津田のレビュー一覧
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両親と、同学年で3ヶ月違いの養弟と暮らすひすいの、新中学2年の担任教師は、個人が読んだ本と感想を書いた「読書カード」を掲示し、班ごとに冊数を競う方針を掲げた。彼女は、本そのものや読み聞かせは好きだったが読むことは苦手で、なかなかカードが出せず焦っていた。ところが、同じクラスの入来理幹は、プライバシーを理由にカードの提出を拒む。担任に気に入られたいひすいは、理幹の行動に驚くが、同じクラスの心桜の汚い字で幼い文章のカードにも、その字をパソコンで打ち替えたカードに張り替える担任教師にも驚くのだった。
ディスレクシア、書字障害、化学物質過敏症、里親養子、外国人の血筋、過食症……、中学2年生の様々な悩 -
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見えない困難を抱える中学生の物語です。この本にはいろいろな悩みや困難を抱える中学生が登場します。文字を読むのが遅い、字が書くのか下手、ジェンダー、不登校などの悩みを抱えています。しかし、悩みを抱えているのになかなか大人たちに理解して貰えず登場人物たちは苦しんでゆきます。
物語では担任が本を読んだ冊数を班で競うという活動をさせているのですが文字を読むのが遅いひすいはなかなか読み進められません。でも、担任はそれを理解していません。担任はいろいろな意地悪をしてきます。
人の悩みはその人しか分からないけれどしっかり理解しようとするのは大事だとおもいました。 -
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ディスクレシアのひすい。
ディスグラフィアの心桜。
ジェンダーに悩む理幹…。
「生きにくさ」を抱える中学生の、連作小説。
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痛い。
読んでいる間ずっと、チクチク、ヒリヒリと痛かった。
みんな、生きづらさを抱えて生きている。
「いい子」「いい人」でありたいと思い、
そんな自分に嫌気がさしたりしながら
摂食障害になる小春の章が、一番ヒリヒリした。
私も「いい人」症候群になっていると気づいていたから。
生きづらいのは私だけではない。
子どもだけではない。
生きづらいけれど、生きてようね。
一人、「生きてようね」ゲームをしてみる。
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口を開けば悪口ばかりの娘と、高学年に進めたい。 -
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ディスクレシア(読むのが苦手)な子、性自認が「男」でも「女」でもない(戸籍上の)女子、漢字を書くことが苦手な子、里親制度で養子になった子、大人の言う「いい子」であることを自分に科す子、他人を弄るしかコミユニケーションが取れない子、過敏症が理解されずに怒りを爆発させる子、など様々な生徒がクラスの中にいます。
それぞれの生徒の視点から描かれる連作短編集です。
きっと、公立中学校には作品に描かれているように多様な生徒がいるのだろうと思います。
「普通」ってなんだろう、「当たり前」ってなんだろう、と読んでいるうちに何が正しいのかわからなくなり、改めて考えさせられる小説でもありました。
ただ、冒頭か -
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人には理解してもらえない困っていること、ある。
誤解されたり、うまく説明できなかったり。
そういうもどかしい様子がうまく書かれている。
ディスレクシアのグレーゾーンにいるひすい。
女にも男にも分けられたくない理幹。
書字の違和感により合理的配慮を求める心桜。
両親と死別し、養育里親の養子になった拓真。
大人の期待に応えたい過食ぎみの小晴。
過敏症をわかってもらえない留美名。
障害という表現で書かれているが、
今は神経細胞の多様性と捉えられているらしい。
あとがきに、作者の体験によって書かれているとあり、驚いた。
何かに悩んでいる人に耳を傾けなければと思った。
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子供たちが悩みながらも、怒って傷つきながらも、自分で考えることのできる子たちでよかった。
誰もがみんななにかしら抱えている。
かもしれない、のきっかけをくれる物語。タイトルがとてもいいな。子供はもちろん、(わたし自身が大人を教師を好きになれなかったこともあり)大人に読んでもらいたい。これは自分も、相手も、年齢関係なく、いつまでも忘れずに意識すべきものなのだと思う。
ただ、もどかしさに悶えたりもする(個人的に出てくる大人が菊ちゃん先生と心桜のお父さん以外ずっとむかむかした…あと梅田と田西…ちゃんと向かい合ってくれる人がいるのになぜ伝わらないのだ…!)
ただだれもかれもが、抱えすぎていて、抱