ルイス・セプルベダのレビュー一覧
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素敵な物語だ。ドイツの港町ハンブルグに住む黒猫のゾルバのもとに、船から投棄された原油にまみれて瀕死のカモメが墜落する。カモメは、これから卵を産み落とすという。そしてゾルバに三つの約束を誓わせる。
1.卵を食べない
2.ヒナが生まれるまで、卵の面倒を見る
3.ヒナに飛ぶことを教える
そして、ゾルバは仲間の猫たち<大佐>とその<秘書>、<博士>や<向かい風>と約束を実行すべく奮闘する。だが、三番目の約束をどうするか。猫は飛べないのだ。そしてゾルバは、タブーを破ることを提案する。
本作に登場する猫とカモメ、ネズミ、チンパンジー、そして人間。「異なる者どうし」は、どうしたらともに生きていく -
Posted by ブクログ
ネタバレ元々、小学校の学芸会で小学校6年生の次男が取り組んだ劇として知った作品。月刊ふらんす誌3月号で河野万里子さんのエッセイを読み、彼女の訳であることを知り購入。積読していたが、この度、作者のルイス・セプルべダ氏が新型コロナウィルス感染のため逝去されたことを新聞記事で知り、読み始めた。
「みんなこのときを、待ちわびていたのだ。猫だけが持ち合わせているすぐれた忍耐力のありったけで、若いカモメが飛びたいと自分から言い出すのを、待ち続けてきた。飛ぶためには、本人の決心が何より大切だということを、彼らはその叡智で知っていたからだ。」
自分にはその叡智が、忍耐力があるのか子供たちを思いながら、自問してい -
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ネタバレ中1の読書感想文で読んだ本。当時は、この本の持つ力が分からなかったが、コロナ禍で再び手にしてみた。すると、このカモメとネコという異なる生き物の組み合わせが感動や学びをもたらすのに最適であるということが分かった。人間がもたらす環境破壊、異なる他者との出会い、そして愛するということ…
石油まみれという人間の活動によって母親を知れなかったカモメ。海の街で人間と生活をするネコ。本の中でも書いてあるように、相手と話してみなければどんな人かは分からない。もし、母カモメが生き延びたとしたら、母カモメも子カモメも人間を憎むしかなかっただろう。人間に命を救われたという過去を持つ猫から、人間がしたように愛情を注が -
Posted by ブクログ
じわじわと言葉がしみこんでくる、いい物語だった。猫が飛べないカモメに語る言葉がいい。
全力で信じたものだけが飛べる。ちょうどそれを伝える物語を探していた。言いたかったことを言ってくれて、じわじわとしびれた。
海外ものだからか、どこかユーモラス。あとは人間をこきおろす。あとは、みんながどこか夢見がちなところがいい。猫の奮闘する物語は、イッパイアッテナで大好きだったので、それもあって懐かしかった。
本が読めてしゃべれる猫というのがいい、実際そうなんじゃないかと思わせる猫の何かがある。
カモメの女の子が可愛い。
詩人もいい、雨を感じたいということ、空に飛び出したときの気持ちよさは、きっとカモ