島田虔次のレビュー一覧
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ネタバレ<紹介>
本書は自由主義的進歩思想、絶対平和観を有した洋学紳士君、帝国主義的国権論者の豪傑君、現実主義の南海先生、三人が対話によって世界の潮流、日本の政治を語るものである。洋学紳士君、豪傑君はどちらもラディカリストであり、それを南海先生がたしなめる形になっている。南海先生は決して自らの主張を述べるでもなく、喋る機会自体が少ないが、先生の言葉一つ一つは比喩を用いながら、思想や政治の本質について核心的な事を述べており興味深い。
<感想>
解説にあるように、三者のうちどれが中江兆民の思想に一番近いのかははっきりしないが、私は洋学紳士君に対する思い入れが大きいように思える。洋学紳士君は西欧の歴 -
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ネタバレ[ 内容 ]
仏教の汎神論的思想を容れて宋代に確立した朱子学、心即理・致良知・知行合一を説く明代に生まれた陽明学。
両者とも近世中国を支配した儒教哲学であり、また唯心論的実践哲学である。
日本人の倫理観にも大きく影響を与えたこれらの学説の成立過程と歴史的役割を明らかにし、中国思想史におけるその位置づけを試みる。
[ 目次 ]
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間 -
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明治時代の国際政治状況を踏まえた日本の選択肢を書いた本。
解説によると中江兆民の思想を書いた本らしいですが。
架空の人物「南海先生」のもとに紳士君と豪傑君が現れて
酒を飲みつつ政治談議を交わす設定です。
紳士君はリベラリストというかもはやロマンチスト。
民主主義を標榜し「平等」と「自由」を兼ね備えた国になる事で
他国は敬意を払い攻めてくる事はないだろう、
もし攻められたら相手を非難して無抵抗で敗戦した方がましである、と。
対して豪傑君はリアリスト。
日本は小国であり、文化的経済的に急速な発展をする事は難しい。
更に、日本が改革を行うためには闘いを好む懐古主義者と進歩主義者がいてはならない -
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国際政治は権力闘争ではあるが、その枠組みと規則が存在するため、暴力の支配する無秩序とはいえない。非武装でもなく、征服のための軍備でもなく、世界中の国と友好関係を深め、常に防衛戦略をとるべき。中江兆民『三酔人経綸問答』1887
社会主義は愛の精神ではない。これは一階級が他の階級に抱く敵愾の精神である。社会主義に由って国と国とは戦はざるに至るべけれども、階級と階級との間の争闘は絶えない。社会主義に由って戦争はその区域を変へるまでである。内村鑑三
※不敬事件。敬礼はしたが、最敬礼をしなかった。再度、敬礼を依頼されて同意したが、病気で行けなかった
横山源之助『日本の下層社会』
軍備と徴兵が国民の -
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書名から勝手に概論的な内容だと思いこんでいたが、全く違った。性即理の朱子学と、心即理の陽明学を対比させ、どのような思想的変遷を辿ったのかを考察したもの。かなり専門的な内容だった。思想というものは突然変異的に出現するものではなく、どんなに対立する思想にも何らかの繋がりがある、という主旨。
万物が本来持つ”あるべき姿”を性とし、それが世の構成原則(理)になっているという朱熹の『性即理』理論。心は性と情から成り、性は人に元来備わっている(=未発)”善なるもの”で「体」、情は物質である「気」が動いた結果(=已発)としての「用」であり、これらは別物という考え。事物の「性」を正しく理解することによって物事 -
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