榎本泰子のレビュー一覧
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中国の一地方都市にすぎなかった上海が、アヘン戦争後の南京条約により開港し、約100年間の租界時代を経て国際都市に発展して行く様子について、日本人や英国人、米国人、白系ロシア人、ユダヤ人などが租界および中国社会に与えた影響や、これらの外国人たちの租界でのライフスタイル、中国人との交流などを通して描いている。個人的には太平洋戦争前後の上海と言って思い浮かぶのは、魔都、アヘン窟、ジャズ、紫煙といった漠然とデカダンなイメージだったけれど、行政や経済、文化活動、建築スタイル、居住外国人の本国の政策などの説明を受け、上海という都市の変遷をより細かく分かることができて面白かった。
上海を開港させた英国が租 -
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ここ数年、散々っぱら上海に行ったのに歴史について何も知らないなあと思っていた。上海の近代史を知りたかったのでこの本を。といっても近代史しかないんだけど。そもそも租界って何なのかもあやふやだったのだけど、こんなにも色んな国が出張っていた場所とはしらなかった。その色んな国、イギリス、アメリカ、日本、それぞれの視点からみた上海の変遷を垣間見ることができる。こんな人たちもいたのかと驚きだったが、ロシア難民とかユダヤ難民から見た上海というのも描かれる。そして中国近代史の主人公たち、孫文、蒋介石とか毛沢東たちが、上海を舞台に戦争・革命が繰り広げる。ああこういうことが起きてたのねって、初めていろいろな中国史
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Posted by ブクログ
上海の歴史。今いる場所がどのように歩んできたのか。陸の孤島として、ほぼ完全に多国籍都市として成長と沈没を繰り返してきた歴史だ。
まず権益を独り占めにしたのはイギリス。1845年に租界地を勝ち取ったイギリスは、支配層として優雅なくらしをしている。娯楽の少ない中国において、食事とりわけディナーが重要で、本場顔負けのフルコースを楽しんでいたそうだ。1900年初頭には、中国人の中にもかなりの所得格差が表れ、洋服を買うように車を買う人がいるという記述もあるくらい。なんとなく、今の中国と同じだ。外国人が裕福な暮らしをしていて、一部の中国人がそれに乗って大金持ちに。1920年代には日本人が多数移民し、虹