トム・ニコルズのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
もちろん、専門知は必要だという立場の本である。
アメリカの本だが、日本もそう変わらない。最近、当該分野では自明とされていることや少し考えれば分かりそうなことを指摘すると、クライアントが感情的になって拒絶反応を起こすことがあった。それも一回や二回ではない。
インターネットの影響で色々な情報にアクセスできるからだと思っていたが、もっと根深い問題のようだ。
「確証バイアス」、自分にとって都合の良い情報を集め、意に沿わない情報を取り入れないという心的傾向があることは聞いたことがあった。この傾向をもとに、大学、インターネット、メディアがそれぞれ一般人の反知性主義、ナルシズム、冷笑主義を助長した。
政治 -
Posted by ブクログ
アメリカにおける専門知の現状について。現代のアメリカ人の知的水準の低下の問題について考察する。
昔は、高度な知識を持ち訓練を受けた専門家が、知りたい人々の要請を受けてサポートしていた。そこには知識、経験の有無に明確な一線があって、専門家の役割が明確だった。しかし、様々な情報メディアの発達により、全くの素人でも専門的な知識が入手できるようになった。それは良いのだが、メディアから誤った知識を修得したり、自称専門家が増えて、本職の専門家の人達を攻撃するようになった。非常に質が悪い傾向になってきている。(日本も同じ傾向だが)専門家の役割が小さく,或いは軽視されるようになってきた。果たして専門家は不要な -
Posted by ブクログ
Chat GPTが使いこなされるようになると、恐らく専門知に対する社会の中での扱いは、更に変わってくる。ハルシネーションを見抜けず、しかし、自分も議論に参加できる資格を得たようなつもりになり、やることなす事批評したがる層が増えるだろう。中野信子の講演で、こうした自粛警察的な人間の行動は脳科学的に解明されているものとの話があった。コロナ禍以前にも直面していたが、更に傾向が強まっている。
民主主義社会は、あれこれ意見の出る公共空間があり、常に既成の知識に挑戦しようとする特徴がある。熟議の責任を負うのは、その結論を導いたマスである。孤独な正解者を社会的にリンチした後、それを知らずに呑気に破滅してい -
Posted by ブクログ
表紙は最高。考えないことをめちゃくちゃ馬鹿にしてる。
専門家の立場で書かれた本なのに、感情や推論で書かれていた大半にはなんとも。もともとブログだったものに加筆したらしく、勢いは伝わってきた。それだけ怒ってるってことみたい。
専門家の定義で強く賛同できたところとして、「自分の専門における最悪のミスとその避け方を知っている」「非常に狭い分野でありとあらゆるミスを経験した」人間。ものごとを多少知ってる人間を専門家と見なすことのおかしさは、考えるべき。
考えることをやめると、飛びつくのは陰謀論。物事のつながりが理解しやすいし、秘密を分かった気にもなれるし、何より面白い。けど大切なのは、社会ってそんな単