柴田秀並のレビュー一覧
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非常によく調べて、従来ありがちなひたすら正義を振りかざした声高の糾弾型のものとは異なり、事実を積み重ねた冷静な筆致となっている。それ故に、保険業界関係者には耳が痛いところが多いに違いない。
特に損保ジャパン(SJ)の社内事情に関しては、おそらくはかなりの内部協力者からの情報を得て書いたと思われる部分が多くある。
しかし、株式持ち合いといい、取引先の販売協力といい、保険業界に限った話ではなくて、どこの企業でもある持ちつ持たれつの関係、個人のご近所付き合いの延長線みたいな日本的風土がもたらしたところでもあるような気がする。
こうした、もともと農作業に由来するとも思える「ムラ社会」での関係性でビジネ -
Posted by ブクログ
一連のビッグモーター事件、損保ジャパンの転落、それらの背景にある企業文化と業界慣行について、事実と関係者ヒアリングに基づき、丁寧に書かれてあり、業界関係者のみならず日本企業に勤めるものにあっては必読の書とおもいました。
近々で事件になっていたカルテルの話も取り上げられていましたが、長年、相手方企業からは本業支援を強く求められ、その中で利益も出していかざるをえず、お互い様というところもあると思いました。
一方、日本の損保業界は利益率が欧米と比べても悪いと新聞にも書かれてありましたが、例えば、自社の営業がいて、代理店がいて、その先に顧客があるといった何重もの構造や、保険そのものの機能ではなく政策保 -
Posted by ブクログ
本書は朝日新聞記者が、批判的に保険業界の問題点をまとめたものです。
最近よく目にする外貨建て保険や、複数の保険会社の商品を扱う乗り合い代理店、かんぽ生命の不正問題など興味があったトピックを詳しく扱っていたので満足度が高かったです。
顧客の利益を無視した営業をする者がどんな手口を使ってきうるのかということを知っておくことは、自分自身や自分の家族の資産を守るために大事なことだと思います。
そういった意味では、そういった手口やそういったことが発生する背景がよく分かる本書は、保険をどうしようかと考えている方や親が高齢になってきた方にオススメできる一冊です。 -
Posted by ブクログ
自分が理解できない商品は、買ってはいけない。
世に数多ある商品の中で、複雑怪奇な商品の一つが金融商品。
理解出来ないのに、少なくない人が、手を出してしまう。
金融商品に対して、少しリテラシーがあるので、こんなサギみたいな商品、
少なくとも、自分では手を出さないものを、少なくない人が、買ってしまう。
無知というのは、やはりおそろしい。
例えば、テレビCMで紹介されているモノとか。。。
金融機関が、広告まで売って、つまり余計に経費をかけて売りたいと思うものに、
契約者がお得になる商品は、ほとんどない。
少ない掛け金で安心、少額、ボーナスありなど、
聞こえの良い言葉が並んで、そうか私も必要なんだ、 -
Posted by ブクログ
2019年刊。
世の中でかんぽ生命の不適切な販売のことが話題になったころ、タイムリーに出た本だろう。
取り上げられる話題は次のようなもの。
・外貨建て保険
・相乗り代理店
・節税保険
・不正販売(高齢者への不適正な商品の販売)
銀行と生保の力関係や、インセンティブなどの販売戦略、金融庁の指導など、新聞記者さんらしい取材による解説だった。
かんぽ生命の話は、改めてぞっとする。
本当に高齢者を何だと思っているのだろう。
と同時に、田舎の両親が心配になる。
職場にも生保の営業さんがかつてはしょっちゅう来ていた。
コロナを機に、今はほとんど姿をみない。
銀行からもひところ保険やら住宅ローンの勧