朝比奈なをのレビュー一覧
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奨学金の返済が出来ない人が増えている事から教育問題に興味が出てこの本と出会った。
教育困難校の実態、Fラン大学へ行く層はどういった層なのか具体的な事例や実際にそこで働く人の声が多く参考になった。
小学校中学校で基礎教育を理解出来なかった人達を高校や大学で教育しようとするのはかなり無駄が多いなと感じた。つまづいた時に拾い上げるシステムが公の教育現場にあれば良いのだが難しいのだろう。本来は個別にレベルに合わせた教育を受ける機会があれば良いのになと思う。
少子化が進んでいるため1人1人の可能性を伸ばす必要があり、これからも教育現場への期待は高まる一方だと感じる。必要な場所に必要な援助がある事を願って -
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一昔前にSNSで話題になった、プロゲーマー養成専門学校のことを読んでいて思い出した。そのインタビューに答えた学生曰く、母子家庭で育ったのでプロゲーマーとして稼いで母親を楽にさせてあげたい、というのである。
当然ながらプロゲーマーという職業は専門学校を出たからなれるものではないし、稼げるのはほんの一握りの天才だけだ。それにもかかわらずなぜ彼はそんなところに迷い込んでしまったのか。この本にはそんな専門学校の闇と、それにとどまらない進路格差の闇が書かれている。
食いっぱぐれないイメージとは裏腹に夢を売って利益を上げる悪質な専門学校や、大卒就活とはまるで違う高卒就活のリアル。教育困難大学の存在は、大学 -
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■内閣府が行った「平成30年度青少年のインターネット利用環境実態調査調査結果(速歩)」によれば,2018年度の高校生のスマホ所有率は97.5%で前年同調査より0.4%増加している。
・利用内容はコミュニケーション89.9%,動画視聴85.2%,音楽試聴78.8%,ゲーム71.5%
■日本自動車教育振興財団の調査では高校生の関心事のトップ5は音楽,ゲーム,マンガ・雑誌,ファッション,SNS・インターネットで特に上位3つは60%近い回答。
・これらに興味を持つのは学力層に関係なくすべての高校生に認められる
■「進学校」や「中堅校」に通う生徒は多彩な体験を通じてスマホやゲーム以外の楽しみがあることを -
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現在、私自身筆者の定義する「教育困難校」で勤務しています。
読んでて、ほんとに共感しまくり。
この書物で書かれている事例、ほとんど似たような経験しました。
これは中にいた人しか書けない文章です。だから、多くの人に読んでもらい、現状を知ってもらいたいと思います。
これ読んだら教員なるのやめよって思う人がいるかもしれません。でも、何も知らないで教員になって、無気力に仕事されたり辞められたりしたら、生徒にとって不利益になるだけです。だから「教育困難校」に赴任が決まったら、是非読んで考えてもらいたいです。
……といっても、私自身教員になる前に、「教育困難校」で働くことを深くイメージしていたわけでは -
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この手の本を読むと
大体は「え、これはちょっと…」とつっこみたくなることが
必ずと言っていいほど出てくるのだが、
今回は最終結論の理想が叶うのかということ以外はほぼ同意だった。
悲しいけれど、通う大学が将来の道を決めているのは間違いなく、
その起点は高校、中学、小学校…と遡っていく。
だから『幼児教育』『お受験』などが過熱している世の中なのだろう。
少し前にドラマ化された2月の勝者なんかもまさに。
これに関しては思うところがあって、
お金をかけて、苦労していい大学に入って良い就職ができればまだよし、
しかし中にはどれだけ費用投入(この言い方は正しくないかもしれないが)しても
到底回収できそ -
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ネタバレまずは気になった箇所から。
P119 「お金を気にすることなく仕事に集中できるのに、基礎学力もなく仕事が出来ない生徒を量産し、地元の企業に就職させる。地元企業はその子たちにお金を払って仕事を教えている」商工会の方の高校への印象。
p 123 最近注目されているヤングケアラーに対しても「親の面倒を見るな、それは親と社会の責任だ」「親の問題を子どもから切り離し、子どもは子どもの人生を歩めるように支援することが社会の共通認識になるときが今後くる」のか?
p201 ①大学に入ったのは就職に有利、みんなが行く②余計なことはしない、成績はギリギリでOK③④話を聞く、書くことが嫌い⑤学力を伸ばす気はない⑥社 -
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<目次>
第1章 進学した高校で人生が決まる
第2章 なぜ学力が低迷したのか
第3章 就職の問題点
第4章 高卒就職生を受け入れる企業の立場から
第5章 専門学校進学の問題点
第6章 「玉石混交」の専門学校~職員の立場から
第7章 大学進学の問題点
第8章 「教育困難大学」の実相~長く教えて思うこと
第9章 新路格差を解消するには
<内容>
高校現場から大学講師などを経て、進路指導をテーマにさまざまな問題点の指摘や提案をしている著者。高校生をベースに、高校内部、進路先として、企業、専門学校(これをここまで書いている人は珍しい)、大学としっかりと取材をしてまとめている。現状の -
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朝日新書の新刊欄から発見。
日本のメリトクラシーが凝縮された高校入試の結果、その環境に適応できなかった生徒が進学する「教育困難校」。本書はその現状をまとめた本である。
・教育困難校の内実がどのようなものなのか詳細な記述が現実感を加速させる
・生徒の類型化も面白い①荒れたヤンキータイプ、②コミュニケーションや学習能力に困難さがあるタイプ、③不登校を経験したタイプ、④外国にルーツを持つタイプ、⑤不本意入学をしてきたタイプ
・これからわかるように困難校の生徒はただ勉強ができなかったから、努力が足りないから入学したのではなく、本来の特性で発達障害やコミュニケーション障害を持っている子が多い
・これ -
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ネタバレ<目次>
第1章 問題山積みの教員の世界
第2章 悲鳴をあげる心と身体
第3章 不信が出発点の「教員改革」
第4章 「求める教員」像とは
第5章 教員のリアル~5人のインタビュー
第6章 傍らにいる人の教員観
第7章 教員・学校の将来のために
<内容>
元教員による取材報告。学校に寄り添った内容。学校世界を知らない人に、その実態を教えてくれる。インタビューも年齢構成などの配慮が感じられる。改革案も示されるが、施策の問題(政府の感覚が現場と乖離している。本の中で「本音では、上からの指示に従い自分で考えずに物言わぬ人材を育成したいと考える誰かが「教育改革」に介入しているのではないか -
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読後感の重い話ではあるが、多少なりとも教育困難校の生徒と接することのある身として深く納得できる話だった。
読んでみての感想は思ったより酷くない。生徒も教員も了解可能な苦しみであり、解決が不可能な課題には思えない。しかし、現実それをするための人と資金が不足している。その背景には社会の侮蔑と無関心がある。本当にその通りだと思った。
教育困難校に通うとされる彼らは純粋で、人間としての魅力に溢れている。それが中高段階での挫折を経て人生を諦めてしまう。こんなに悲しいことはないと感じてきた。
多くの人が本書を読んで、偏見も無関心も取り去ってくれることを祈るばかりだ。