寺沢拓敬のレビュー一覧

  • 「日本人と英語」の社会学―なぜ英語教育論は誤解だらけなのか

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    日本の英語教育についての批評本。日本人の英語力に関するあらゆる説について統計的に分析している。

    全体に通して言える結論は日本の英語教育は過熱しており、ビジネスの的になりやすいということ。確かにグローバル化が劇的に進むにつれて、英語の必要性は必然的にん高まるが、国によってその必要度合いは違う。発展途上国を筆頭に学問を母語で学ぶことができず、仕方なく英語で代用している国と母語で困ることがほとんどない日本では背景が全く違う。故に日本において英語が堪能であるから「年収が上がる」「学力が上がる」といった相関関係は疑わしい。

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    2020年02月24日
  • 「なんで英語やるの?」の戦後史―《国民教育》としての英語、その伝統の成立過程

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    ネタバレ

    書店にて購入(大学は早く入荷してください)。基本的に名著。こんな研究を待っていた!!業界関係者は必読の一冊となること間違いなし、が予想される。 内容については触れないで、ぼかしたレビューを書きます。基本的には大絶賛で、日本における英語教育研究史において、重要な意義ある節目を位置づける研究となることでしょう。この研究テーマを、博論、そして著書という形にまで昇華させた著者に敬意あるのみですほんま。調査の内容に関しても、著者のバックグラウンドが存分に活かされており、そこがオリジナリティとなっています(詳しくはくまなく読み込めばわかります)。よいアプローチです(バックグラウンドを活かすことのできる研究

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    2014年03月03日
  • 小学校英語のジレンマ

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    小学校英語の問題点を丹念に調査した好著だ.結論めいた件がp204にある.「小学校英語は熟議なしで拙速に決定されたものであり、そもそも劇的な効果は望めない.また、グローバル化に対応するために小学校から英語を導入すべしという根拠も不明である.」お金がないからか担任の先生が英語を教えることになり、先生の負担も増大している.第二次安倍内閣で、官邸主導の進め方が目立つとの指摘もあるが、例によって議事録がない事例が多いようだ.誰がどのような形で決めたのか、反論はあったのか、ものごとの進め方が稚拙だと感じた.

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    2020年09月26日
  • 小学校英語のジレンマ

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    小学校英語について最もよくまとまった本である。また共分散構造分析のモデルも使っていた。
     研究の基礎文献になりうる本である。

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    2020年04月27日
  • 「日本人と英語」の社会学―なぜ英語教育論は誤解だらけなのか

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    データにもとづいて、日本人と英語に関する夢のない事実を明らかにしている。
    ・高度の英語能力を持った日本人はごく一部しかいない。
    ・英語教育を受けられるか否かは、出身階層によって大きく左右される。
    ・日本人は、全体として、世界的に見て英語力が低いのは事実だが、最低とか、突出して低いということはない。しかし、他国では、高階層の人は英語ができ、低階層の人は英語ができないという格差が大きいが、日本人は、低階層の人でもそれなりに英語がわかるのに、高階層の人でもそれほど英語ができないという格差の乏しさが、日本人の英語ベタを目立たせる結果となっている。
    ・現実に、英語を使っている日本人はごくわずか。
    ・英語

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    2019年05月21日
  • 「日本人と英語」の社会学―なぜ英語教育論は誤解だらけなのか

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    英語に関するイメージ的な言説(英語が話せれば収入が上がるとか、就職の幅が広がるとか)は広く流通しているが、実際には日本社会ではそれほど英語が必要とはされていない。特に女性は仕事に結びついていない。早期英語教育によって英語能力は多少上がるが、それが何?という話。
     2010年までの社会調査データに基づいているので、その後に急増したアジア圏からの旅行者対応などを考えると、接客などで多少でも英語を使う人は増えているかもしれない。「これまでの教育に基づく現在の状況」を分析したものであり、これからどうなるかという議論ではない。とはいえ早期教育や大学における英語オンリー教育などを積極的に導入しなければなら

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    2018年11月23日
  • 「日本人と英語」の社会学―なぜ英語教育論は誤解だらけなのか

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    膨大な統計資料をRで分析し、英語に関する俗説をことごとく痛快に論破している.このような社会学的アプローチは政策立案者にとって非常に重要であるのもかかわらず、俗説をペースにことを進めている大ばか者が多い.文部科学省がその典型だ.反省すべきだ.Rを勉強中なので多くの事例があり参考になった.

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    2015年07月01日
  • 小学校英語のジレンマ

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    非常にわかりやすく、客観的な分析。歴史的経緯の中で、小学校英語がどのように位置づけられてきたか、そして、肝心の課題とは何か、早期英語教育の効果は何か、が整理できた。早くに英語を学習することに、個人単位では意味がないと改めて認識。

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    2023年10月29日
  • 小学校英語のジレンマ

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    グローバル化は呪文
    全ての日本人に必要なものではない
    グローバルビジネス、国際交渉の前線に立つ人の英語力向上させる施策が一番コスパがよい。例・企業内教育、職業訓練

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    2022年09月18日
  • 小学校英語のジレンマ

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    ネタバレ

    英語教育はどこに向かっているんだろう。と疑問を持って読んだ。
    早期英語教育を公教育に盛り込んだところですぐに子どもが英語ペラペラになるわけではない。実生活と結びついているわけではないから。
    教員の負担も増えるし研修する時間もお金もない。
    だから著者は専科教員が担当するか、全廃かの案が良いとしていた。
    担任て本当に忙しいし、だったら専科に教えてもらって空き時間にしたいという人が多い。だが専科は専門性はある程度あるものの、500人弱の児童を顔も名前も覚えて週1-2コマという短時間で理解しきれないまま苦しい思いをしていることもある。

    個人的には教員の負担と教育効果を考えると専科制に賛成だが、それが

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    2021年12月31日
  • 小学校英語のジレンマ

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     英語が2020年度をもって小学校5年生から正式な教科として始まるに際して、そのまさに当事者の小学5年生が家族にいるものとして、その英語教育がどのような考え方を背景にデザインされてきたものなのか、その内容を確認することができた。
     英語が要るのか要らないのか、ただちにその深いところには立ち入らず、評価の妥当性をどこに求めるべきかという論旨になっている。まあ、これはこれでいいだろう。
     ただ、当事者として気になるのは、英語教育の質である。小学校教員にはもともと英語教育の資格がなく、現場は右往左往の混乱にあるようである。これで授業が成り立つのかという「?」は至極自然な感覚ではないだろうか。
     入門

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    2020年04月29日
  • 小学校英語のジレンマ

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    小学校英語教科化の歴史的経緯が、かなり詳しく記述されており、なるほど、と思うこと多数。今後の展望も説得力あり。

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    2020年03月08日
  • 「日本人と英語」の社会学―なぜ英語教育論は誤解だらけなのか

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    日本人の英語力は本当に低いのかなど、日本人の英語にまつわる命題を世論調査の結果に基づいて定量的(=統計的)に検証した本。

    例えば、「英語ができる人は年収が高い」という命題は、親の年収とか学習年数等他の条件が同等で、英語だけできる/できないという条件で比較すると、否定されるらしい。

    結論だけ知りたいのであれば、最終章だけで事足りる。

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    2015年08月03日