思いを持った男の回想録。そうした思いに病気のさまざまな症状が重なった結果、異様な妄想世界が作り上げられている。彼は今でいう統合失調症と診断されてはいたものの、しかし現にこれだけまとまりのあるものを理性的に書きあげている点で正常であると言える。(実際に裁判でも、この手記を基に禁治産者宣告が解除されている。)

    彼は本当は正常なのか、それとも異常なのか。そうした正常と異常の境界を問う格好の材料となる書物であり、理性的なものを強く打ち建てようとする西洋思想の中でも重要な書物。

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    2016年01月31日
  • モーセと一神教

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    ユダヤ教およびそれ以降の一神教が浸透した理由を解釈したフロイトの著書。
    詳しくレビューを書きたいところだが、自分の無知のために理解できず。。。
    ただフロイトが、神というものは存在せず、歴史の中で作り上げられていったものだと言いたいのだと主張していることは確か。

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    2010年02月13日