作品一覧

  • 専門知は、もういらないのか――無知礼賛と民主主義
    4.0
    1巻3,740円 (税込)
    20世紀初頭まで、政治や知的活動への参加は一部の特権階級に限られていたが、後の社会変化で門戸は大きく開かれた。それは人びとのリテラシーを高め、新たな啓蒙の時代を招来するはずだった。ところが今、これほど多くの人が、これほど大量の知識へのアクセスをもちながら、あまり学ぼうとせず、各分野で専門家が蓄積してきた専門知を尊重しない時代を迎えている。ゆがんだ平等意識。民主主義のはき違え。自分の願望や信念に沿う情報だけを集める「確証バイアス」。都合の悪い事実をフェイクと呼び、ネット検索に基づく主張と専門家の見識を同じ土俵に乗せる。何もかも意見の違いですますことはできない、正しいこともあれば間違ったこともあるという反論には、「非民主的なエリート主義」の烙印を押す。これでは、正しい情報に基づいた議論で合意を形成することは難しく、民主主義による政治も機能しない。原因はインターネット、エンターテイメントと化したニュース報道、お客さま本位の大学教育。無知を恥じない態度は、トランプ大統領やブレグジットに見るように、事実ではなく「感情」に訴えるポピュリズム政治の培養土となっている。または逆に、知識をもつ専門家による支配、テクノクラシーを招く恐れもある。本書が考察しているアメリカの状況は対岸の火事ではない。専門知を上手く活かして、よりよい市民社会をつくるための一冊。

ユーザーレビュー

  • 専門知は、もういらないのか――無知礼賛と民主主義

    Posted by ブクログ

    専門知の軽視と陰謀論の跋扈は、特にコロナ禍を機に一気に広がった認識がなんとなくあった。それらに関する書籍もいくつか読んだが、2017年のコロナ禍前にしっかり書籍化され問題提起されていることに驚きつつ、問題の根は既にしっかりあったのだと思った。
    皮肉っぽい語り口調は読んでいて飽きない、面白い

    0
    2025年11月25日
  • 専門知は、もういらないのか――無知礼賛と民主主義

    Posted by ブクログ

    私が子供の時にはすでに「大学のレジャーランド化」が言われていたが、アメリカもそれほど変わらないようだ。平成に入ってからの日本の停滞は、大学が人材育成機関として機能しなかったことの証左であると思われるが、アメリカもそうなるのだろうか。

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    2022年06月21日
  • 専門知は、もういらないのか――無知礼賛と民主主義

    Posted by ブクログ

    主にアメリカ現代社会の実情を題材に、市民の専門知(専門家)への態度や接し方がいかに変わってきたか、そしてどんな問題があるかが書かれた著作。

    0
    2020年09月13日
  • 専門知は、もういらないのか――無知礼賛と民主主義

    Posted by ブクログ

    もちろん、専門知は必要だという立場の本である。
    アメリカの本だが、日本もそう変わらない。最近、当該分野では自明とされていることや少し考えれば分かりそうなことを指摘すると、クライアントが感情的になって拒絶反応を起こすことがあった。それも一回や二回ではない。
    インターネットの影響で色々な情報にアクセスできるからだと思っていたが、もっと根深い問題のようだ。
    「確証バイアス」、自分にとって都合の良い情報を集め、意に沿わない情報を取り入れないという心的傾向があることは聞いたことがあった。この傾向をもとに、大学、インターネット、メディアがそれぞれ一般人の反知性主義、ナルシズム、冷笑主義を助長した。

    政治

    0
    2020年01月08日
  • 専門知は、もういらないのか――無知礼賛と民主主義

    Posted by ブクログ

    本書を読むような人は本書の言っている事にとても共感できるのだろうけれど、
    本書を読まないような人に本書の内容を受け入れてもらう方法を考えると途方に暮れてしまう。
    本書はアメリカの話だが、日本にもほとんどそのまま適用できるだろう。

    0
    2019年12月23日

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