あらすじ
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★「日本人と英語」にまつわる通説を、データを使って徹底検証!
「日本人は英語が下手」「これからの社会人に英語は不可欠」「英語ができれば収入が増える」は本当か?
「日本人と英語」にまつわる様々な通説・俗説を、社会科学的な手法を用いて批判的に検証。正しい「日本社会」像を提示するとともに、英語学習や英語教育の実態を浮き彫りにする。
『「なんで英語やるの?」の戦後史』で英語教育史に新風を吹き込んだ著者による、データに基づいた明晰な英語言説批判。
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Posted by ブクログ
日本の英語教育についての批評本。日本人の英語力に関するあらゆる説について統計的に分析している。
全体に通して言える結論は日本の英語教育は過熱しており、ビジネスの的になりやすいということ。確かにグローバル化が劇的に進むにつれて、英語の必要性は必然的にん高まるが、国によってその必要度合いは違う。発展途上国を筆頭に学問を母語で学ぶことができず、仕方なく英語で代用している国と母語で困ることがほとんどない日本では背景が全く違う。故に日本において英語が堪能であるから「年収が上がる」「学力が上がる」といった相関関係は疑わしい。
Posted by ブクログ
データにもとづいて、日本人と英語に関する夢のない事実を明らかにしている。
・高度の英語能力を持った日本人はごく一部しかいない。
・英語教育を受けられるか否かは、出身階層によって大きく左右される。
・日本人は、全体として、世界的に見て英語力が低いのは事実だが、最低とか、突出して低いということはない。しかし、他国では、高階層の人は英語ができ、低階層の人は英語ができないという格差が大きいが、日本人は、低階層の人でもそれなりに英語がわかるのに、高階層の人でもそれほど英語ができないという格差の乏しさが、日本人の英語ベタを目立たせる結果となっている。
・現実に、英語を使っている日本人はごくわずか。
・英語学習熱のある人もごくわずか。
・英語を使用する必要にかられている人もごくわずか。この本の使っているデータの時点(2000年から2010年)でみると、グローバル化によって英語の必要性が高まっているという事実は見られない。
・英語ができると所得が高くなるという傾向も、あまり見られない。
・相対的に見て、女性が仕事で英語を使う機会は男性より少ない。
・早期英語教育熱は、公教育向上に対する期待、英語の有用性の認知などに支えられている。
・早期英語教育を受けた人は、そうでない人よりも英語ができるようになる確率が高い。しかし、小学校での早期英語教育の効果の有無は、未検証。
Posted by ブクログ
英語に関するイメージ的な言説(英語が話せれば収入が上がるとか、就職の幅が広がるとか)は広く流通しているが、実際には日本社会ではそれほど英語が必要とはされていない。特に女性は仕事に結びついていない。早期英語教育によって英語能力は多少上がるが、それが何?という話。
2010年までの社会調査データに基づいているので、その後に急増したアジア圏からの旅行者対応などを考えると、接客などで多少でも英語を使う人は増えているかもしれない。「これまでの教育に基づく現在の状況」を分析したものであり、これからどうなるかという議論ではない。とはいえ早期教育や大学における英語オンリー教育などを積極的に導入しなければならないほど英語が求められているかというと、実際にはそうでもないのではないか。むしろエリート層こそ英語能力が求められる。
Posted by ブクログ
膨大な統計資料をRで分析し、英語に関する俗説をことごとく痛快に論破している.このような社会学的アプローチは政策立案者にとって非常に重要であるのもかかわらず、俗説をペースにことを進めている大ばか者が多い.文部科学省がその典型だ.反省すべきだ.Rを勉強中なので多くの事例があり参考になった.