宮沢俊義のレビュー一覧

  • 八月革命と国民主権主義 他五篇

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    宮沢俊義は自他ともに認めるケルゼニストである。ケルゼンの根本規範論は、法というものは、その中身がどうあれ「法は従うべきもの」(=根本規範)という前提がなければ成り立たないという、法学の前提としての論理的仮説である。八月革命は天皇主権という根本規範を国民主権という根本規範に取り替えたわけではない。「法は従うべきもの」という前提は天皇主権でも国民主権でも変わりないからだ。こう指摘する長谷部氏は、八月革命説はケルゼンの根本規範論で説明するのは難しいと言う。まさにその通りで、宮沢が依拠したのはケルゼンの根本規範論ではなく、その論敵シュミットの憲法制定権力論であると解するのが一般的である(石川健治氏など

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    2025年08月24日
  • 憲法講話

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    現代の憲法学の礎を築いた宮澤俊義による憲法学の手引書。私が学生時代に日本国憲法を概観するのに最初に完読した本だと思いますが、これを越えた概説書は未だに見た事ありません。そのくらい素晴らしい入門書です。

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    2013年01月10日
  • 憲法講話

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    ネタバレ

    八月革命説を提唱した学者として有名である。天皇機関説で有名な美濃部達吉の弟子であり、田上穣治(山内敏弘・長谷川正安の師匠)の兄弟弟子、芦部憲法で有名な芦部信喜(渋谷秀樹の師匠)・奥平康弘の師匠である。憲法学の巨匠であろう。

    個人的に面白かったのは、裁判官の項目である。日本の最高裁判事は内閣の指名で決定されるが、その行政の長は議会が選ぶ。これはアメリカの制度を真似ているが、アメリカの最高裁判事も行政の長が指名する。ただ違うところは、日本の行政の長は首相で議会で選ばれるが、アメリカは民選である。つまり行政に対する民意を伝える制度が、日本にはない。アメリカは大統領制だから、行政に対する民意を伝える

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    2011年05月04日
  • 憲法講話

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     日本人の何%が,日本の知識人の何%が,
    この本に書かれたような意味で憲法や民主
    主義というものを理解しているだろうか。
    表現の自由,政教分離,学問の自由,法の
    下の平等といった11の話題について,他の
    国の例や明治憲法を引き合いに平易に解説
    している。初版は1967年だが,現在38刷を
    重ねているというのもうなずける。
    現在の憲法のありがたみ,日本の国としての(少なくとも今までの…)理想のあり方を
    知るのに格好の良書です。(2007年1月)

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    2009年10月04日
  • 転回期の政治

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    ネタバレ

    憲法を全体の基軸に民主制と独裁政、議会と政府の関係を対象とした日本の政治の変遷、当時の諸外国の政治的な状況分析を行なっている。難し過ぎず、示唆に富んでいる良著。ただ種々の政治問題に対して(おそらく時代背景から)躊躇と暗喩が見られるのでやや注意を要する

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    2021年07月18日
  • 転回期の政治

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    この本は1936(昭和11)年、2・26事件が起こった年に刊行された。内容を読むと、歴史教科書にあるほど言論の自由が弾圧されているようには思えない。現在でも同様な言論が展開されているように思える。歴史の真実を描くのは難しい。

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    2018年02月26日
  • 憲法講話

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    元・東京大学法学部教授(憲法学)であった宮沢俊義(1899-1976)による一般向けの日本国憲法論。

    【構成】
    1 表現の自由をめぐって
    2 国家と宗教
    3 学問の自由と大学の自治
    4 法の下の平等
    5 生存権
    6 国民主権と天皇制
    7 参政権と選挙
    8 議会・政党・内閣
    9 裁判の役割
    10 軍の死と復活
    11 憲法改正
    <講演>神々の共存

    本書の1~10章は著者が雑誌『世界』に連載した「憲法講話」を編集したものであり、11章の憲法改正については書き下ろし。最後の「神々の共存」は憲法記念講演会(1962年5月3日)での講演からの採録である。

    著者の宮沢俊義は、東京帝国大学法学部において

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    2011年06月20日