柳父章のレビュー一覧

  • 日本語をどう書くか

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    書き言葉がこれほど人工的に作られていたとは思いもしなかった。その言葉で教育を受けた私は、考えていることと書くことと話すことが一致しているのか疑問である。
    とても興味深いテーマの本だが、動詞とか形容詞などの国語の基礎が不足しており、わからない部分があった。勉強は終わらないなぁ。

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    2024年05月19日
  • 翻訳語成立事情

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    興味深い内容だったのだけど、今の私の読解力では時々理解が出来ないところがあって、そんな自分に残念であった。しかし、日本語に含まれる「意味」の多さよ!裏と表の顔よ!こんなにもあるのか、と発見出来たことは良かった。そして、相手が伝えたい意味と私が受け止める意味は違うかもしれない、と分かったことは、私の気持ちを軽くさせてくれた。

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    2024年05月18日
  • 翻訳語成立事情

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     「社会」「個人」「近代」「美」「恋愛」「存在」「自然」「権利」「自由」「彼、彼女」という幕末から明治期に生まれた翻訳語が、なぜそう訳されることになったのか、実際の意味がどのように歪み、分かりにくさや矛盾を孕んだまま急速に受け入れられ広まっていくこととなったのか、という点について述べている。
     訳語そのものの成立の歴史もさることながら、結局今の我々がどういう意識でその言葉を使っているのか、ということに目を向けさせる点が、ドキッとしてします。例えば、「今日、私たちがsocietyを『社会』と訳すときは、その意味についてあまり考えないでも、いわばことばの意味をこの翻訳語に委ね、訳者は、意味についての責任を免除されたように使ってしまうことができる。」(p.8)ということで、実は「社会」と訳したところでそれが何なのかはよくわかっていないでしょ、という指摘。「そして、ことばは、いったんつくり出されると、意味の乏しいことばとしては扱われない。意味は、当然そこにあるはずであるかのごとく扱われる。使っている当人はよく分らなくても、ことばじたいが深遠な意味を本来持っているかのごとくみなされる。分らないから、かえって乱用される。文脈の中に置かれたこういうことばは、他のことばとの具体的な脈略が欠けていても、抽象的な脈略のままで使用されるのである。」(p.22)ということになってしまっている。individualの訳語についても、「独一個人」という翻訳語を作り、「むずかしそうな漢字には、よくは分らないが、何か重要な意味があるのだ、と読者の側でもまた受け取ってくれる」(p.36)という漢字の効果=「カセット効果」についての指摘が多い。「それはあたかも思考の困難を解決するかのごとく現れている。この未知のことばに、それから先は預ける。(略)ことばは正しい、誤っているのは現実の方だ、というところで、一見、問題は解決したかのごとき形をとる。それは、以後今日に至るまで、私たちの国の知識人たちの思考方法を支配してきた翻訳的演繹論理の思考であった。」(p.40)ということらしい。でも今の世の中なんて翻訳すらしないで、シームレスとかトレーサビリティとか言って、それこそカタカナ語のカセット効果、の方が著しい気がする。というかもはや考えることすらも放棄した結果、ということになるのだろうか?あるいは原語は原語のままで理解すべき、ということなのだろうか?いずれにせよ、漢字もカタカナ語も、つまり外国のものには多かれ少なかれカセット効果があるのか、と思う。「ことばが先にあって、その日常的意味をもとにして、『哲学者及審美学者』は、これをつごうによって抽象し、限定して使うのである。しかし、この限定された意味、翻訳語として受け止め、従って、完成された意味として受け取ることの多い日本では、この順序はとかく逆転して理解されがちである。」(p.78)というのが日本人の傾向、ということなのだそうだ。「一般に、どんな翻訳語が選ばれ、残っていくのか、という問に答えることはやさしくない。しかし、およそ、文字の意味から考えて、もっとも適切なことばが残るわけではない、ということは言えるであろう。」(p.186)なので、英文を訳していて意味が分からない時はその定訳自体が変なんじゃないか、ということは大いにありそうだ。最後にビックリすることは、heと「彼」の話で、「第一に、heは三人称代名詞だが、『彼』はもともと指示代名詞である。日本語には、三人称代名詞はなかったし、今日でも、実はないと言った方がよい、と私は考える。このことは私たち日本人にとって、とくに外国語教育を十分受けた人ほど、以外に分りにくいようである。」(p.197)という部分。英語のheは、すでに言及された人物のことを言う、日本語の「彼」は3人称ではなく「遠称」、つまり「発言者と聞き手から外の、遠くのものを指す」(p.197)、つまり「初めてみたものを指して『アレ』とか『彼』とは言えるが、heとは言えないのが原則である。」(p.198)という、こんな簡単な事実も、(英語の先生がやることで、スライドで人物を見せたら、まずはThis is...とやらないといけないところを、いきなりHe is...とやってしまう、というのはよく聞く話なので、そこから考えれば良かったことなのだけれど)考えたことなかったなあと思い、でもこの違いを意識することが外国語を知る面白さだよなあとも思った。
     ただ全体としては英語が云々というよりは、日本の知識人がどう考えたか、という話なので、言葉自体よりは当時の思想的な背景を勉強する本。(22/10)

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    2022年12月16日
  • 翻訳語成立事情

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    翻訳語をめぐる問題に取り組んできた著者が、明治以降の西洋文明の受容によって成立し、あるいは意味の変容がおこなわれた10のことばについて考察をおこなっている本です。

    とりあげられていることばは、「社会」「個人」「近代」「美」「恋愛」「存在」「自然」「権利」「自由」「彼、彼女」で、「社会」や「権利」のようにそれまでの日本に存在しない西洋由来の概念を日本語に移し替える努力をした人びとの仕事に焦点があてられるとともに、それらの外来語が広くつかわれていくなかで、どのような効果を発揮したのかということについて論じられています。

    著者は、こうした外来語が「中身が何かは分らなくても、人を魅惑し、惹きつける」効果をもつことを指摘し、それを「カセット効果」と呼んでいます。ただし著者は、そうした効果をもつ外来語が、日本に十全に定着していないといって単純に批判するのではなく、より広い観点から西洋文明の受容プロセスにおいてこれらのことばが果たしてきた意義を考察するというスタンスに立っています。

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    2020年11月21日
  • 翻訳語成立事情

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    よ、読むのにめっちゃ時間かかったー!
    他の方のレビューには敵わないので、もっと丁寧に書かれているレビューを参考にされたし(笑)

    この間、ちくまプリマーで誰が言ってたか、英語のLOVEと、日本語の愛はその語に含まれた背景が違うと。
    英語では神に対するような感情を含めた言葉。
    日本ではせいぜい兄妹に向けるような言葉。
    んー。この解釈も、『翻訳語成立事情』を読むとズレがあるように感じる。

    そして、恋すると愛すると恋愛もやっぱりそれぞれに違いがあるように思う。

    しかし、書かれている内容は本当に面白い。
    社会、個人、近代、美、存在、自然、権利、自由、彼・彼女。

    特に思想が絡んだ言葉は、モノのようにA=Bとはいかない。
    明治の人はよく講演なんかでカタカナ語好きやなーと思っていたものだけど、こういう事情があったんだなぁと納得。
    そして、2000年代の私たちはそのズレを知ってか知らずか、当たり前に使っている言葉ばかり。

    だからこそ、起源を辿ってみることは良いよね。

    2017/10/04再読
    池上嘉彦の評論を読んだ際に思い出して再読。

    「ことばがこうして、いいとか、悪いとか価値づけされて受けとめられている、ということは、ことばが、人間の道具として使いこなされているのではなく、逆に、何らかの意味で、ことばことばが、人間の道具として使いこなされているのではなく、逆に、何らかの意味で、ことばが人間を支配している、ということを示している」

    まさにこのことと同じ結論に至るのだけど。

    池上氏はこう述べる。
    「外国語の単語を日本語の単語に一対一で置き換えれば事が済むと思い込んでしまっている人たちと同じように、言葉を使っているつもりで、実は少しも使いこなせていないのである。」

    結局、翻訳語を生み出す過程は試行錯誤があり、日本にはない文化・概念をいかにしっくり来るよう「仕向けるか」であったのだと思う。
    「自然」や「美」といった言葉は、元より日本に根付いてきた概念・感覚であったから、誤解も生じ、今なおその使い分けが上手くいかないところもあるのだろう。

    筆者は「カセット効果」を繰り返し主張するが、何か大切なように思えて、きちんと説明できない語。
    だからこそ、流行し、流行することで定着するのだという言になるほど、である。
    最近はカタカナ語で煙をまかれているような気がする。

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    2017年10月04日
  • 翻訳語成立事情

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    20140420 普段普通に使っている言葉が明治以降の言葉だという事に新鮮な驚きがあった。今のメール文化からも同じような事が起きるのだろうか。何十年後の事を想像するのも楽しい。

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    2015年04月21日
  • 翻訳語成立事情

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    全体像を観るというよりは、いくつかの特定の訳語の成立事情をみていくスタイルで章立ては訳語ごとになっている。当時の文献なども引用されていて興味深いのはたしかなのだが、全体にどいういうわけかすらすら読んでいく気になれない退屈さがある。

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    2013年03月16日
  • 翻訳語成立事情

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    入試の課題図書として買ったので繰り返し読んでいます。
    難しいのかな、と思っていたら、取っ付き易くおお!と思うことばかりで中々面白いです。

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    2011年02月10日
  • 翻訳語成立事情

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    日本語には見当たらない外国語の表現や単語を、どのように翻訳していったかがわかる本。本書の説明通り、明治期の知識人の知的葛藤が垣間見えた。やはり、言葉の真意を知るには母国語の知識だけでは駄目だということを痛感した。

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    2009年10月29日
  • 翻訳語成立事情

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    「世間」と「社会」、違うと思いません?

    「恋」と「恋愛」、違うと思いません?


    言葉のにおいが違うと感じる方、必読。

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    2009年10月04日