島田虔次のレビュー一覧

  • 中江兆民 三酔人経綸問答

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    南海先生のもとを訪れた洋学紳士は非武装、民主主義制を主張し、豪傑君は植民地主義を主張する。南海先生はどちらの論も極端なものであり、現実的ではないと諭す。中江兆民が1887年に書いた本だが、現在でもしばしば洋学紳士と豪傑君の対立を見かける。この本の持つ問題意識は現在でも通用するのだろう。

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    2025年01月05日
  • 中江兆民 三酔人経綸問答

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    さんすいじんけいりんもんどう

    中江兆民は民主主義の基礎を築いた人

    歴史で〜をやった人+名前だけ覚えるみたいなクソみたいな勉強してたなと思う。中江兆民の書いた本読んでなかったらこんな魅力的で素敵な人だって知らなかったもん。〜をやった+名前を知ってても知ってるとは限らないというのはこの事だね。

    中江兆民(なかえ ちょうみん)
    (1847年12月8日 - 1901年12月13日)は、日本の思想家であり、「東洋のルソー」と呼ばれた人物です。明治時代に活躍し、近代日本における民主主義思想の先駆者として知られています。彼は西洋哲学、特にジャン=ジャック・ルソーの思想を日本に紹介し、それを

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    2024年11月26日
  • 中江兆民 三酔人経綸問答

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    これほど多面的な解釈をできたということは、計り知れない能力を備えた人物であったことを意味している。未来を見据えた内容である。

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    2017年12月14日
  • 中江兆民 三酔人経綸問答

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    中江兆民、歴史の教科書で学びますが、実際にその著書を読んだことはありませんでした。この本は、現代語訳と、ルビを付した原文が併載されています。この時代から、立憲制、民主制、恒久平和、死刑制度廃止が議論されていることに感銘を受けます。

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    2016年10月16日
  • 中江兆民 三酔人経綸問答

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    明治日本が経綸する上での、様々な意見が述べられる。
    あくまでも著された明治20年の時点では、紳士君が述べる事柄と
    豪傑君の述べる事柄のどちらも等しく極端であると退けられている。

    この後紆余曲折を経ながら60年かけて豪傑君の意見が国内の
    指導層の間で大勢を占めるすことを思うと、まさに隔世を感じる。

    果たして南海先生と紳士君と豪傑君の3者のうち、どの意見が
    中江兆民の真意に近いか分からない。
    ただ解説であった通り、どれも兆民の意見であるというのは正しい
    のだと思う。
    なにしろこうも客観的かつ冷静に三者の意見を著述するのである。
    三者の意見はその全てが経綸のための手段にすぎず、
    手段の全てがその

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    2014年01月23日
  • 中江兆民 三酔人経綸問答

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    時の政策を批判する時に、批判ばかりしていたのでは良くない。対案は持つべきではある。しかし専門家ではない市民の身、原発政策や経済面の複雑な論議に入っていくと埋没してしまって抜け出せなくなる。よって、一番根幹の論議とは何かを考える。根幹を押さえて置くと、結論は直ぐに出るだろう。すると、結局はアメリカとの関係をどうするのか、というところに行き着くのである。それは即ち日本の外交政策をどうするのか、というところに行くだろう。だから憲法9条をどうするのかということは、世の中ことを論ずる時には必要不可欠だし、中国脅威論云々というのは、基本的には決して無駄な論議ではない。

    しかし繰り返すが、専門家ではない市

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    2012年07月02日
  • 中江兆民 三酔人経綸問答

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    中江兆民の思想が盛り込まれた傑作。現代語訳されているためとても読みやすく、また日本の経済・政治の論点が見える。この時代も今も根本的な論点は変わらないのだと思うと先人たちは偉大だと感じると同時になんだか少し残念に思えるが仕方ないことなのであろう。それが政治なのかもしれない。

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    2012年03月02日
  • 中江兆民 三酔人経綸問答

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     中江兆民がこの著作を執筆してから百二十余年。

     未だに豪傑君、あるいは紳士君の一方の主張に拘泥する論調の、何と多いことであろうか。

     「軍備なき平和」と「力による平和」の問題について南海先生はこうまとめた。

     「外交上の良策とは、世界のどの国とも平和友好関係をふかめ、万やむを得ない場合になっても、あくまで防衛戦略を採る」こと。

     何だか当たり前のようなこと、ともいえる。
     しかしこの著作から得られることを高坂正堯は次のように記している。

     「たいせつなことは、『軍備なき平和』と『力による平和』のあいだには超えがたいジレンマが存在するということなのである。このジレンマゆえ

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    2010年09月12日
  • 中江兆民 三酔人経綸問答

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    洋学紳士・豪傑君・南海先生の3人が酒をかわしつつ天下の趨勢について論じたもの。
    思想について論じたものだが、文学的な表現なども満載でこの本の3人が論ずるという形式もあってか非常に読みやすく、読んでいて痛快である。
    民主制とは何であるかと考えさせられる一書。
    この本が書かれた当時の時代背景などを念頭に置きながら読むと、より一層楽しめると思う。

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    2010年06月16日
  • 中江兆民 三酔人経綸問答

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     ゼミの教授に強く薦められ、手にした一冊。

     原本が出版されたのは百数十年以上昔の明治時代。「経綸」とあるように、近代化へとひた走る日本における「あるべき国の姿」を、三者の議論の形を採って模索している。

     当時の日本は、内の民権運動という波に加え、外の欧米列強という波にも揺さぶられており、故にこの本は政治制度と同時に国際政治にも論及している。国際政治学の古典とも名高く、教授はその意味でこの本を薦めて下さった。原文は難解だが、現代語訳されており、数時間で読める。

     この本の優れて知的な点は、狙いとしてその「模索の過程」に重きを置いている事にある。国権主義、理想主義、現実主義を並べ置き、それ

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    2009年10月04日
  • 中江兆民 三酔人経綸問答

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    周囲でいろいろな人が絶賛しているので手に取った。

    120年前に書かれたとは思えない代物。国際政治の基礎をかじった者としては兆民の識見に敬服せざるをえません。

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    2009年10月04日
  • 中江兆民 三酔人経綸問答

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    判ろうが判るまいが、最初に文語体の原文を読むべし。今の政治状況は百年前とちっとも変わって無い。最近はむしろ退歩している。

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    2009年10月07日
  • 朱子学と陽明学

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    朱子学と陽明学の基本的な考え方をわかりやすく簡潔に説明している入門書です。

    1967年に刊行された本ですが、長年にわたって読者の評価を得ているロングセラーで、今なお優れた入門書と言えるのではないかと思います。もっとも、現在では木下鉄矢による厳しい批判がなされており、また垣内景子の『朱子学入門』(2015年、ミネルヴァ書房)や小島毅の『朱子学と陽明学』(2013年、ちくま学芸文庫)などのわかりやすい入門書が刊行されていますが、本書のコンパクトな叙述のスタイルには類書にない魅力を感じます。

    とりあつかっている内容としては、朱子学と陽明学の概要のほか、「儒教の反逆者」として李卓吾に一章があてられ

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    2020年06月07日
  • 中江兆民 三酔人経綸問答

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    古典を読む楽しみはその時代に生きていた感覚を味わえることだと思う。明治時代、これが書かれた時代にはなるほど世界はこう見えていたのかと思わされる。

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    2016年06月27日
  • 朱子学と陽明学

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    程明道、程伊川の思想が発展することで朱子学に至り、さらに朱子学の問題意識を突き詰めることで陽明学に至るという流れがつかめる。問題意識の在り処に注目することで、朱陽の思想の概観が判る。

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    2015年04月29日
  • 中江兆民 三酔人経綸問答

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    中江兆民「三酔人経綸問答」青110-1 岩波文庫

    本著はもともと漢文で書かれており、前半は現代語訳文、後半は原文といった構成になっています。

    民主制を訴える洋学紳士、侵略主義を唱える豪傑君。血気盛んな二人の成年は、政治と哲学の師である南海先生のもとを訪れる。盃を交わし、両者の熱い弁論は平行線を辿る。酒も回ってきた頃合いに、南海先生が口を開く…。

    互いに足らぬところ、行き過ぎた部分を指摘し、両者の思想は違えど、実はその根源は同じであると諭す。しかし、あくまで道理を示すまでにとどめ、特定の政治目標へ導くことはしない。
    その南海先生のスタンスこそ、まさに本著の目的でもある。

    南海先生は政治の

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    2015年03月05日
  • 中江兆民 三酔人経綸問答

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    面白かった。
    と、言えるほど読み砕けてはいない…。

    酔っぱらうと国家を天の視点から語りだす「南海先生」の家に、民主守備の理想を説く「紳士君」と、領地拡大により大国に伍することを語る「豪傑君」が訪れ、日本の行く末を酔っ払い3人、大いに語る。
    前進か、後進か。両極端を語る2人に対し、中道を説く南海先生。明治のこの頃には、巷でこんな議論が繰り広げられてたんだろうか。みんな、国家百年の大計を考えて。
    読み解けてはいないが、また読みたいとは思った。僕にも国家百年を論じたいと思える日は、、来ないと思うが。

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    2014年03月04日
  • 中江兆民 三酔人経綸問答

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    ネタバレ

    日本にルソーを紹介した民主主義者・中江兆民の著。1887年出版。 現代語訳だけ読んだ。

    進歩的理想主義者「洋学紳士」と保守的軍国主義者「豪傑君」がそれぞれリベラリストとナショナリストの立場から国家論を展開。中道的リアリストの「南海先生」が聞き手に回るという内容。 三人とも酒を呑みながらしゃべる。

    洋学紳士も豪傑君も極論。どちらも理解できる部分があるし、いやそれは違うだろ、という部分もある。最後に二人をいさめつつ議論をまとめ上げるリアリスト・南海先生のくだりのカタルシスが素晴らしい。

    「政治の本質とはなにか。国民の意向にしたがい、国民の知的水準にちょうど見あいつつ、平穏な楽しみを維持させ

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    2014年02月19日
  • 中江兆民 三酔人経綸問答

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    ある日洋学紳士君と豪傑君が南海先生のところを訪ね、3人で酒を交わしながら、緊迫する世界情勢の中で日本という東洋の小国がいかに進んでいくべきか、その外交上の指針を鼎談形式で語るという体裁の作品。洋学紳士君は進歩史観に基づき、武力を排除して民主主義・自由・平等を押し広めていくべきという考え、つまり左翼的である一方、豪傑君は"弱い大国(恐らく中国)"を支配して日本を大国化する、つまり右翼的な考えを持つ。南海先生は侵略は防衛する時に限るべきだと、これは中道路線というべきか。
    p100の南海先生の言葉に、「事業はいつも現在において、結果という形で姿をあらわすが、思想はいつも過去において、原因という形をと

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    2013年04月07日
  • 中江兆民 三酔人経綸問答

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    机上の空論のような理想論を即座に実現できるかのように主張する非現実的な紳士君、世界情勢からの外交的危機感に過剰に反応し、売られる前の喧嘩を買おうとするかのような豪傑君、空想妄想に寄らず、足元を固めて目の前の現実に向き合うしかないという南海先生、
    100年経った今でも同じような三人の議論が個人、新聞、TVなどで続けられていると思えるが。戦前は豪傑君、戦後は紳士君に偏った時もあったが、しかし基本は南海先生の主義で日本は今に至っているのかな。

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    2012年05月08日