宮沢俊義のレビュー一覧
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宮沢俊義は自他ともに認めるケルゼニストである。ケルゼンの根本規範論は、法というものは、その中身がどうあれ「法は従うべきもの」(=根本規範)という前提がなければ成り立たないという、法学の前提としての論理的仮説である。八月革命は天皇主権という根本規範を国民主権という根本規範に取り替えたわけではない。「法は従うべきもの」という前提は天皇主権でも国民主権でも変わりないからだ。こう指摘する長谷部氏は、八月革命説はケルゼンの根本規範論で説明するのは難しいと言う。まさにその通りで、宮沢が依拠したのはケルゼンの根本規範論ではなく、その論敵シュミットの憲法制定権力論であると解するのが一般的である(石川健治氏など
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ネタバレ八月革命説を提唱した学者として有名である。天皇機関説で有名な美濃部達吉の弟子であり、田上穣治(山内敏弘・長谷川正安の師匠)の兄弟弟子、芦部憲法で有名な芦部信喜(渋谷秀樹の師匠)・奥平康弘の師匠である。憲法学の巨匠であろう。
個人的に面白かったのは、裁判官の項目である。日本の最高裁判事は内閣の指名で決定されるが、その行政の長は議会が選ぶ。これはアメリカの制度を真似ているが、アメリカの最高裁判事も行政の長が指名する。ただ違うところは、日本の行政の長は首相で議会で選ばれるが、アメリカは民選である。つまり行政に対する民意を伝える制度が、日本にはない。アメリカは大統領制だから、行政に対する民意を伝える -
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元・東京大学法学部教授(憲法学)であった宮沢俊義(1899-1976)による一般向けの日本国憲法論。
【構成】
1 表現の自由をめぐって
2 国家と宗教
3 学問の自由と大学の自治
4 法の下の平等
5 生存権
6 国民主権と天皇制
7 参政権と選挙
8 議会・政党・内閣
9 裁判の役割
10 軍の死と復活
11 憲法改正
<講演>神々の共存
本書の1~10章は著者が雑誌『世界』に連載した「憲法講話」を編集したものであり、11章の憲法改正については書き下ろし。最後の「神々の共存」は憲法記念講演会(1962年5月3日)での講演からの採録である。
著者の宮沢俊義は、東京帝国大学法学部において